溶けるような柔らかさ…九州から東京へ『資さんうどん』「『丸亀製麺』も脅威にならない」新ブームの味
オープン当日は170人ほどの行列
東京の人間には馴染みのない食感だが、クセになりそう。麺は口の中に入れると溶けるような柔らかさだが、芯はしっかりコシがある。やや濃い目で甘い出汁も、一度体験すると忘れられない味だ――。
本誌記者が食べたのは、『資さんうどん』(本社・福岡県北九州市、以下『資さん』)の主力商品『肉ごぼう天うどん』(770円)。『資さん』が九州から東京へ進出したのは今年2月(両国店)だ。オープン当日は、170人ほどの行列ができるほど盛況だったという。創業から50年近く経つ九州のソウルフード『資さん』が、関東へ拡大するキッカケは昨年10月だった。
食品業界に詳しい経済ジャーナリストの松崎隆司氏が語る。
「外食大手『すかいらーくホールディングス』が傘下に収めたんです。食品業界では『箱根越え』といわれるくらい東西に味の好みの違いがあり、西日本のチェーン店が関東に進出するのは難しい。『資さん』も『すかいらーく』のバックアップがなければ、実現しなかったでしょう」
『資さん』は昨年12月に、千葉県八千代市に関東1号店をオープンさせている。同店の売り上げは1日約200万円だとか。ファミリーレストランの1日の売り上げが40万円ほどといわれるなか驚異的な数字だろう。松崎氏が続ける。
「客単価800円とすると、1日に2500人ほどの来客があったことになります。座席のメインは4~6人が座れるボックス席。従来のうどんチェーン店は立ち食いに近い印象がありますが、八千代という郊外の土地柄上、ゆっくり食事を楽しみたいファミリー層の獲得成功が好業績に貢献していると考えられます」
これまで、うどんチェーンの2強といえば『丸亀製麺』(全国約840店舗)と『はなまるうどん』(同約410店舗)だった。関東へ進出したとはいえ、同約75店舗の『資さん』に勝機はあるのだろうか。
「関東での勝機は十分ある」
「確かに業態としてはうどんチェーンになりますが、『資さん』と『丸亀』や『はなまる』はうどんの質やサービス内容が違い、強い競争関係にならないと思います。うどんの質は、『丸亀』が歯ごたえのある硬い讃岐風。『資さん』は真逆の柔らかい北九州風です。メニューも『丸亀』がうどん中心なのに対し『資さん』は豊富。うどんだけで50種類以上になります。丼などを含めれば100種類を超え、わらび餅やソフトクリームなどスイーツも充実しているんです。
『丸亀』や『はなまる』はセルフサービス中心で働く人たちが主なターゲットですが、『資さん』はタブレットオーダーのフルサービスで落ち着いて食べられファミリー層にも人気。家族で楽しめる、うどん風のファミレスといえるでしょう。今後、店舗が急増してもかぶる部分が少ないため『丸亀』は大きな脅威にならないはず。ライバルの少ない『資さん』に関東での勝機は十分あると思います」(松崎氏)
ビジネスとして成功するだけでなく、『資さん』が一大ブームを起こす可能性もあるという。
「これまで、うどんといえば『丸亀』などの硬い讃岐風がメインでした。柔らかい食感の『資さん』は真新しさと意外性があり、新しいトレンドになるかもしれません。昔、醤油が中心だった東京のラーメン界に、豚骨や北海道風の味噌味が進出し『ご当地麺ブーム』が起きました。東京に住む人間にとっては未知の『資さん』により、新たな『うどんブーム』が到来するかもしれないんです」(同前)
斬新な柔らかさのうどんが、関東人の胃袋をわしづかみにしそうだ。