兵庫県、財政健全化が徐々に進展 税収増で県債残高2年連続減・23年度決算

20240821兵庫県県債残高グラフ

【神戸経済ニュース】兵庫県が21日に発表した2023年度の決算は、一般会計の実質単年度収支が90億円の黒字(22年度は44億円の黒字)だった。企業収益の拡大などで県税収入が9213億円(22年度比136億円増)と増え、3年連続で過去最高を更新。地方交付税、国庫支出金、県債発行による収入がいずれも減額だったが、新型コロナウイルス対策の費用の減少で補った。期末の県債発行残高は2年連続で減少。財政調整基金は1994年度末(95年3月末)以来29年ぶりに残高が100億円を超え、財政健全化が徐々に進展していることが決算に表れた。

 新型コロナ緊急包括支援交付金を活用した事業の実績減で106億円をのちに返還する必要があり、この分を除いても実質単年度収支は35億円の黒字になった。

 一般会計の歳出規模は22年度に比べて1940億円減(7.5%減)の2兆3835億円だった。新型コロナの病床確保支援事業が終了したことなどで、行政経費が44.8%減の2043億円と大幅に減少した。定年引き上げに伴い、23年度は退職者が減少したことから退職手当の減少で、人件費も2.8%減の4467億円になった。公債費は、旧北神急行電鉄の経営対策資金貸付のために発行した地方債の償還が22年度に終了したことなどで、1%減の2625億円だった。一方で社会保障関係費も、介護職員などの処遇改善補助事業が終了し、微減の3608億円になった。

 歳入規模は2010億円減(7.7%減)の2兆4077億円だった。国からの地方交付税は2.1%減の9213億円になった。県税収入の増加などに伴う措置。加えて「新型コロナウイルス感染症対策緊急包括支援交付金」が減少したことで、国庫支出金も45.2%減の2367億円と減少した。一方で増加した県税収入のうち、個人県民税は4.4%増の2241億円、法人関係税は4.0%増のの1932億円、地方消費税は輸入の減少による貨物割の減少によって微減の2586億円になった。

 23年度の兵庫県債発行額は22年度に比べ39億円減の1273億円だった。23年度の発行額のうち、本来は国が兵庫県に支払う地方交付税の代わりに発行する「臨時財政対策債」が256億円。22年度に比べ216億円減少したことも影響した。23年度末(24年3月末)時点の県債発行残高は4兆9503億円と、3年ぶりに5兆円の大台を下回った。

 財政調整基金の期末残高は127億円。阪神淡路大震災後に一時は残高300万円とほぼ枯渇した基金の残高は、前期末で67億円近くまで回復していた。23年度決算では財政調整基金に積み立てられる剰余金が約60億円発生したことで、万が一に備えた貯金が一定規模で確保できた形になった。財政調整基金の残高を100億円まで回復させることは、斎藤知事が21年の知事選に出馬した際に掲げた公約の1つでもあった。

 財政の健全性を反映する財政指標では、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率の1つである「将来負担比率」が321.5%と、22年度(330.8%)から9.3ポイント改善した。将来返済が必要な負債や赤字の規模と、財政の規模を比較して算出する指標だ。1995年の阪神淡路大震災の復興資金が重荷になり、長年47都道府県の最下位で推移してきたが、北海道や新潟県などと肩を並べる水準まで回復してきたといえる。28年度(令和10年度)までに305%程度まで改善する目標を維持する。

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