国立大協会、少子化対応の将来像策定 費用負担のあり方「国検討を」

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記者会見で質問に答える国立大学協会の永田恭介会長=東京都千代田区で2025年3月5日午後5時53分、井川加菜美撮影

 全国85の国立大でつくる一般社団法人国立大学協会は5日、総会を開き、急激な少子化に対応するための「国立大学の新たな将来像」を大筋で取りまとめた。国立大の進化と発展には「運営費交付金をはじめとする国による財政的基盤の十分な確保が必須」と指摘。国立大の費用を国や学生、保護者、社会にどのように求めるべきか、国が検討することを求めた。

 取りまとめでは、大学進学者数が現在から2割以上減少すると推計される2040年に向けた具体的な方策を提示。博士号取得者数を1万人から3万人に増やす▽留学生比率を3割以上にする▽国立大の女子学生比率を50%に近づける――などが盛り込まれた。学部や大学院の定員を人口減に応じた適正な規模に調整することも言及している。

 国立大は基盤的経費となる国からの運営費交付金が増えず、物価や光熱費の高騰などにより財務状況が厳しさを増している。この点について、国立大の存在意義は社会の発展と国民の幸福にあるとし「受益者は国と国民全体」と指摘。財政的な支援の強化は「わが国社会の高度化につながる未来への投資」と強調した。

 その上で、費用負担について「どこまで国が責任を持ち、どれだけの負担を学生や保護者、社会に求めるのか、真摯(しんし)に検討されることを望む」と国に求めた。会長の永田恭介・筑波大学長は記者会見で「教育・研究を高度化していく以外に日本に生き残る道はない。お金がかからないわけはないが、重要なのは投資する価値を見いだせるかどうかだ」と述べた。

 大学の将来像を巡っては、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が2月、急速な少子化を見据えた大学など高等教育のあり方をまとめ、阿部俊子文科相に答申した。文科省は今夏をめどに、制度改革や財政支援の取り組みなど10年程度の工程を示した政策パッケージを策定する。【井川加菜美】

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