前世は剣帝。今生冒険者


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作:ぐーたら王子
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友達


 何だ、誰だと視線が一人の少年に集まる。

 白髪赤目の兎のような少年。目つきが凄く悪い。

 

「ベル? 呼び鈴のこと〜?」

「いや明らかにあの子の名前でしょ」

「あ、アイズさんが男の名を!?」

「【剣姫】に男だと!?」

「そ、そんな! そんな訳ありませんよねアイズさん!」

「てかお前ヘスティアやないか!」

 

 静寂のあと、一瞬で騒がしくなる店の中。アイズは自分のせいだろうかとオロオロしだす。

 

「やあロキ、久し振りだね……」

「てことはそのガキヘスティアの眷属か! あかん、あかんでアイズたん! ヘスティアの子供に関わるなんてウチが許さへん!」

「え………」

 

 ロキの言葉にガン、とショックを受けたような顔をするアイズ。ロキの胸に罪悪感という名の刃が突き刺さる。

 

「駄目………なんですか?」

「え、あ………いや、えっと………だ、駄目というかその〜。ヘスティアの子やし絶対に嫌なやつに! や、ヘスティアの子やしなぁ…………」

 

 ヘスティアのお(ひと)好しさは神々の間でも有明らしい。嫌っていてもヘスティアが変な奴を眷属にしないと思っているらしい。

 

「たとえどんな極悪人でもなんかいい奴にしてまうヘスティアやしなぁ……」

 

 変な奴を眷属にしても浄化すると思われているらしい。

 

「と、とにかく駄目や! ヘスティアんとこの子と関わったら、なんかこう………」

「時間の無駄だろうがよお」

「そ、そう! 時間の無駄や!」

 

 と、狼人の言葉に賛同するロキ。狼人はベルを不愉快そうに睨みつけていた。そこまで敵視される覚えがないのだが、アイズが好きなのだろうか?

 

「無駄なんかじゃ、ない」

 

 ムッと頬を膨らませ拗ねたようにロキ達を睨むアイズ。大変可愛らしいが、嫌われた!? とショックを受けるロキ達。

 

「ロキ、やめろ。初対面の相手に失礼だろう。失礼、少年、神ヘスティア。それと…………っ! 貴方は、まさか」

 

 緑髪のエルフが謝罪し、ベル、ヘスティア、フェリと視線を移していき、固まる。

 

「…………貴方は、もしや………」

「私はフェリです。ベルに使える、ただのメイド」

「…………そうですか………いや、そうか」

 

 緑髪のエルフは深く検索しないことにした。

 

「私はリヴェリア。同胞よ、困った事があれば遠慮せず頼ってくれ」

「はい、その時は是非」

 

 エルフ同士仲良くなったようだ。或いは保護者同志と言い換えても良い。

 ベルは気にせず飯を食う。

 

「でぇ、お前はアイズたんの何なんや!?」

「ただの知り合い」

「友達、だよ?」

 

 違うの、と首を傾げるアイズ。

 

「………本も、貸してくれたのに」

「へ〜、どんな本?」

 

 と、褐色肌の少女、本来肉感的な体型が多いアマゾネスにしては貧相な少女がアイズに尋ねる。

 

「ネメアの黄金獅子退治…………」

「お〜、神時代前の、古代の英雄譚! 君、ひょっとして英雄譚好きなの!?」

 

 キラキラした目を向けてくる少女は人との距離感という概念が存在しないのか、ズイッとベルに顔を寄せた。

 

「………普通だ。祖父の影響で、人よりは詳しいだろうが」

「じゃあ、騎士ガラードが助けようとする人の名前は?」

「王女アルティス」

「じゃあじゃあ、竜殺しのジェルジオが倒した怪物の住処は?」

「シレイナの湖畔」

「じゃあじゃあじゃあ、その時に龍を倒した武器は!?」

「槍と見紛う聖剣と乙女の(リボン)

「おお〜!!」

 

 目が更に 眩しくなった気がして、ベルは目を逸らした。

 

「ね、ね! アタシティオナ! アタシとも友達になろ!!」

「嫌だ」

「ええ〜!? なんでなんで!!」

「五月蝿い」

「いいじゃ〜ん、英雄について語り合おうよ〜!」

 

 抱きついて距離感が完全にゼロになる。フェリとヘスティアはなっ、と驚愕し【ロキ・ファミリア】の面々は呆れたようにため息を吐く。

 アイズは面白いぐらい狼狽えていた。

 

「おやおや、ティオナったら大胆ですね〜!」

「あ、ラティファ!」

「何処のどなたが存じませんが、ティオナに捕まったら逃げられませんよ」

 

 また新しいのが現れた。

 

 

 

 

 結局その日はベルが折れた。

 

「またね〜、ベル!」

「また会いましょうね〜!」

「またね………」

 

 3人の美少女に見送られるベルを睨む【ロキ・ファミリア】の男達+エルフの少女。ベルは面倒くさそうにため息を吐いた。

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