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就職するのは嫌だけど、お金は欲しい!――私が社会人になって実感したこと

「頼むから、就職して欲しい。」

2023年12月、研究室の教授からそう強く懇願された私は、渋々ながら就職活動を行った。

就職活動といっても、ChatGPTで適当に作った履歴書を3社に送りつけて、既に結果の決まっている面接を受けただけだ。

教授推薦のおかげで内定は楽に取れたけれど、「朝から夜まで会社にこき使われるのは絶対嫌だ!」という気持ちは変わらなかった。

そもそも私は、会社に縛られず自由気ままな暮らしを続けたいと常々思っていた人間だ。しかし、そうは言ってもお金がないと生活できない

――大学生の頃から抱いていたそんなジレンマが、私を最後には就職という道へと向かわせた。

2024年4月、私は大学を卒業し、世間一般でいう「社会人」になった。それから数カ月。会社に毎日通う生活からはじまり、なんとか新社会人研修も乗り切った。久々に同期に会うと、彼らは「会社員」の風貌になったと感じる。

とはいえ、私の就職へのモチベーションは「嫌々ながらも、お金がないと生きていけない」というものであって、今も大きくは揺らいでいない。今でも初めて会う人には大学院生に間違えられるのもそのせいだろう。

社会人になることで手に入れたもの、そして失ったものは何なのか。大学生から社会人へと変わった私の生活リズムや時間の使い方、経済状況、人間関係について、ここでは率直に書き綴ってみようと思う。

1.生活リズム

大学生の頃の私は、基本的に夜型の生活だった。朝方に研究室へ行く必要があるわけでもなかったし、午前中の講義がある日も週に数回程度。「眠たいときには寝る」「起きたいときに起きる」という、ある種の自由を満喫していた。一時期は深夜2時に寝て、朝9時か10時に起きるというリズムが定着していたし、授業が午後からしかない日は、昼まで寝ていることも珍しくなかった。

しかし社会人になり、2024年4月に入社してからの数週間は、この生活リズムが大きく変わった。9時半始業であれば、8時には起きなければ通勤に間に合わない。しかも私は、通勤の時間を極力短くしたい(1秒でも長く寝ていたい)という思いから、港区に住むことにした。

結果的に、会社まで30分以内には着くようにはなったけれど、家賃は学生時代の2倍。朝早く起きるせいで夜は早めに寝ざるを得ず(実際は2時まで起きていることが多く、会社の休憩スペースでよく寝ていたけど)、「あぁ、会社に合わせて生きるってこういうことなんだな」と心底感じた。

もっとも、入社後の研修が終わってからはリモートワークが導入されたため、再びいつもどおりの生活リズムに戻りつつある。朝はあまり早く起きなくてもよく、通勤電車に押しつぶされるストレスもない。そのおかげで、研究室時代のように夜中まで作業をしたり、自由なタイミングで寝たり起きたりできるようになった。

やはり、私にはこのスタイルが合っているのだと思う。10年後には多分早起きできるようになるから今は大丈夫だよ。

一度でも朝のラッシュを味わってしまうと、「通勤なんて二度としたくない!」という思いは消えない。今はリモートワークの恩恵を大いに受けているが、これがずっと続いてくれることを切に願っている。

リモートワークができなくなったら即辞めたい。だから就職市場での市場価値を上げたり独立できるようになりたい。その気持ちは、入社直後からずっと、私が自己研鑽に向かうための大きな動機になり続けていた。

2. 時間

大学生の頃、私の時間の使い方は比較的自由だった。履修登録の工夫によって、うまく週休3日を作れた学期もあれば、研究が忙しくて週7日研究室に詰めていた時期もある。それでも「自分の意思で動ける」という感覚が強く、平日の昼間に新宿や渋谷へ遊びに行くこともできた。

あのときは「平日に買い物をしたり、カフェでのんびりしたりできるなんて最高!」と、のびのびとした生活を満喫していた。

しかし社会人になってみると、完全に自分の自由になる時間は週末だけになったと感じる。休日出勤があるわけではないけれど、平日はどうしても業務時間に合わせた生活になり、業務時間中は仕事のメールやチャットは飛んでくる。疲れて仕方がないので最近はメールの返信頻度は下げたけれど。

研究室時代ももちろん忙しかったものの、あくまでも自分でスケジュールをコントロールしやすい環境だったため、「何時にどこに行く」という強制力はほぼなかった。

それに比べて、会社員の生活では「この時間には出社」「この時間には会議」「この時間にはランチ」というある程度固定された枠組みに合わせていく必要がある。もちろん、フレックス制度やリモートワークがある今の職場環境は、昔と比べればかなり自由度が高いと言われる。それでも、「自分の研究のために昼間に移動して図書館へ行く」などということは難しく、時間を「会社のもの」として使わざるを得ない場面が多い。自由を最優先してきた私にとって、ここが一番のストレスかもしれない。

