第21話 四人の昼休み
新学期が始まって三日目。
最近特に視線が集まってるのを感じる。
まあ、それはそうだろう。
周りから見れば夏休みデビュー的な俺。
どうあがいてもルックスで姫華達には及ばないのは分かっているからこそ、少しでも側に居て恥ずかしくないようにはしたかった。
だから夏休みの間で姫華達に相談し、初めて美容室でカットしてもらった。髪もグレイアッシュに染めて、マッシュパーマとやらも掛けた。
ついでにビアスも姫華とお揃いにしてみた。
気付けば見た目だけは立派なチャラ男君になっていた。
しかし咲夜曰く、チャラ男の女子にモテたいと言う思いは本物で、そのための努力を怠らない姿勢こそ評価すべきと。
俺としては姫華達以外にモテてもしょうがないけど、彼女達が気に入ってくれているのならそれもアリかなと受け入れた。
ただ注目される要因は他にもある。
いや寧ろそれがほとんどだろう。
新学期早々から俺と姫華がベッタリとくっついて登校していりゃ、そりゃあ目を引くだろう。
陰でビッチギャル四天王なんて呼ばれていようが、男子からすればそれを補って余りある超が付くほどの美少女である。
注目されて当然の存在だ。
それに俺は知らなかったけど姫華は学園の男子にはかなり冷たくて、クールビューティならぬクールビッチなんて呼び名もあったらしい。
まあ本当はビッチじゃなくて……。
「あー、ケンちゃん。いまヤラシイ事考えてたでしょう」
お昼休み。
俺の真横にくっついてお弁当をア~ンさせてくれていた姫華が突然俺の思考を読む。
「だから、他人が居る所でケンちゃんはヤメレ」
夏休みを経て、姫華が昔のように俺を呼ぶようになったのは別に構わない、二人きりの時ならば。でも周りに人がいる場所での『ケンちゃん』はちょっと、いやかなり恥ずかしい。
「他人じゃないよ、サクとリナは身内だもん」
「確かにねー、今さらだよねー、私達の前でも散々ヒメちゃんやらケンちゃんやら呼びあって、イチャイチャしてたものねー」
お弁当をつまみながら、遠い目をしたリナが今更感満載で呟く。
「そうそう、あんだけイチャラブな◯◯◯セックスキメといてさー、だいたい、なんでアンタら付き合わないわけ?」
咲夜が呆れたように指摘する。
確かに姫華とはもう身も心も繋がっている。
もう絶対に離れることはない。
だからこそ……付き合うのはまだ早いということで姫華と認識を合わせている。
ちなみにここで言う付き合うは、恋人同士の付き合うでは無い、そんなものは夏休みの間にとっくに通り越している。
俺と姫華の共通認識で付き合うということは、相手を束縛し合うと言うこと。つまり結婚と同義だ。
「俺達には長期計画があるからな」
当然、そんな事なんて知らないリナが呆れ顔でこっちを見て言った。
「いやまあ、確かに明るい家族計画が大切なのは分かるんだけどねぇ」
「まあまあ、ケンちゃんに待ってくれるように言ったのは私だし」
姫華のその言葉に今度は咲夜が反応する。
「はぁ、なんでよ。相談持ち掛けてきた時、どう見てもマツケンをモノにするのが目的だったろ?」
姫華はそんな咲夜に微笑みを返すと言った。
「そうだね。でも気付いたんだよね。私はさ、好きな人皆と幸せになりたいって」
烏滸がましくも、それは俺も同じ気持ちである。
「ふぅ、あのねヒメ。あたしは今で満足なんだわ、それ以上はいらないの」
咲夜が、姫華の気持ちを察した上で諭す。
「うん、分かってる。これは私のおしきせだって。だから、あの時の提案本当に嫌なら断っていいからさ、リナも同じだよ」
そう言って姫華はリナにも笑いかける。
「うーん。考えてみたけどさ、私は姫華が良いのならかまわないよ続けても、ケン君とするのは、今一番気持ち良いしさ」
リナは特に感情を見せること無く答える。
「本当。じゃあそれでお願いね。あとサクはどうかな? やっぱり駄目?」
ウルウルと小動物のような目で咲夜を見つめる姫華。ズルい手だ。
「はぁぁ、分かったよ。別にあたしもイヤってわけじゃないし、寧ろ好きっていうか、一人だけ仲間外れはやだしね。まあ、ヒメが許すんなら気兼ねなしでヤルかんね〜、そうなっても文句なしだかんね」
「うん。じゃあ決定ね。これからもエッチは三人でしよ」
他人から見れば非常識な事。
でも……。
姫華が楽しそうに笑う。
姫華につられて咲夜も笑う。
咲夜を見てリナはヤレヤレと言った感じで笑う。
そんな三人を見て俺は嬉しくなって笑った。
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彼女を寝取られましたが、学園のビッチギャル四天王(幼馴染含む)に鍛えられ、気づけば化物(モンスター)になってました。 コアラvsラッコ @beeline-3taro
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