「無知な受験生を囲い込む、悪魔のような制度」自治医大の修学金貸与制度巡り卒業生の医師が提訴
「無知な受験生を囲い込む、悪魔のような制度」
また、この日会見に出席したA氏は、裁判の意義について次のように述べた。 「現在、自治医大と同様の制度は“地域枠”などの名称で、他大学の医学部にも転用されています。 これらの制度は、医師不足を解消するために導入されました。しかし、受験や入学の時に説明のなかったキャリア選択の制限などによって、私以外にも、多くの未来ある医師や医学生が人権侵害を受けています。 医師としてのキャリア選択は、決して高校生や受験生に想定できるようなものではありません。医学部受験という最大のプレッシャーの中にいる彼らにとっては、なおさらではないでしょうか。 一見もっともらしい制度ではありますが、無知な受験生を囲い込んで、卒業後、退職の自由を奪った上、不当な労働条件で使いたおす、まさに悪魔のような制度だと思っています。 裁判を通じて、この問題が広く社会に認知され、制度の改善が進むことを望みます」 なお、自治医大は本件について「訴状が届いておらず、原告の主張の詳細は把握できていない」としたうえで、弁護士JPニュース編集部の取材に対し以下のようにコメントしている。 「本事案については、これまで先方に対して再三にわたり、大学の姿勢と考え方を伝えて、修学資金の返還を求めてまいりました。そうした取組にもかかわらず、訴訟が提起されるに至ったことは、誠に遺憾であります。 本学における在学生に対する修学資金貸与に関して、卒業生である医師が一定の年限を出身都道府県における地域医療に従事することで返還を免除する仕組みは、地域医療を確保するために合理的かつ重要であり、関係法令に適合したものであると考えております。 本学としては、応訴の上、この制度の正当性について、必要な主張を尽くしてまいりたいです」
弁護士JPニュース編集部