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 新高円寺  [短歌]


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             青年はギターケースの帆で挑む 塵芥はらむビル風のみち


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 書棚にはアルキメデス  [独り言]


湯船に入っているときに、短歌や散文の発想が ポン!と浮かぶことが多い。

別に 未知の力やジンクスではなく、適温の湯につかると血行が良くなるので 脳の血のめぐりも良好になり、なおかつ 風呂中では 頭を使う動作をしていない という理由に他ならない。

尤も 所詮は、二本目のビールを開けた拍子に 王冠が飛んで グラスに沈み 泡が溢れた・・・というていどの話の発想だったりするのであるが・・・・・



アルキメデス.jpg




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 新宿  [短歌]


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             防犯のカメラの中を幾多重に 鉛色なる頭(ず)の過ぐる朝


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 あっしがボウフラだったころ  [小説]

これは、あっしが前世で ボウフラだったころのお話でやす。

あっしは、まばゆい光に呼び起こされるように 意識のめばえを感じやした。
あっしの存在は、きらきらと揺れる 水面すれすれの水の中にありやした。

きらきらのずっと向うには、やや濃いめの白群色の空が高く、そのところどころには これ以上はないというくらい真っ白な雲が、解るか解らないかくらいに わずかに 形を変えながら ゆったりと流れてやした。
そして、空ときらきらの間には、若草色の枝先がせり出し、あったかみのある まあるい黄色の 五枚の花弁が 裏葉の間から ちらちらと かすかな風に合わせて 顔をのぞかせてやした。
ぼうふら1.jpg眼下には------流線型の朱の和金と 何とも愛嬌のある顔立ちの黒の出目金と 尾っぽのひらひらの紅白のだんだらのりゅう金が 一匹づつ、うろろぅんと揺れる金魚藻の間を 遅廻しのフイルムのように 重なっては離れ また重なりしているのでやした。
横をぐるりと見やると、そちらは、白地に落ち着きのある藍で 鳳凰鳥が、右を向いたり左を向いたりと びっしりていねいに描かれた なだらかな壁面なのでやした。
あっしがいるのは、内側にも染付けのほどこされた 伊万里焼きの睡蓮鉢のようでやした。

天をあおいでも 見下ろしても 横に首を回しても、この世というのは 何と美しいものだけで創られているのでやしょう!と あっしは うちふるえやした。
この世には、汚らわしいものや 気持ちの悪いものや 吐き気をもよおしたくなるものなんか 何一つとしてないのでやす!!
この世界というものは、美しいものだけで成り立っているのでやす!!!
あっしは、この世に生を受けたことへの幸福に ぴょこぴょこ ぴょこぴょこ と 全身でもって 踊り泳がずにはおれやせんでやした。

夜は夜で、水面ごしに、ちぎれては又あわさる白金色の月の妖しさに 酔いしれやした。
そして又、自分の幸福に ぴょこぴょこ ぴょこぴょこ と 舞い泳ぎやした。

ある日------ぼうふら2.jpg
あっしは いつものように、幸福のダンスに身体を弾ませておりやした。
と、うわん!と 水が大きく揺らぎ、あっしの周りの世界が 一面 朱色になりやした。
あっしは、朱の和金に飲みこまれてしまったようでやす。
朱色の世界の彼方に 大きな金色に光るウロコが かすかに ぼんやりと 透けて観えてやした。
とろけそうなくらいに美しい眺めだったので、あっしは 時を忘れて観惚れやした。
いえ、あっしはこの時 実際に とろけ始めていたのでやす。
この朱色の世界も綺麗でやすが、けど 今 とろけてしまったら、白群色の空や ほわほわの雲や 若草色の葉っぱや まあるい花弁や つんとすました鳳凰や くりくりの出目や だんだらのひらひらを観ることは できなくなりやす。
そんなの嫌だと思いやした。
いるだけで幸福でいっぱいに包まれる美しい世界を もう二度と観ることができなくなるなんて 絶対に嫌でやす!
美しいものだけで成り立つこの世界から あっしがいなくなるなんて、絶対に 絶対に嫌でやす!!
あっしは、とろけかかったあっしの 全身全霊でもって叫びやした。
「神様! あっしが次に生まれてくるときも、必ず、必ず、必ずボウフラにしてくださいでやすっっ!!!」

