R−1グランプリ2025 芸歴3年の友田オレが優勝 審査員は何を基準に選んだのか
R−1グランプリの世界
R−1グランプリは、見ていても何だか穏やかである。
時間が押して、最後のコメントがよく聞き取れない、なんてことは起こらない。
そこまで強い熱はない。
M−1とは違う。
たぶんそれでいいのだとおもう。
優勝は芸歴3年目の友田オレ
2025年の優勝は友田オレだった。
芸歴3年目、23歳の若手である。
最後3人に残ったのは、友田オレと、田津原理音、ハギノリザードマンであった。
田津原は若いが2年前の優勝者、ハギノリザードマンは芸歴20年を超えるベテランである。
スター性なら友田オレだなとおもったら、そのとおりである。
なかなか新鮮でいい。
芸歴の長い芸人の多いR−1グランプリ
R−1は年齢制限をはずしたので、かなり芸歴の長い芸人の出場が目立つ。
2025年大会の決勝では、芸歴10年以下なのは、優勝した友田オレと吉住だけであった。
チャンス大城は1990年代のデビューだから、優勝した友田オレが生まれる前から芸人をやっている。
年季が入っている。
ルシファー吉岡や、チャンス大城、マツモトクラブ、ハギノリザードマンはみな40歳以上で、どうしてもおじさんが目立つ。
たぶん全体に穏やかな空気になるのは、そのキャリアも要因なのだろう。
審査員は7人に戻った
審査員は7人に戻った。
7人審査員の時代がふつうだったわけではないが、7人制に戻って、これはこれで落ち着きがあるように感じる。
7人だと、それぞれの好みが分かれて、それがはっきり出る。
審査員の大きな作業は「ファイナルに出る3人を選ぶ」ということにある。
つまり6人落とす、ということだ。
3人選びきらない審査員もいる。それぞれの審査員が選んだ上位は以下のとおりであった。
ザコシは5人選んでいた
ハリウッドザコシショウ
・チャンス大城 96
・ハギノリザードマン 95
・友田オレ、田津原理音、さや香新山 92
佐久間一行
・友田オレ 98
・田津原理音 97
・ハギノリザードマン 96
野田クリスタル
・友田オレ 97
・ハギノリザードマン 96
・チャンス大城 95
小籔千豊は2位が同点
小籔千豊
・友田オレ 96
・ハギノリザードマン、吉住 95
友近
・マツモトクラブ 97
・ルシファー吉岡 95
・友田オレ、吉住 93
バカリズム
・ルシファー吉岡 95
・チャンス大城 93
・友田オレ 92
陣内智則
・田津原理音 96
・友田オレ 94
・チャンス大城 93
佐久間一行の上位三人がファイナルに進む
ファイナルに進んだ3人をきれいに選んだのは佐久間一行であった。
佐久間一行は今年初めての審査員。
2011年のR−1のチャンピオンである。
いま、バラエティ番組ではそれほど見かけるわけではない。
着実な芸人という存在なのだが、彼の審査員ぶりは印象的であった。
4位以下はこの点数であった。
マツモトクラブ 95
ルシファー吉岡 94
吉住 92
ヒロ・オクムラ 91
チャンス大城 90
さや香新山 89
佐久間一行は騒々しい芸に点数をつけない
あらためて見返すと、騒々しい演者にあまり点数をつけてない。
さや香新山はすごい勢いで出てきて、勢いだけで喋りきろうとしていた。
そう見えた。
スタンドマイクを無視して前に出て喋っていて、でもこれは、たぶん劇場用の芸である。劇場だとめちゃくちゃ受けそうだ。
でもR−1はテレビ芸として審査されている。
ここまで押してくると、やはり評価されない。
審査員の寸評を聞いているときの新山の表情はちょっと気の毒であった。
チャンス大城の芸も採点のむずかしいところで、客に受けるという点ではすごいところがあった。そこを大きく評価する人と、そこで点を絞った審査員に分かれた。
劇場で受ける荒々しい芸を評価するかどうか、というところである。
ハリウッドザコシショウがチャンス大城に96点つけていたのはとても納得する。
佐久間一行と野田クリスタルだけの傾斜採点
全員に点差をつけたのは佐久間一行と、野田クリスタルだけである。
野田の点数は以下のとおり。
友田オレ 97
ハギノリザードマン 96
チャンス大城 95
マツモトクラブ 94
田津原理音 93
さや香新山 92
ルシファー吉岡
吉住 91
ヒロ・オクムラ 90
野田クリスタルは、ネタに一貫性を求めておらず、受けのいいものから評価するというようだった。
R−1のピン芸人のネタの世界
R−1では、小ネタをつなぎ合わせてとにかく笑いを拾っていくネタと、とりあえずひとつの世界を構成して、そこでのネタを見せる芸に分かれる。
さや香新山は、脈絡のないネタを連発していた。開き直ってそういう世界を見せた。
逆にきちんと整った世界を見せたのがトップバッターのヒロ・オクムラで、会社の面接試験の模様で展開して、その世界を演じきった。
さや香新山は、気持ちが先に出すぎているところがまずいと指摘されていたし、ヒロ・オクムラはつまりは整いすぎていて惜しいと言われていた。
つまり、どっちかに偏ると、どっちも評価されにくい。
友田オレ「辛い食べ物節」のネタの強さ
つまるところ「小ネタの連続」をどうやってみせるかがR−1の結果につながるとも言える。
そういうなかで、友田オレは歌ネタの形で、辛い食べ物あるあるを入れ込んだネタで、奇妙なバランスが評価されたようだ。
辛い食べ物あるあるも、深みがない。ただバカバカしい。
友田オレ本人は23歳と若いのに、ベテラン演歌歌手役を演じて、そこもまたバカバカしい。その清々しいくらいのバカバカしさが評価されたとおもう。
ネタが終わって、司会の霜降り明星と広瀬アリスと喋るときも、友田オレは演じた演歌歌手のトーンのまま喋っていて、そこもバカバカしかった。
それを若者が演じているというところが好感を持たれたとおもう。
フレッシュなピン芸人が出てきたのは、とても注目である。
審査員も初めての審査である佐久間一行が、もっとも全体審査トーンを反映していて、そのあたりもおもしろかった。
静かに新しい風が吹き始めているのかもしれない。