最近は、窓を見ながら、帰ってから何をするのか考えて日記を書いて時間を潰すのが日課になっている。

経済面

大学生の頃は、とにかくお金がなかった。奨学金などでで月12万円ほどもらい、その中で家賃、食費、雑費、多少の娯楽をやりくりするのがやっと。新幹線などの長距離交通手段は「高級移動手段」という認識で、たとえ大阪に行く用事があっても、高速バスを検討するほど節約志向だった。それでもなんとかなんとか生活はまわせていたのは八王子の物価が港区と比べて随分安いからだろう。

一方、社会人になってからは月々の給与が入り、経済的な不安はだいぶ減った。給料はそんなに高くないけど、一応最低限の生活はできる。だから、移動手段として新幹線を気軽に使えるようになった。

どこかに行く際でも、「静かな環境で読書したり仕事をしたい」という理由から、移動中も自分のペースを保てる新幹線を選ぶことが多くなった。本を書いたり、他の仕事もしているので、時間はいくらあっても足りない。だから、手間や労力はできる限り排除したいのが本音だ。

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さらに外食に対する金銭感覚も変わった。大学生の頃は学食で600円前後の定食を食べ、「昼飯が1000円を超えるなんて高すぎる!」と思っていた。しかし今の私は、港区で外食する機会も増えており、1500円くらいならとりあえず入るという感覚になってしまっている。

場所柄、どこで食べても値段が高いという背景はあるけれど、一度その価格帯に慣れてしまうと、なかなか前の水準には戻れないのが正直なところだ。その一方で、久しぶりに八王子や地方の安い飲食店に足を運ぶと、「こんなに安くて美味しいのか!」と感動する瞬間もある。

社会人になって金銭的には余裕が出たものの、同時に「出費が増えるループ」から抜け出しにくくもなったと感じる。

4. 人間関係

大学にいた頃は、一人でいることが多かった。オンラインゲームに夢中で、Discordのフレンドとの通話が私の生活の大部分を占めていた。研究室に配属されてからは、教授と毎日のように会い、学会や研究会などで他大学の研究者と会う機会も増えたけれど、それでもやはり「大学」という閉じられたコミュニティの中に身を置いていたと思う。

一方、社会人になった現在、意外なことに私が一番やりとりをする相手は社内の人よりも社外の人たちになっている。というのも、リモートワークが主体の職場なので、週に1回のミーティングに呼ばれない限りは社内のメンバーと直接会話をする機会がほとんどない。普段はSlackなどのチャットツールで最低限の連絡を取る程度で、「顔を合わせて話す」こと自体が極端に少ないのだ。

その反面、クライアント企業や外部のエンジニア、本の著者や経営者など、いわゆる“社外”の人とのミーティングや打ち合わせは増えている。私自身、エンジニアや研究者という立場で外部との共同プロジェクトに参加することも多くなり、そこでこれまで接点のなかった分野の人たちと話す機会が生まれた。

もちろん、新しい出会いは刺激的だが、同時に仕事としての立場や責任を伴う分、大学時代に比べると気を遣う場面も多い。とはいえ、会社の外に目を向けてこそ得られる経験やネットワークは貴重だと思っているので、今後も色々なことに挑戦していきたい。

おわりに

こうして振り返ってみると、大学生から社会人になることで、生活リズムから時間の使い方、人間関係や経済状況まで、あらゆる面が大きく変わったのを実感する。毎朝の通勤ラッシュや会議のスケジュールに合わせて生きることには、やはりストレスを感じる瞬間が多い。一方で、定期的に給与が振り込まれる安心感や、普段出会うことのなかった外部の人たちとの新たな関わりを得られたことは、大学生では味わえなかった恩恵でもある。

私にとっては、「朝から晩まで会社にこき使われるのは嫌だ!」という気持ちは今も基本的に変わっていない。しかし、好きなことを続けるためにはお金が必要であり、それを得るためには会社に籍を置くという選択肢がもっとも現実的だというのも、確かな事実だと受け止めていた。

自由に生きていくには、自由を維持するための実力が必要。それが今の私を支えるエンジンになっている。



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コメント

1
あさこん(ぺんすけ)
あさこん(ぺんすけ)

書籍読了しました!あの後就職どうされたんだろうと気になり、こちらに辿り着きました✨

興味深く読んでいます☺︎

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就職するのは嫌だけど、お金は欲しい!――私が社会人になって実感したこと|Ami Otsuka「生成AIに育てられた第1世代 | 研究者x SE」
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