ジオン兵に転生するって知ってたら、もっと真面目にガンダム見てたのに!   作:じおじお

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アルマとギベオンと強化人間?

「ギベオン・グレイズ……少し前にジャブロー攻撃軍に配属されたMSパイロット。それ以前に重力戦線で見せた容赦のない戦いぶりから、屍食鬼(グール)という異名で呼ばれているわ」

 

 ……結局、気まずい空気に耐えられなくなったロメオ少将は、ここでゆっくり休むという前言を撤回して足早にティルナノーグを去っていった。

 一時解散となった後、ギャレット少佐に呼び出された僕は、彼女の口から様々な事情を聞かせてもらっている最中だ。

 

「あのギベオンという男、アルマを知っているようでした。二人はいったい、どういう関係なんですか?」

 

「……フラナガン機関。宇宙に進出し、革新を果たしたニュータイプと呼ばれる人間たちを研究するためにキシリア様が創立した組織に、二人は所属していたの。無論、研究者としてではなく、研究される側の人間としてね」

 

 フラナガン機関……その名前は、僕でも知っていた。

 あのララァ・スンを輩出する高名なニュータイプ研究機関に、ギベオンだけでなくアルマも所属していたなんて……と驚く僕に対して、ギャレット少佐は様々なことを話していく。

 

 アルマはニュータイプとしての素養を認められ、フラナガン機関で被験者として訓練を重ねていたこと。

 しかし、ある日のテストでサイコミュ兵器を扱えず、落第生の烙印を押されてしまったこと。

 その状態になった彼女をギャレット少佐が引き抜き、ノイジー・フェアリー隊に参加することになったということ。

 

 アルマの過去を知った僕は、同時にギベオンが何故、彼女を見下すのかも理解できた。

 

「ギベオンは、アルマの過去を知っている。だから執拗に落伍者だと……」

 

「それもあるかもしれない。だけど、彼の場合は研究機関で受けた調()()が原因でもあるわ」

 

「調整……?」

 

「……これはフラナガン機関で発見された研究成果ではないわ。でも、確かに効果があると認められていることなの。『他人に共感する能力を失った人間は、強力な兵士となる』……ギベオンは、その研究成果を基に調整され、ニュータイプとしての力を強められた人間よ。元から悪辣で高慢な性格だったけど……いえ、だからこそ被検体に選ばれたんでしょうね。彼の精神はもう、取り返しがつかないほどに歪められているわ」

 

「そんな……! そんなことって……!!」

 

「……調整を受けたのはギベオンだけじゃない。他にも多くの少年少女が被検体になったわ。そういった強力な兵士ではあるけれど協調性がない、他人に共感する能力を失った強力な兵士のみで構成された、屍食鬼(グール)隊という部隊がキシリア様の麾下にいる。ギベオンも彼らとは浅からぬ関係にあるから、二つ名も屍食鬼になったんでしょうね」

 

 強化人間、あるいはブーステッドマン。ガンダムシリーズに登場した、悲惨な研究の犠牲者たちのことが頭の中に浮かんできた。

 あのギベオンも彼らと同じ立場の存在なのかと……動揺を覚えた僕が狼狽える中、息を吐いたギャレット少佐が口を開く。

 

「クロスくん……一つ、ここだけの話をしてもいいかしら?」

 

「え……?」

 

 雰囲気が変わったギャレット少佐の言葉に困惑しながらも、小さく頷き、肯定の意を示す。

 そうすれば、彼女は静かな声でこんなことを話し始めた。

 

「極秘部隊であるノイジー・フェアリー隊、その拠点であるこのティルナノーグにロメオ少将が来ることになった裏には、間違いなくギレン・ザビの思惑が絡んでいるわ」

 

「!?」

 

 今、ギャレット少佐はギレン様のことを呼び捨てにした。

 ここだけの話、というのはそういうことかと理解した僕が息を飲む中、彼女は話を続けていく。

 

「ジオン、ひいてはスペースノイドの独立のための戦いだったこの戦争も、今やザビ家の独裁による地球への侵略戦争へとすり替わってしまった。そして、そのザビ家も一枚岩ではない。特にギレン・ザビとキシリア・ザビの二人の間には、小さいけど確かな亀裂が入っているわ。何か、きっかけがあれば……あの二人は争い合うことになるかもしれない」

