悠仁さま成年会見に見えた「将来の天皇」としての片鱗 「お話は控えさせて…」のとっさの判断力
秋篠宮家の長男で、皇位継承順位第2位の悠仁さまが3月3日、成年にあたって初めての記者会見に臨んだ。約30分間の会見中、メモなどを見ることもなく、落ち着いた口調で記者とやり取りした悠仁さま。そんな姿に皇位継承者としての資質を見たと、専門家は言う。 【写真】スマホの「自撮り」に最高のスマイルで応じる天皇陛下はこちら! * * * 「成年皇族としての自覚を持ち、皇室の一員としての役割をしっかりと果たしていきたいと思っております」 記者たちを前に約30分間。悠仁さまは手元にメモを置くこともなく、目の前に並ぶ記者たちにゆっくりと視線を向けながら、はっきりとした口調で自身の成長を見守ってくれた人たちへの感謝の言葉などを述べた。 その落ち着いた様子に、皇位継承者としての成長を感じた人も少なくなかったのではと、宮内庁職員を長く務めた皇室解説者の山下晋司さんは話す。 「ゆっくり、ひと言ひと言はっきりと話されていましたので、非常に聞き取りやすかったですし、全体を見渡す所作も公式な記者会見の場にふさわしいものでした。ご回答の内容自体は無難なもので、『おことば』のような感じでしたが、将来の天皇というお立場を鑑みればやむを得なかったと思います」 昭和の時代に浩宮さま(天皇陛下)の「臨時家庭教師」を務めた比較文化史研究者の故・芳賀徹東京大名誉教授は、かつて筆者にこんな話をしてくれたことがある。 皇太子時代の陛下は、都内で開かれた水に関する国際的な学会で、英語で約30分間の講演をしたことがある。その場にいた芳賀さんが驚いたのは、語学力ではなかった。 「感心したのは、特定の人間と目を合わせることはしないが、会場に居合わせた人びとがみんな『皇太子さま(天皇陛下)は、私を見ている』と感激するような目線、振る舞いを終始徹底されていたことです」 これが帝王学なのかと実感したと、芳賀さんは振り返っていた。
■「踏み込んではいけない」の判断力 また、悠仁さまの記者会見で山下さんが驚いたのは、悠仁さまの機敏な判断力だった。 通常の会見では、記者がどういうことを聞くか、あらかじめ質問内容が提出されている。しかし、皇室のメンバーが緊張するのは、その質問のやり取りの後にある「関連質問」。どんな質問が飛んでくるかわからないため、その場での対応力が求められるのだ。 悠仁さまの会見では、最初の関連質問が「戦後80年の節目となる今年、戦後生まれの人が大半となり、悠仁さまはその歴史とどう向き合うのか」という内容だった。 あらかじめ想定してあったのか、悠仁さまは幼少の頃から戦争に関する資料館や沖縄、長崎、広島を訪れ、そして先月も舞鶴引揚記念館(京都府)で語り部から話を聞いたことなどを、具体例を挙げて流暢に答えた。 そんなやり取りのなかで山下さんが注目したのは、同じ関連質問のなかで上皇ご夫妻から戦争について聞いた話やエピソードについて尋ねられた際の対応だ。 悠仁さまは、上皇ご夫妻から話を聞く機会はあった、としながらも、 「詳細について、お話は控えさせていただきたいと思います」 と、具体的な内容には踏み込まなかった。 実際の経験を話すことができれば、説得力のある回答になったはずだが、悠仁さまはなぜ控えたのか。山下さんはその背景について、こう分析する。 「上皇、上皇后両陛下から伺ったお話をおふたりの承諾を得ることなしに話すべきではないと判断されたのでしょう。事前に出されていた質問ではありませんので、その場で回答を考えないといけないのですが、非常にいいご判断だったと思います」 振り返れば、秋篠宮家の長女の眞子さんと小室圭さんの婚約内定時代に、小室さんがマスコミに眞子さんとの会話の内容を口にしたことで、騒ぎになったことがあった。 悠仁さまの危機管理能力に優れた瞬時の判断力は、皇族としての長年の振る舞いと教育の蓄積の上にあるものだったのかもしれない。