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ジンギスカン“鍋”のギモン ドーム型の秘密

  • 2025年3月5日

今回のシラベルカは、北海道の“ソウルフード”ジンギスカンに関する疑問です。あの特徴的な鍋について調べました。
(札幌局映像取材 大和田純平)

ジンギスカン鍋のギモン

今回、質問を寄せてくれた大学生の中村友南さんと村上ひなたさんはジンギスカンを食べながらあることを疑問に思いました。

左)中村友南さん 右)村上ひなたさん

中村さん
「なんでジンギスカンの鍋ってこんな形をしているんだろうね」

村上さん
「普通の鉄板じゃだめなのかなぁ」

昔のジンギスカン鍋を訪ねて

ジンギスカン鍋は、なぜ中央が盛り上がるドーム型なのか。

その答えを求めて滝川市郷土館を訪れました。郷土館には羊に関するコーナーに併設して様々な形のジンギスカン鍋が展示されています。

さっそく学芸員の永井芳仁さんに、ジンギスカン鍋について聞いてみると…。

永井さん
「今はジンギスカン鍋に詳しい人が不在ですが、岩見沢にジンギスカン鍋の博物館を開いている溝口さんという方でしたら詳しい話が聞けると思いますよ」

ドーム型の理由とは

溝口雅明さんは、ジンギスカン好きが高じて道内各地からさまざまな鍋を収集し、ついには個人で博物館まで開いてしまった「ジンギスカン鍋博士」。岩見沢市にある博物館は冬季閉館中のため、電話でドーム型の理由についてうかがいました。

溝口さん
「余分な脂を羊の肉につかないようにするために、下に落とすということですね。2点目は、ドーム型にすることによって、鍋全体を均一の温度に保っておいしく焼けることができます」

理由1:余分な脂をブロック

昔のジンギスカンには、年老いた羊の肉が使われ、くせが強かったといわれています。肉から出た脂が再び肉に戻ると臭みが増してしまうため、しっかりと脂を落とすことが必要でした。

羊毛の自給のために、国策として羊の飼育が奨励されていた

理由2:“均一”を求めて

さらにドーム状にすることで、空気の対流が起こりやすくなり、鍋全体を素早く均一な温度に保つことができるようになりました。

道民の知恵と工夫の結晶 ジンギスカン鍋

溝口さんによると、鍋の歴史を知れば知るほどドーム型になった理由がよくわかるといいます。滝川市郷土館が所蔵する最も古いものは、金属製の網です。このときからすでにドーム型になっていました。しかし、これでは脂が炭に落ちてしまいます。

溝口さん
「日本には昔から七輪と網の文化がありましたからね。七輪にこの網をのせていたのですが、炭火に落ちた肉の脂が燃えてしまって炎や煙がすごく出たりするので、網はあまり適さなかったんですね」

その後、登場したのがスリット(切れ目)のついた鉄製の鍋です。ドーム型のため、脂が肉に戻らず炭にも落ちないようになりました。

溝口さん
「肉から出た脂はこの脂だまりにためて、かつてはこの脂を捨てて、肉を食べていました。実際に脂だまりで野菜などを焼くようになったのは戦後ぐらいからです」

ジンギスカンはもともと外で食べるものでした。溝口さんが収蔵する国産最初の家庭用ジンギスカン鍋は、脂を受ける部分がありません。脂を肉に戻さないように下に流して、そのまま地面に落としていたそうです。

さらに時代が進み、家の中でも食べられるようになり、調理器具に合わせて、鍋の形も変わりました。

溝口さん
「これはガスコンロになってからの時代の鍋です。スリット(切れ目)があると脂が落ちたあとの始末が大変なので、家庭でもこの鍋が普及しました」

食べる場所や調理器具が変わっても、ジンギスカンをおいしく食べたいという人々の思いが鍋の形を変えてきました。

フライパンでもジンギスカンが食べたい!

ドーム型の理由はわかりましたが、家庭の鉄板やフライパンでおいしくジンギスカンを作る方法はないのでしょうか。

質問を送ってくれた中村さんと村上さんがプロからその方法を教わります。教えてくれるのは調理師専門学校で料理を教える田村中(たむら・ただし)さん。

左)宮島学園北海道調理師専門学校 顧問 田村中さん

おいしく作るポイントは全部で4つ。

肉と野菜は、火の通る時間が違うため別々に焼きます。まずは肉を焼いていきます。

フライパンを傾けながら焼くことで、脂と肉を分けていきます。

肉を取り出した後に、うまみたっぷりの脂で野菜を焼いていきます。

水を加えることでカボチャなど固い野菜に火が早く通り、フライパンについた肉のうまみがより一層野菜にしみこんでいきます。

この4点をおさえるとフライパンでもおいしいジンギスカンを作ることが出来ます。

中村さん・村上さん
「おいしいです、いつもは家で作るときはフライパンで一緒に焼くだけだったんですけど、それに比べてすごくおいしくて、また作ってみたいと思いました」

宮島学園北海道調理師専門学校 顧問 田村中さん
「やっぱり野菜と肉を別々にするっていうのもね、それぞれの味が出ますからそれもコツですよ、ぜひおうちでも作ってみてください」

最後にご自宅でつくれるジンギスカンにあうタレのレシピを田村さんがこっそり教えてくれました、こちらもぜひ試してみてください。

材料

りんご1/4個・たまねぎ1/4個・にんにく1かけ・しょうが1/2かけ・白ワイン100cc・しょうゆ50cc・砂糖小さじ4・中華スープの素 適量・ブラックペッパー 適量・一味唐辛子 適量

作り方

りんご、たまねぎ、にんにく、しょうがをすり、全ての材料を鍋にいれ、沸騰するまで火にかけて完成です!

こちらはカラメルを入れて黒く色がついています
レシピでは白いタレになります

取材後記

今回は鍋の変遷が分かりやすいように特徴的なジンギスカン鍋を選んでご紹介しましたが、溝口さんが開く博物館には600枚以上の鍋が収蔵されているそうです。どの鍋にも様々な工夫が施されているとのことで、鍋を通じて北海道の方々のジンギスカンにかける情熱を感じることができました。ぜひ皆さんもジンギスカンを食べる時は、肉と野菜だけでなく鍋にも注目して、その情熱に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

投稿はこちらから👇

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  • 札幌放送局 映像取材

    大和田純平

    2020年入局。2024年9月、高知局から札幌局に異動。北海道1年目の目標は、桜の下でジンギスカンパーティーをすることです。

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