「……! コレハァ!!」
どうかしましたか?
「スキルだ──くん! 最初からスキルが発現するなんてツイているじゃないかキミ!」
な、なんだってー(棒読み)
「……! コレハァ(2回目)!!」
どうかしましたか(2回目)?
「ま、魔法のスロットが3つもあるぅッ!」
な、なんだってェッーー!!!(ガチ驚き)
魔法は最低一つ、最高三つまで発現することがある。
一つだけ使えるのが普通で、二つ以上使える冒険者は重宝され、三つ以上使える冒険者は、それこそ引く手数多。最高峰の魔道士になれる可能性を秘めているとか、ウンタラカンタラ……。
「ほら! これがキミの【ステイタス】」
ヘスティアさまが、あなたのステイタスを写し取った用紙を手渡してくれる。
──
Lv 1
力 I 0 耐久 I 0 器用 I 0 敏捷 I 0 魔力 I 0
《魔法》【】【】【】
《スキル》
【
・一定時間毎に体力と精神力の回復効果
・回復効果はレベルに比例
・常時発動
そして、あなたは気づく、何故かこの世界の共通語が読めることに。
……まぁ、いっか。
あなたは、どうして自分が異世界の共通語が読めるのか考えたところでわかるはずもないと思い、ご都合主義だろうがなんだろうが、言語に不便しなくてラッキーと思う事にした。
それにしても魔法のスロット三つか。……いったいどんな魔法を覚えるんだろうかとあなたは楽しみで仕方がない。
早くダンジョンに行って、冒険をしたい!
そう思ったあなたはヘスティアさまに、その素直な思いを伝える。
「冒険がしたくて仕方がない! って感じだね……──くんも、ダンジョンに出会いを求めてたりしているのかい?」
も、ってことは……。
「ああ、ベルくんは、ダンジョンに出会いを求めて、このオラリオへやって来て、冒険者になったんだ」
あなたはニカッと笑うと、ヘスティアさまの先程の問いに答えた。
──*1もです! 良い出会いと、ワクワクするような冒険を求めてます!
その答えを聞いたヘスティアさまは微笑ましそうに目を細める
「やっぱり、キミとベルくんは少し似てるね。……会えば、すぐに打ち解けられるんじゃないかな」
そういえば、その、ベルくんは何処へ?…… いや、愚問でしたね。
「ああ、冒険者が行くところなんて、決まってるだろ? 」
あなたとヘスティアさまの声がハモった瞬間である。
2
その後、あなたは、冒険者となるために、ギルド本部へと向かった。
ヘスティアさまは、ジャガ丸くんのお店のバイトがあるとの事で、途中で別れた。
あなたはヘスティアさまが書いてくれた手書きの地図を頼りに、オラリオの活気ある街を歩いて行く。
そして、ついに、ギルド本部へと辿り着いた。
ここがギルド……。
ギルド本部の建物を見て、聖地巡礼をしている時に抱くようなちょっとした感動に僅かな間、浸ったあと、あなたは「よし」と意を決して、ギルド本部の中へと、進んでいく。
武装した様々な種族の冒険者たち、そして、受付や換金所でテキパキ対応するギルド職員たち姿がそこにはあった。
あなたは、受付でギルド職員の中から茶髪、緑眼のメガネを掛けたエルフの女性を探した。
しかし、探しても中々見つからない。もしかしたら、用があって、外に出ているのだろうか?
ギルド職員も当たりハズレがある。「見るからに冒険者として大成せず早死にしそうな者」を対象にする形で「どれぐらいの期間で死ぬか」という博打をしようとか言い出すようなやからは論外。
できるなら、心優しい人に受付から何までしてもらいたかったがて。
仕方ない。受付に居るピンク髪の
あなたがそう思い、1歩足を踏み出した時だった。
「あの、何かお困りですか?」
後ろから声をかけられる。
……! このショタコン疑惑がある茶髪緑眼のメガネをしているエルフみたいな女性声はっ!
声のした方へ振り返るとそこには、あなたが探していた、ハーフエルフ、エイナ・チュールさんが居た!
「ギルド職員の者です。ご要件がありましたら仰ってください」
あなたは要件を簡潔に述べた。
──*2、冒険者になりたいです!
(なんか私、今、すっごいデジャブったような……)
それは奇しくも、ベル・クラネルとエイナ・チュールが初めて出会った時と同じやり取りだった。
3
エイナさんから、冒険者になる上での注意事項を聞き、契約書にサインして、あなたは、冒険者になった。
担当アドバイザーを付けてほしいと希望したところ、ベル・クラネルと同じヘスティアファミリアの団員ということで、なんとエイナさんが担当してくれることに!
エイナさん曰く、「一人でも二人でも、仕事の量はあまり変わらないですから」とのこと。流石です!
その後、砕けた口調で話してもいいかと提案されたので、おけーした。
「この後、ダンジョン行く予定はある?」
あなたの冒険心は飢えている。勿論、イエスだった。
「じゃあ、最低限の準備はしないとね。私に、着いてきて」
そう言われ、案内されたのはギルドの内にある、机と椅子が置かれた簡素な個室。
「ちょっと、座って、待っててね」
エイナさんはそういうと、急ぎ足でどこかへ行ってしまった。
しばらくして、エイナさんが戻ってくる。その両手いっぱいに、ライトアーマーと短剣、バックパックとレッグホルスター等、ダンジョン探索の上で必要なものが乗っている。
エイナさんはライトアーマーと短剣がギルドからの支給品であること、バックパックとレッグホルスターは自分が用意したおまけということを説明し、あなたに渡した。
しかし、あなたは、短剣を受け取らなかった。と、いうのもオラリオで気がついた時には身につけていた武器があるからだ。
「んー、けど、予備の武器は持ってた方がいいよ? ダンジョンじゃ何が起きても不思議じゃないんだから」
エイナさんがそういうなら、従った方がいいだろう。なにせ、原作でエイナさんのアドバイスは何度もベル・クラネルを救ってきたのだから。
あなたはわかりましたと短剣を受け取る。
そして、全ての武器と防具を装備し、いざ、冒険へ!!!
「──さん、ダメだよ? まだ最低限の準備は終わってないんだからね。とりあえず……」
ドサッ、ドサッ……。
机の上に積まれる五冊の分厚い本。
「まずは、この本、五冊、全部覚えよっか♪」
……そういえば、エイナさんはスパルタで、
そうして、あなたは個室で、エイナさんのスパルタな指導を受けることになり、ダンジョンについての勉強が終わり解放された時にはすっかり日は沈んでいて、ダンジョンに潜る気力はもう残っていなかった……。