「早朝、午前、午後、夜。毎日四回、くりかえし町内を巡回してます」
屋外やベランダに干した洗濯物が風で飛ばされたり、コインランドリーの行き帰りに落としたり、はたまた何らかの事情で脱ぎ捨てられたり。
衛生観念の発達した現代社会においても、様々な理由で女性用下着、すなわちパンティーが道端に落ちていることがしばしばある。
そうした迷子のパンティーを見つけ出し匿ってあげる職業、それがパンティー保護司だ。
日本で数少ない現役パンティー保護司の一人であるM島さんは語る。
「行き場のないパンティーが今もどこかの街角で孤独に震えている。そう思うと、いてもたってもいられないんです」
取材に訪れたのは、まだ雪の残る春の初めごろ。
このような肌寒い季節では、パンティーが室外で干されることがあまりないため、保護の機会も少ないのではないか。
そう質問すると、意外な答えが返ってきた。
「春先には、溶けた雪の下からパンティーがひょっこり出てくることがあるんです。穴場の季節ですね」
発見したパンティーをM島さんは自宅兼仕事場に持ち帰り、念入りにクリーニングを行う。
「土まみれ泥まみれのパンティーをていねいにていねいに洗っていくと、ある瞬間に、パッと輝きだすんです。みにくいアヒルの子ってあるじゃないですか。あんな感じに」
M島さんの自室には、色とりどりの保護パンティーたちが美しくディスプレイされている。M島さんは、そのひとつひとつに名前をつけて平等に可愛がっているのだという。
そんな、地域に必要不可欠とされてきたパンティー保護活動だが、防犯意識の高まりなどにより、道端にパンティーが落ちていることも年々少なくなってきているそうだ。
「パンティーたちにとっては、いいことなのかもしれません。でも、やっぱりちょっと寂しいかな。親の代から続けてきた仕事ですから」
日本でパンティー保護司を続けることが難しくなった場合に備えて、海外への移住も考えているという。
「はぐれパンティーがたくさんいる国は、世界にはまだまだありますからね。そうした大勢のパンティーたちを救うために海を渡るという選択も、自分としてはアリだと思っています」
生涯をパンティーに捧げる。その強い覚悟がなければ務まらない職業、パンティー保護司。
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