永田町で仕事をしていたとき、政治情勢については議論百出で、どれが本当なのか、分からないことが大半だった。
怪文書も飛び交ったし、その怪文書も多少の真実があるうえ、その怪文書が政治家の判断に影響を与えるものだから、それを怪文書だと切って捨てるわけにもいかない。
マスコミも新聞によって同じ事象でも報じる内容が異なるうえ、同じ新聞社でも書くことが違うことも多々あった。しかも自分が関係している政治家や党の動向についても、当事者である自分が知らないことが、さも真実であるかのように報じられることもあり、困惑することも多かった。
要はそれほど現在進行形の政治というものを正確に理解するのは難しいということだ。
よって、ジャーナリストや評論家があれこれと言うのを聞いて、「まあ、そういう捉え方もあるよね」みたいな受け取り方をしていた。よって、根拠があいまいな話には距離を置くようにしている(根拠があいまいだから、嘘だと言っているわけではない)。
いわんや外国、アメリカの政治の内情なんて、アメリカのジャーナリストでさえ実際のところをすべて把握できている人など、いないはずである。ましてアメリカに住んでいない日本人が混乱極まるアメリカ政治の実際を正確に把握できるはずもない。
そんな「常識」をもって、新聞などの情報も話半分に聞いておくようにしておいたほうがいい。
私が政府の公式見解などを踏まえて議論をするのも、少なくとも政府の公式見解、公文書はそれなりのものだと理解しているからだ。
ちなみにインテリジェンス・ヒストリーの基本は、政府の情報機関などが作成した文書、または政府の公文書などを踏まえて、「過去の」国際政治や国内政治とインテリジェンスの関係を議論することだ。過去の話ならば、ある程度、客観的な判断材料を得ることができるからだ。
よって現在進行形の政治については、極めて慎重な判断をしているが、それは永田町で仕事をしていたときの経験に基づいたものだ。はっきりとものを言わないのはどうなのかというご批判を受けることもあるが、ご理解を賜れば幸いだ。
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