 

「……ロメオ少将の来訪は、キシリア・ザビが抱えている戦力の調査と士気の低下を目論んだギレン・ザビの策略だということですか?」

 

「そこまで大したことじゃないわ。嫌がらせと牽制ってところでしょうね。でも、効果は抜群だった。ノイジー・フェアリー隊のリーダーを務めるアルマのメンタルは、ギベオンとの再会でボロボロになっているわ」

 

 ギャレット少佐の推察は正しい。ギレンとキシリアの関係は最終的にキシリアがギレンを暗殺することで終わりを迎える。

 今は何もなくとも、決して良好であるとはいえない。ザビ家の間に亀裂が入り始めるのは、もう間もなく……ガルマ・ザビが戦死してから、徐々に兄妹間の亀裂は大きく、深くなっていく。

 

「もしも、このままギレンとキシリアの関係が悪化していったとして……二人が争うことになったら、あなたはどうするつもり? ジオンという国を象徴するギレンの側につく? それとも、自分たちの部隊を総括するキシリアの下で戦うのかしら?」

 

 ギャレット少佐の問いに、僕は静かに考えを巡らせる。

 特に迷うことなく答えを見つけ出した僕は、顔を上げると共にそれを少佐へと伝えた。

 

「僕が戦うのは、仲間のためです。そんなくだらない兄妹喧嘩のために死ぬだなんて、馬鹿げてる。もしそんな事態になったら、仲間たちと一緒に生き抜くためにさっさと一抜けしちゃいたいですね」

 

「……ふふっ! ぶっちゃけたわね?」

 

「はい。ここだけの話、ですから」

 

 僕の答えに満足したように笑ったギャレット少佐が、うんうんと頷く。

 そうした後、僕を見つめながら、彼女はこう続けた。

 

「……少し前にノイジー・フェアリー隊に指令が届いた。アルマをはじめ、三人とも万全の状態じゃあないけれど……あの子たちは出撃しなくちゃならない。クロスくん、ついでのように頼んで申し訳ないけれど……あの子たちを、戦場で導いてもらってもいいかしら?」

 

 ギャレット少佐の言葉に、僕は大きく頷く。

 きっと、こうして出会えたのも何かの縁だ。騒がしい妖精たちのために、できる限りのことはしよう。

 

 それがきっと……僕の運命だ。

 無意味なことなんて何もないと信じながら、僕は新たなる任務に挑む覚悟を固めていくのであった。




オリキャラが誰で本当にいるキャラが誰だかわからないという感想を何件か頂いたので、現時点でのオリキャラたちを軽く復習する形で……

・クロスたちサブナック隊のメンバー
・ギベオン・グレイズ

この辺りがオリキャラです!
ロメオ少将はオリジン版で実際にこのポジションにいて、こんな感じの性格と実績持ち(司令部に酒場を作って女を連れ込んでる&司令部の中にある私室に女連れ込んで明確にHしてる&シャア、黒い三連星、マ・クベを無能と言う&ジャブローに我武者羅に突っ込んであっさり罠に掛かって死亡&指揮官として何の役にも立たなかったせいで兵士たちに大きな犠牲を出して地球上のジオン軍の敗北を実質決定付ける)のキャラです!なんで少将なんでしょうね?

ギベオンに関しては出ずっぱりになるのではなく、要所要所で出てくる存在になるかと。
こいつは宿敵であって、ライバルじゃあないんですよね……。
ライバルはフェデリコとその部下の連邦兵だと思ってください。
こいつがどんな活躍をするかは今は言えないんですけど、ありとあらゆる面でクロスの対になるキャラとして作っています。

一番大事な部分は、過程を重視するクロスに対して、ギベオンは結果のみに目を向けることです。
最後まで考えてあるシナリオ、そこまで書き進めることができたならば、このギベオンというキャラの存在理由についても理解していただけるかな?と思っております。
(不快なキャラなのは間違いないんですけどね。クロスを真逆にしたらこうなっちゃったっていう)

それと、実際にシリーズに登場しているキャラたちに関してはあとがきの部分で軽く紹介とかして、本来の歴史ではどんな活躍をしてたのか?とかも解説できたらやった方がいいんでしょうか……?
ちょっと複雑な内容になり始めてて、申し訳ないです。
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