伊藤詩織監督「もっと映画作ってみたい」米アカデミー賞授賞式から一夜明け/単独インタビュー
【米ロサンゼルス3日(日本時間4日)千歳香奈子通信員】米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた「Black Box Diaries」の伊藤詩織監督(35)が、授賞式から一夜明け日刊スポーツの単独取材に応じた。 【写真】鮮やかな衣装でアカデミー賞授賞式に出席した伊藤詩織監督 アカデミー賞97年の歴史で、日本人監督作品が同部門に初めてノミネートされた意義を強調し「もっと映画を作ってみたいと思いました」と映画製作を続けていくことを示唆した。 15年4月に元TBS記者の男性から性的暴行を受け、調査に乗り出す様子を6年にわたり記録した作品で、大物プロデューサーの性犯罪を契機に「#Me Too運動」が起きた米国の、映画最高峰の舞台に立った。伊藤監督は「一番つらかった被害を話した直後のことを考えると、周囲から反対されたけど本当に信じてきたおかげ」と涙した。 米国の刑務所の実話を元に描き、3部門にノミネートされた米映画「SING SING シンシン」のグレッグ・クウェダー監督と話し、1つの目標もできた。「パーソナルなレベルで考えたいことは、誰かと映画館で共有するのは映画体験だからこそできる。『シンシン』のように実際に経験された方々と話しあいながら、フィクションを作っていくのに魅力を感じています」と語った。 ○…「Black Box Diaries」は50を超える国と地域で上映、配信されている一方、日本での上映は決まっていない。裁判手続き以外の場で使用しないと誓約したホテルの防犯カメラ映像や、捜査官らの肉声を無断で収録し、加工しないまま使用したことに対し、取材源の秘匿が守られておらず、人権侵害だと批判の声がある。伊藤監督は「日本の劇場で皆さんと一緒に見られるように励んでいきたい。その日を夢見ています」、プロデューサーのエリック・ニアリ氏は「次は難しいパートへと再挑戦です」と語った。