2021年に酒田市で女子中学生が校舎から飛び降り死亡した問題について、いじめとの因果関係について調べていた再調査委員会はきょう、「いじめとの因果関係は認めるに足らない」とする 調査報告書を市に提出しました。

この問題は、2021年2月、酒田市立第一中学校で、当時1年生の女子生徒が飛び降りて死亡したものです。

その後、市が設置した第三者委員会がいじめと自殺の因果関係を調べ、当時の丸山市長に報告書を提出しましたが、遺族は、事実認定にかかる経過などが表現されていないとして「再調査委員会」が設置されていました。

「再調査報告書を提出させていただきます」

「ありがとうございました」

きょうは、県外の医師や学識経験者、弁護士などからなる「酒田市いじめ重大事態再調査委員会」が調査結果をまとめ、市に報告書を提出しました。

報告書には女子生徒が入学から自殺に至るまでの学校生活の内容が記載されていて、「いじめ」に当たる行為があったかや自殺にいたる心理的な経過が推察されています。

調査ではいじめはあったとしながらも「因果関係は認めるに足らない」と報告しています。

酒田市いじめ重大事態再調査委員会 栗山博史 委員長(弁護士)「生徒自身が抱えていた否定的な自己認知や不全感、孤独感の程度は相当に大きい。比較すると中学に入ってからの複数の体験(いじめ)による影響の程度は大きくない。生徒に対するいじめと自殺との因果関係は認めるに足りないという結論に至った」

この報告書を市では再発防止を目的に近日中に酒田市のホームページで公開するということです。

委員会では、再発防止策としてこどもが悩みを抱えた時に対応する組織の整備や、有識者を交えた定例会議を開催することなどを提言しています

酒田市いじめ重大事態再調査委員会 栗山博史 委員長(弁護士)「重要なことはその子どもが何に悩んで何に苦しんでいるのかを子どもから話を聞いて対応すること。その中にはいじめも含まれるが、子どもの悩みがいじめでないこともある。いじめが悩みでない場合も声を聞いて医療・福祉など専門家の力を借りて支援することが必要」

調査報告書の提出をもって再調査委員会は終了となります。

調査報告書の交付を受けて遺族は 

遺族の父「『イジメられた事実はあるけどもイジメで死んだわけではない』このような全く理解できない判断に、悲しい気持ちに打ちひしがれました」

遺族の母「調査に対し長期間、多大な労力と時間を費やしていただき、皆様に深く感謝いたします」とコメントしています。