11日午前9時50分ごろ、東京都新宿区高田馬場4の路上で、動画のライブ配信をしていた女性が、知人の男に刃物で襲われた。女性は首や胸を刺されるなどし、搬送先で死亡。警視庁は現場にいた栃木県小山市、職業不詳高野健一容疑者(42)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕し、容疑を殺人に切り替えて捜査している。
◆「ライブ配信を見て居場所を突き止めた」
同庁捜査1課によると、死亡したのは東京都多摩市、職業不詳佐藤愛里さん(22)。「最上あい」の名前で動画の配信活動をする中、高野容疑者と知り合ったとみられる。高野容疑者は「都内で撮影があると知って上京した。ライブ配信を見て居場所を突き止めた」と供述している。
高野容疑者は、佐藤さんが1人で配信をしながら歩いていたところを襲った。現場でサバイバルナイフが押収され、容疑者のリュックサックから別のナイフ1本も見つかった。地元の栃木県警に「佐藤さんに200万円を貸したのに返ってこない」と相談していたといい、同課は2人の間で何らかのトラブルがあったとみている。
現場は高田馬場駅から南に約300メートルの住宅や雑居ビルが立ち並ぶ地域。近くで働く会社役員の男性(53)は「十数秒間にわたり、女性の『助けて』といった悲鳴を聞いた。窓から声のする方を見ると、男が女性の足元にしゃがみ込んでいた」と話した。
◇ ◇
◆ライブ配信「事件に巻き込まれる可能性も」
死亡した女性は、現場で自ら動画をライブ配信している最中に突然、男に襲われた。ライブ配信が急速に拡大する中、配信者が視聴者に狙われるなどのトラブルも増加。捜査関係者は「居場所がリアルタイムで分かってしまうため、事件に巻き込まれる恐れがある」と警鐘を鳴らす。
市場調査会社の矢野経済研究所によると、ライブ配信はコロナ禍で在宅が余儀なくされる中で需要が拡大。誰でも手軽に配信できることや、視聴者が気に入った配信者を応援するために贈る「投げ銭」で収入を得られることなどで、裾野は広がり続けている。
◆過去にも殺人事件
ただ、2022年には、埼玉県越谷市で配信者の女性を視聴者の男が殺害する事件が起きた。国民生活センターへの相談も増えており、「子どもが勝手に親のクレジットカードを使い、60万円を投げ銭に使った」といったトラブルもあるという。
女性がサバイバルナイフで首や胸など複数箇所を刺されていることから、捜査関係者は「強い殺意がうかがえる」と指摘。「ライブ配信が居場所の特定に使われた可能性は十分にある。配信は場所が分からないようにすることが大切だ」と話した。(鈴鹿雄大、西川正志、米田怜央)
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