あっしの存在すべてが とろりと とろけてゆくのを感じやした。

こうして、あっしがボウフラだったころの生は 終わりやした。

ぼうふら3.jpg

 
タグ:ぼうふら
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 フルコース  [短歌]


フルコース.jpg



             ナプキンの翼 喉より生やし飛ぶ 我が内側の南仏の空



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 親近感  [父]

いつだったか テレビを点けたら、出川哲朗さんという芸人さんが こう話していた。

「小学生の時、友達に『明日は日曜日だから、お父さん帰ってくる日だね』って言ったら、その友達は『何言ってるの? ウチのお父さんは毎日帰ってくるよ』って 不思議な顔するんですヨーー。 で、ボクは、その子の家が特別なんだって ずーーっと思ってたんですヨーー。 ボクのお父さんは、愛人さん何人も抱えてて、日曜日以外は愛人さん宅を泊まり渡ってて、どこの家もそれがフツーだって 当たり前に思ってたんですヨーー」

でがわ.jpg自分は、苦笑しないわけにはいかなかった。
同時に、テレビの中の出川さんに、物心ついた頃から 共に遊び 一緒に白黒のスナップ写真におさまってきたような近しさを 感じずにはおれなかった。
自分も まるで同じ家庭だったからである。

小学四年か五年の時、一旦 家にカバンを置き、級友の家で 時の経つのも忘れ ゲームに夢中になっていたある日------
「ただいま」
級友のお父さんが 現れたのである。 ニコニコと穏やかな笑みと共に。
「お父さん帰ってきたーーー!」
級友も、軽々とゲーム盤から立ち 走って行った。
時計を見ると 七時前だった。

でがわ2.jpg自分は、級友とその父親は 実は火星人なのではないか というくらいに驚いた。
こんなに摩訶不思議な家庭も 世の中には ごくまれにあるものなのだな と思った。

自分は、それから 幾多の摩訶不思議な体験を重ね、そして、現代の日本に於いては 自分の家庭こそが 極めて少数派であったという事実を ようやっと認識した。
おそらく、出川さんも そうなのではなかったかと思う。

以来、テレビで出川哲朗さんをお見かけする度に、自分の細胞の一つ一つから えもいわれぬ親近感があふれ出るのを感じる。

親近感というものは、そこに各当する人間がまれであればある程、それが 秘められた物事であればある程 強く感ずるものである。

 
タグ:出川哲朗
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 人身事故  [短歌]



            身を捨てし人が止めたる電車中 赤きしおりの落つる音なし


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 水仙の享しみかた  [詩・詞]

      この時節には 水仙を享しむのがいい

      中でも 純白の 小ぶりな花弁のがいい
      丈は しなやかに やや長めで けれど 決して長過ぎないのがいい
      緑青色に近い葉は ゆるやかに 天に向かって うねり伸びているのがいい

      水仙は ガラスの器で享しむのがいい
      水面に 花弁や葉が映っているのを 確かめるのがいい
      部屋を閉め切り 濃く甘い匂いを 呼吸(いき)苦しくなるほどに 味わうのがいい
      次の日も またその次の日も とろりとした甘さを放ち続ける限り 
      何度も 何度も 味わうのがいい

      しおれかけた水仙は すぐに捨てないのがいい
      なえて ガラス器の中に沈み込むのを 見届けるのがいい

      やせこけてあわれな水中花となった最期を 享しむのがいい

すいせん2.jpg

タグ:水仙
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 おでん・Ⅲ  [短歌]



            樋脇に補助輪自転車錆びむ夜 赤きウインナ鍋底に裂け


さいなら3に.jpg

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