衆参同日選で「玉木首相」掲げ政権交代も 藤川晋之助氏が展望「石丸新党は政策を語れ」

自民党本部が見える事務所でインタビューに応じる藤川晋之助氏=東京・永田町(渡辺浩撮影)
自民党本部が見える事務所でインタビューに応じる藤川晋之助氏=東京・永田町(渡辺浩撮影)

令和7年は、6月の東京都議選や7月の参院選など政局に影響しそうな大型選挙が注目を集めている。選挙プランナーの藤川晋之助氏(71)は産経新聞のインタビューで、今年は立憲民主党が国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)を首相にすると掲げ、衆参同日選が行われた場合には政権交代に至る可能性もあると展望した。昨年の東京都知事選で支援した前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏が都議選に向けて設立した地域政党「再生の道」については、「政策を語るべきだ」と苦言を呈した。

自民の〝北京詣で〟は異常

――年明けの政治情勢をどう見るか

「石破茂政権は少数与党なのに緊張感がない。岩屋毅外相が昨年末、自民党の森山裕幹事長らが新年早々にそれぞれ北京を訪れ、石破首相も訪中に意欲を見せている。しかし、トランプ次期大統領と会って世界戦略を話し合うのが先だ。安倍晋三元首相の妻、昭恵さんが道筋を付け、トランプ氏は『会いたければ会う』と言っているのに、首相はプライドが邪魔して会いに行かなかった。選択的夫婦別姓の導入議論でも野党に引きずられている。日本の政治で今までこんな現象はなく、異常だ。高市早苗前経済安全保障担当相らが徹底抗戦を始めないのも不思議で仕方がない」

――野党はどうか

「野党は参院選のことしか考えておらず、選挙までは石破首相のままでいてほしいと思っている。対する首相は、国民民主とは『年収103万円の壁』の引き上げ、日本維新の会とは高校授業料無償化の政策協議で両天秤にかけている。さらに、立憲民主を含めた大連立について『選択肢としてはある』と述べた。3つの野党にエサをぶら下げて様子を見ている状況だ」

――与野党の関係はどうなるのか

「3月の来年度予算案の成立までは、このまま何とかやっていくだろう。そこから、都議選、参院選に向けた政局になる」

昨年10月、衆院選での公約と新ポスターを発表する国民民主党の玉木雄一郎代表=国会内(春名中撮影)
昨年10月、衆院選での公約と新ポスターを発表する国民民主党の玉木雄一郎代表=国会内(春名中撮影)

大連立は支持者が困惑

――野党が政権を取るにはどんな戦略があるのか

「元日に立民の小沢一郎衆院議員の自宅にあいさつに行った際、『政権交代するなら、人気の高い玉木氏を首相にすると掲げて参院選、あるいは内閣不信任案可決による衆参同日選を戦うしかないのでは』と言ったら、小沢氏は『ああ、そうだね』とうなずいていた」

――「玉木首相」は自民、公明、国民民主の連立政権のシナリオとして語られることがあるが、そうではなくて立民、維新、国民民主が「玉木首相」を掲げて政権交代を目指すということか

「意外に可能性が高い。もちろん、立民の野田佳彦代表がメンツを捨てて玉木氏や党内を説得する必要があり、ハードルは高い。『103万円の壁』の決着の仕方次第でもある。今年のえとは645年の乙巳(いっし)の変と同じで、小沢氏は『大化の改新だ』と意気込んでいる」

――自民とすれば、下野するなら大連立のほうがいい

「衆院の予算委員長と憲法審査会長のポストを立民に渡したのは大連立の布石とも考えられる。森山氏と小沢氏は仲がいい。自民、立民とも支持者は困惑するだろうが、実現もあり得る。しかし、政権交代にせよ大連立にせよ、立民が与党になれば国益はどうなるのか。自民はしっかりしてほしい」

石丸新党に関与しないが期待

――SNS選挙は今年はどうなるか

「昨年は都知事選で石丸氏、自民総裁選で高市氏、衆院選で玉木氏、兵庫県知事選で斎藤元彦知事がSNSで支持を集めた。だが、誰がやってもうまくいくわけではない。おじさんの街頭演説がいきなり流れても逆効果だ。陣営に企画、編集、技術面での専門家が必要だ。『オールドメディアにいじめられた』という構図があった斎藤氏のような物語性も重要になる」

記者会見で都議選に向けた地域政党の設立を発表する石丸伸二氏=15日午前、東京都港区(鴨志田拓海撮影)
記者会見で都議選に向けた地域政党の設立を発表する石丸伸二氏=15日午前、東京都港区(鴨志田拓海撮影)

――藤川氏は都知事選で石丸氏の選対事務局長だったが、石丸氏の「再生の道」には関与しているのか

「私の事務所の事務局長が退職して新党の事務局長になったが、私自身は関係していない」

――新党設立の記者会見を見て、どう思ったか

「任期の上限を2期8年とする条件を守れば、他党と掛け持ちも認め、予算案や条例案などへの賛否を党で縛らないと言うが、自由な状態で2期務めたら、新党を離党して議員を続けたいと思うのが人情だ。人材を作るシステムという理屈は分かるものの、政党としてガバナンスがきかない」

――石丸氏は「党として実現する政策はここでは出さない」と述べた

「石丸新党の存在は参院選あるいは衆参同日選に向けて既成政党を刺激する上で重要で、大いに期待している。政策を出さないのは石丸氏らしい作戦だ。しかし、やはり東京をどうするのかという理念や政策、それに基づいた組織作りが必要だ。石丸新党は政策を語ってほしい」(聞き手・渡辺浩)

ふじかわ・しんのすけ 昭和28年、大阪市生まれ。本名・藤川基之。自民党田中派の山本幸雄元自治相の秘書を経て大阪市議2期。民主党の小沢グループや減税日本、みんなの党、日本維新の会などで事務局長や選挙参謀を務め、「選挙の神様」の異名をとる。令和4年に藤川選挙戦略研究所を設立。

維新と国民民主を両天秤にかける石破茂首相 有元隆志、水内茂幸両記者が語る

次期衆院選へ候補者調整、自公が確認 夏の決戦見据え早くも活発化 衆参同日選も念頭か

会員限定記事

会員サービス詳細