<再考察>マルちゃん「赤いきつね」CM 油揚げの「うるおい」「柔らかさ」と「女性らしい」映像世界
新聞を見ていると人工降雨といふ大見出しの活字がある メロドラマといふルビはどうか(小津安二郎)(注1) 【図5、6】「ちょうど女性を軸にして部屋の左右が寒色と暖色にわかれている」赤いきつね 緑のたぬきウェブCM 「ひとりのよると赤緑」 おうちドラマ編 「たぬきじゃなくてきつねなのか(笑)」。先ごろ公開されたマルちゃん(東洋水産)のウェブCMにはそんな声が寄せられている。当該CMは赤いきつねにフォーカスした「おうちドラマ編」と緑のたぬきの「放課後先生編」の2種類が作られており、それぞれ声優の市ノ瀬加那と畠中祐が起用されている。上記のコメントは市ノ瀬の当たり役スレッタ・マーキュリー(「機動戦士ガンダム 水星の魔女」)を念頭に置いたものである。どことなくたぬきを思わせるスレッタは、作品のファンから「水星たぬき」の愛称で親しまれている。このようなCM外の文脈を踏まえて、たぬきがきつねを宣伝していることにおかしみを感じているわけである。
水星〝たぬき〟の〝きつね〟起用は必然だった
俳優/声優と出演作品は別物とはいえ、はまり役や代表作のイメージはその後のキャリアにつきまとう。武田鉄矢と金八先生、大山のぶ代とドラえもんなどのように、ある世代の人々のなかでは俳優/声優本人のイメージと演じた役のイメージとが不可分に結びついている。短い尺で商品なりサービスなりの情報を伝えなければならないCMが、あらかじめできあがっている出演者のイメージを借り受けることはきわめて理にかなっている。今回のマルちゃんのウェブCMの場合は、一方の商品名にせっかくたぬきが入っているのだから、そちらに市ノ瀬を起用してもよさそうなものである(「水星の魔女」や市ノ瀬のファンは喜ぶだろう)。しかし、じっさいにはそうなっていない。なぜ、市ノ瀬加那は緑のたぬきではなく、赤いきつねのCMにキャスティングされたのだろうか。 CMの目的はブランドの認知や人気を高め、商品やサービスの購入を促すことにある。その目的に照らしたときに「市ノ瀬は緑のたぬきではなく赤いきつねに起用した方がいい」という判断がどこかの段階でなされたはずだ。もちろん、筆者はその内情を知るよしもないが、完成したCMから理由を推測することはできる。結論から言えば、赤いきつねがきつねうどんであり、そこに油揚げが入っているからである。
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