不遇の王子がダンジョンにいるのは間違っている


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作:だめねこ
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第1話


大神官ハーゴンの討伐には成功したものの、ハーゴンは最後に自分自身を生贄捧げて破壊神シドーを召還してしまった。

 

ハーゴンとの死闘によりローレシアの王子ロランもムーンブルクの王女ルーナも体力、魔力共にもはや尽きかけている。

 

このままだと、三人共なすすべもなくやられて終うだけだ。

 

なら、サマルトリアの王子である俺だけが犠牲になるしかない・・・

 

ロランもルーナもバレて無いと思っているけど二人が相思相愛なのは見てれば分かる。

 

あーあ、俺も恋愛ぐらいしてみたかったぜ

 

「ロランにルーナもまだ生きてるか?」

 

「ああ、まだやれるぜ」

 

「こんなことぐらいで私たちは負けないわ」

 

へっへ全く二人ともボロボロの状態なのに良くもま~そんなこと言えるぜ!

 

「みんなアイツの弱点だけど分かったぜ。悪いんだけど一瞬だけで良いからシドーの動きを止めてくれないか?そしたら俺のとっておきの秘策であいつを粉々してやるぜ」

 

「相変わらず無茶を言うなサトリ」

 

「力自慢のロランならシドーなんて訳ないだろ?」

 

「ああ、全く余裕だね」

 

「それに魔法の威力だったらルーナの方が上なのは間違いだろ」

 

「ふふっあんな貧弱なイオナズンなんか相殺どころか飲み込んでやるわよ」

 

「なら問題ないなベホイミ」

 

俺は二人にベホイミを掛ける。

 

二人はベホイミの効果により体力が完全にって訳では無いが大分回復した。

 

「じゃあ作戦通り頼むぜ」

「ああ!」

「任せてイオナズン」

「イオナズン」

 

 ルーナとシドーが唱えた呪文は同時であり、目を覆う程の爆裂音が響き渡る。

 しかし、残り少ない魔力ではあるものの全てを振り絞ったルーナのイオナズンの方がシドーのイオナズンよりもわずかにだが威力は高く、ルーナの宣言通りシドーにだがわずかにダメージを与えた。

 

 そして、嫌がらせ程度ではあるものの三人の中で一番素早い俺がシドーの隼の剣で斬りかかる。

 

「古流剣術二文字! サマルトリア仕立て」

 

 シドーの体を切り裂く事は生憎俺の腕力では出来なかったが……薄くではあるもののシドーにダメージを与える事は出来た。

 

「グオォォォ」

「おいおい、俺なんかよりもあっちを気にした方が良いんじゃないか?」

 

 俺を睨みつけていたシドーにロランの方を指さすそうすると、シドーは正面に向き直るが……もう遅い

 

「これでも喰らえ古流剣殺法昇一文字!」

 

 下段から相手を持ち上げるように切り裂くロランの剣をシドーは腕をクロスして受け止めようとしたが……俺達はそんなに甘くはない。

 

「ルカナン」

 

 もはやないに等しいルーナのルカナンがシドーの守備力を下げる。

 そうなれば勿論……

 

「ぐぎゃああああ」

 

 馬鹿力のロランの一撃を防ぐ事なんか出来る訳無く、シドーの体を半分まで切り裂いたが……シドーはまだ、いや、やっぱりくたばっておらず、自身の身体に突き刺さった剣を掴み抜こうとしていた。

 

 ロランの力でもルーナの魔力でも仕留めきれなかったし、そもそもこうなる事は分かって居た。

 

「後は俺に任せろ」

「サッ……サトリどうする気だ!?」

 

 シドーの体を駆け上がりつつも剣を振るい少しでもダメージを与える。

 先ほどルーナが掛けたルカナンのおかげもあり、シドーの体に無数の傷が付くが……ロラン程のダメージは与えてはいないだろう。

 

「悪いなロランにルーナ……二人の結婚式には行けそうにねーけど、俺からのプレゼントだ。二人とも長生きしろよな。後親父と妹にはよろしく言っといてくれ」

 

 俺がそう言った瞬間二人は俺が何をしようと悟ったようだが……もう遅い!

 

「おい、破壊神様? 俺と一緒に地獄に落ちろ!」

「よせサトリ!」

「だめぇぇぇ」

「メガンテ!」

 

 シドーの首にしがみつき俺は爆発した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付くと俺は……見知らぬところに居た?

 

「あれ? ここ何処だ? 俺は確かシドーにメガンテを食らわしてくたばった筈だけど……?」

 




好評なら続きます。
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