「すっごく疲れてる!?」
その日、ベルはとてもつかれた様子で帰ってきた。
月の出勤日より月の休日が多いベルは、その日も休みでオラリオの昼寝スポットを見つけようとしたらアイズ達に出くわしたのだ。
そして連れ回され、すごく疲れてる。
こちらに指して興味もないティオネとか言うティオナの姉ははともかく当のティオナはやたら話しかけてくるしラティファは絡んでくるし、アイズは仲間はずれにされたと思ったのか良くわからん話をして何故かエルフの少女が睨んできた。
後美少女に囲まれたベルを睨む周りの目が鬱陶しい。
「う〜ん、ベル君に友達を作れって言ったのはボクだけど、まさか友達と遊ぶだけでここまで疲れるとは」
「甘やかしてはいけませんヘスティア様。そうやって連れ回してくれる人を友人にしないと、1日中昼寝するか本を読むだけの毎日を送ります」
ただでさえ世話係のフェリはダンジョンに潜り日中見張るものがいないのだ。ベルは間違いなく自堕落の限りを尽くす。
金なんてフェリが稼ぐ分で十分だろうという、そりゃもうクズな理由で。
「寧ろいい機会です。ベル、彼女達に連れ回されたくなければ仕事をすれば良いんですよ?」
流石に仕事中なら誘われないはずだ。どちらが楽かと問われれば、間違いなく仕事だが…………。
「真面目に働くなんてゴメンだね」
ベッ、と舌を出すベル。プチンとフェリが切れた。
「やっべ!!」
「待ちなさい!!」
「……………魂が……不思議ね」
街を見下ろす女神は、ポツリと呟く。深く深く、嘗ての
珍しくはあるが、食指の沸かぬ魂。なのに、寄り添うように、守るように存在する透明な光。魂が2つ? 二重人格、とも違う。
今は黒い魂が主人格だが、あの透明な魂が表に出た時、一体どれだけ輝くのだろう?
「それに、あの黒い魂も………」
これまで見た誰よりも深い闇。なのに微かな光を孕んでいる。絶望に染まる前の、彼の本当の色。そちらも興味がある。
「貴方達は、私の
彼を始めて見た時、体中に電流が流れたような感覚を覚えた。
それは、あらゆる美酒に勝る甘露。海底より深い絶望と恐怖が奏でる
何故あんなクソみたいな女神の下にいるのかは知らない。もしやあのクソビッチめは彼の心を救おうとしているのだろうか? だとしたらなんと不愉快な。
彼を想い、考える。彼に人を殺させてみようか、或いは彼の友達を作ってやってから、眼の前で奪ってみようか。彼を幸せにしてから、都市を滅ぼしてしまおうか。
「ああ、そうだな。それも良い。英雄となった彼を称える民衆を、彼が己を受け入れるために必要なそれを全て全て全て醜き肉塊に変えてしまおうか! 救いを、信念を、力を、魂を! 全て失うためだけに用意され、奪うのは、とても良い考えだ!」
死ぬ為に生きている彼が、生きる理由を見つけて、しかしそれらは唯のまやかしであり、摘み取られる。彼を絶望させるためだけに用意され、使い潰す。
「愉しいだろうなあ、楽しいだろうなあ、儚いだろうなあ、美しいだろうなあ、甘美だろうなあ、感動的だろうなあ、優美だろうなあ、切ないだろうなあ…………ああ、ああ! 今すぐにでも君と褥を共にし、私の腕の中で泣いてほしいなぁ…………」
極上の
「精霊? 都市の崩壊? ああ、ああ。それも素晴らしい! 永劫に続く快感だ! だが、きっと何千年見続けようと、君の絶望には叶わないだろう。だから、見せてくれ。君の美しい