2025-03-09

職業ドキュメンタリー増田NO.17「建造物養護教諭

建造物養護教諭はほほえみながら町を歩く。

「町を歩きながら挨拶します。一軒一軒名前を呼ぶんです」

建築技術が発展した現代社会においても、民家などの建造物はケガ、体調不良心理的な悩みを抱えている。

このような建造物を見つけては寄り添う職業、それが建造物養護教諭だ。

「みなさんにとって保健室先生が馴染み深いですよね。私は建物保健室先生なんです」

建造物養護教諭20年のK川さんは語る。

建物たちは日々成長します。その小さな変化を受けとめてあげたいんです」

取材に訪れたのは、冬の足音が近づく秋ごろ。

もうすぐ冬休みなので、建造物養護教諭としての仕事も落ち着くのではないか

そう質問すると、意外な答えが返ってきた。

「いえ、冬休み中も仕事は続きます建物たちに休みはありませんからね」

気になる民家に近づき、やさしく壁面をなでる。

「正直、荷が重いです。でも、いつも建物たちの味方でありたいと思うんです」

K川さんはバッグからバンドエイドを取り出し、横に広がるひび割れにそっと貼る。

「もう大丈夫だよ増田町285……」

そんな、地域必要不可欠とされてきた建造物養護活動だが、建築技術の高度化により、年々対応が難化しているという。

「たまに、建物たちの気持ちがわからないときがあるんです。昔はもっとすなおで柔らかい子が多かった気がします」

長年共に成長してきたK川さんは、もうすぐ異動だという。

「ことばは宙に舞い、思いは地に残ります。これからも一人一人と向き合っていきたいですね」

成長まっただなかの建物たちと共に過ごす。己の覚悟を試される職業建造物養護教諭

私達はその縁の下の力持ち存在気づき、より評価すべきだろう。安心を包み込む、建物たちのように。

職業ドキュメンタリー増田、次回NO.18は「素手天ぷら料理人」を予定しています

anond:20250308214518

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