ヘスティア・ファミリアの
ステイタス更新をしてもらったあなたとベル。
その内容がヘスティアの口頭で伝えられた。
「そ、そんなに伸びてるんですか! 僕たちのステイタス!」
「ああ、恐ろしく成長が早い。言っちゃえば成長期だ」
ベルの【
「これはボク個人の見解にすぎないけど、キミたちには才能があると思う。キミたちはきっと強くなれる」
ヘスティアさまの見解を聞き、嬉しそうに表情を緩めるベル。
強くなれる。
その言葉は今のベルが一番求めていたものだ。
「そして、ベルくん。キミ自身も今より強くなりたいと望んでいる」
「はい!」
「──くんもそうなんだろ?」
せっかく神の恩恵を授かったのだ。覚悟の大きさはともかく、強くなりたいと思うのは自然なことだろう。
あなたは、はい、と首を縦に振る。
「うん。そのキミたちの意思は尊重する。応援も手伝いもする、力も貸そう。だから約束して欲しいもう無理はしないって……お願いだからもう僕をひとりにしないでくれ」
「はい! 無茶しません! 強くなれるように頑張りますけど、絶対神様をひとりにしません! 心配させません!」
ベルは力強い赤い瞳でヘスティアさまを見据えて誓う。
あなたもベルに倣って、一点の曇りもない青い眼でヘスティアさまを見据えて、言葉を紡ぐ。
無理しないといけない場面じゃない限りは無理しません! 神様のことは自分に無理のない範囲でひとりにしません! あと、親密な相手ができた時の外泊は許してください!
「その言葉がきけて安心したよベルくん。 ……──くんは、今度二人でじっくり話し合おうじゃないかっ!」
笑顔のまま怒るヘスティアさま。
ひぇっ。
「もう──」
ベルがあなたに苦笑いする。
あなたは知っている。
他人事みたいに言ってるいけど、ベルはこの先、様々な
ヘスティア・ファミリアの一員となった以上、あなたも例外ではない。
無理や無茶を通さなければいけない場面が必ず訪れる。
あなたは怒っているヘスティアさまの名を呼ぶ。
「なんだい?」
不機嫌そうな声で返事するヘスティアさま。
あなたは本心からの言葉を伝えた。
冒険者である以上、無理や無茶をして心配をかけてしまうこともあると思います。想定外の事態に巻き込まれて、ヘスティアさまをひとりにしてしまうこともあるかもしれません。それでも、あなたを悲しませるような真似だけは絶対にしません。それだけは絶対です。
「──くん……。も、もう! そんなことを言われたらもう何も言えないじゃないか! でもそういうことならさっきの話し合いはなしってことにしても……」
でも親密な相手ができた時の外泊は許してください(迫真)!
「よし! 今度二人でじっくり話し合うのは決定だっ!」
「──……」
ベルはあなたの名を呼び、憐憫まじりの呆れた視線を向けるのであった。
ヘスティアさまとの2人っきりでキャッキャウフフなお喋りデートが決まって数分後。
「ベルくん、──くん。ボクは今夜から2、3日留守にするけど構わないかな?」
「はい? 多分大丈夫ですけど、どこに行くんですか?」
「ちょっと久しぶりの神友に会いに行こうかなあって……。ああ、勘違いしないでくれよ? ボクは遊びに行くんじゃないんだぜ? 大事な用があるんだ」
「大事な用、ですか?」
「ああそうさ。だからベルくん、──くん、ボクが留守の間
「はい!」
ラジャーです。
あなたは、敬礼のポーズをとりながらそう言う。
「ら、らじゃあ? って?」
困惑した様子でベルが訊ねる。
神々が言うところで、了解って意味さ。因みにこの言葉を使う際は可愛らしく敬礼のポーズをとるのが作法とされてるよ。
「へ、へぇー。……神様、僕もラジャーです!」
あなたを真似て可愛らしい敬礼のポーズをとるベル。なんとも微笑ましい光景だ。
「……ベルくん、その言葉を使う時は別に可愛いらしく敬礼のポーズをとる必要はないんだよ?」
「えっ、そうなんですか!? もう──!!」
(からかわれて、怒ってるベルくんも可愛いなぁ……)
ベルに和まされた。
「──くん、ボクが居ない間、ベルくんに変なことを吹き込むんじゃないぜ?」
出発直前、そう釘を刺すヘスティアさまに、あなたは「わかりました(ヘスティアさまが居ない間は、吹き込みません。居る時は吹き込みます)!」と気前のいい返事を返した。
「うん! 嘘はついてないみたいだし、安心かな」
へっ、チョロいぜ。
「んん? なんか今──くんの魂に翳りが見えた気が……」
ヘスティアさまは可愛い! マジ女神さま!
「気のせいだったみたいだね☆」
ふぅ、危ないところだった……。と内心、冷や汗をかく。
「それじゃあ、行ってくるよ〜!」
「いってらっしゃい神様!」
いってらっしゃーい!
そして、あなたとベルは、ヘスティアさまが拠点をたつのを見送ったのであった。