第1回娘の不登校、残高は30万円 離職した親「どうやって食べてく?」

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本間ほのみ 久永隆一
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 コロナ感染がきっかけだった。

 北海道の女性(48)の長女(12)は、小学4年だった2022年11月、学校に行かなくなった。新型コロナウイルスに感染して以降、吐き気がおさまらず、学校を休み続けた。後に「精神的なもの」と医師に言われるが、当時は病院を受診しても原因は分からなかった。

 この頃、女性はコールセンターで契約社員として働いていた。体調の悪い娘を留守番させられない。有給休暇や介護休暇などを使い、約1カ月仕事を休んだ。ただ、娘の調子は良くならなかった。

 職場は、自宅から電車で往復3時間。ひとり親で、家計のためには働くしかない。会社からは休職を提案された。休職は自己都合で取れる会社の制度で、取得中は無給、期間は3カ月だった。

月10万円の切り崩し

 休職したが、娘は相変わらずだった。復帰のめどは立たず、23年1月末に退職。定期的な収入は途絶えた。退職当時の口座残高は30万円。退職は自己都合とされ、失業給付はその年の5月までもらえなかった。

 食費などで月に10万円以上を切り崩した。「どうやって食べていこう」。返すアテもないのに、借金することも考えた。

 変化があったのは4月。娘を…

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この記事を書いた人
久永隆一
東京社会部|機動チーム
専門・関心分野
社会保障、教育、こども若者、貧困、人口減少
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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2025年2月6日11時17分 投稿
    【視点】

    【不登校離職、深刻な問題です】不登校30万人時代の中で、その子どもの親たちを支える仕組みも必要ではないでしょうか。 この記事の通り特にひとり親世帯では、子どもの不登校で親が仕事を休めば収入を失うことになります。 不登校の子どもたちがフリー

    …続きを読む
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    太田啓子
    (弁護士)
    2025年2月6日13時6分 投稿
    【視点】

    「不登校離職」という言葉が普及することで、親子のつらい現状が可視化され、社会的支援が充実することを期待したい。 不登校の子どもを抱える親の苦労は並大抵ではない。 父母が円満であっても、子どもを支えるためにどちらか(多くの場合母親)が離職せ

    …続きを読む