今回は本坊酒造のマルスウイスキーから、シングルモルト津貫2025エディションを飲みます。

創業の地に存在する蒸溜所

tsunuki01今回飲むボトルのモルト原酒は、鹿児島県南さつま市にある「津貫蒸溜所」のモルト原酒のみを使っています。

「津貫」という地は、本坊酒造の創業の地で、ここで芋焼酎を造り始めたのが最初でした。

1949年からは津貫でウイスキーの製造が始まりましたが、1957年に鹿児島市の工場に、1960年にはワイナリーのあった山梨に製造免許を移転して製造を継続していました。

山梨工場では、かつて竹鶴政孝が所属していた摂津酒造の常務を務めていた岩井喜一郎により、竹鶴がスコットランドに留学した成果をまとめた「竹鶴ノート」をもとにして蒸溜設備をそろえ、本格的なモルトウイスキーの製造を開始しました。

1969年には改めて鹿児島工場でのウイスキー製造免許を取得して製造を再開しますが、1984年で中止に至りました。

そして2016年に、創業の地である津貫に蒸溜所を建設し、約30年ぶりに鹿児島でのウイスキー作りを再開しました。
現在は長野県にある「駒ヶ岳蒸溜所(旧称:信州蒸溜所)」とともに、モルト原酒の蒸溜所として稼働しています。

2020年には最初のシングルモルトウイスキー「THE FIRST」をリリース、その後2022年から1年ごとにリミテッドエディションを販売しています。
まだ通年販売の津貫モルトのウイスキーは販売されていません。

今回取り上げる2025エディションでは、バーボン樽原酒、シェリー樽原酒を中心としたモルトをキーにしているようです。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはレーズン、ゴム、マンゴーの香りが広がります。
液色は少し濃く赤みがかった琥珀色です。

ストレート

すぐにレーズンとゴムの香りが広がり、軽くスモーキーな香りも続きます。奥の方からはマンゴー、バナナのトロピカル系の香りも続きます。

味わいは、アルコールからの辛みは意外に強くなく、ほろ苦さの後に甘さと酸味が広がります。

ロック

スモーキーな香りとミントのような爽やかさが先にやってきて、リンゴ、レーズン、バナナ、マンゴーの香りが続きます。奥からはカカオの香ばしさ、シナモンの香りも感じられます。

味わいは、スパイシーさが先に感じられ、ほろ苦さの後に甘味が続きます。

ハイボール

レーズンの香りが強く広がり、後からピートの香りが続きます。奥からはリンゴ、マンゴー、カカオの香りが感じ取れます。

味わいは、炭酸による酸味の後に甘味、軽いほろ苦さがあります。

豊かな香りと高い熟成感

津貫はノンエイジでありながらも香りが豊かでアルコール感が比較的少なく、熟成感の高さを感じました。
温暖な気候で熟成していることで、バーボン並に早く進んでいる可能性があるでしょう。
それを差し引いても、香りが豊かで酸味や甘味のバランスも良く、それほどウイスキーに馴染みの薄い人でも受け入れられるでしょう。

700mL、アルコール度数49度、価格は9000円ほど。

<個人的評価>

  • 香り A: スモーキーさとミントの香りが先んじて、その後レーズン、マンゴー、リンゴ、バナナと続く
  • 味わい B: 苦みが少し目立つが、酸味と甘味が全体を占める。
  • 総評 A: ノンエイジながら豊かな香りと高い熟成感で満足感が高い。