国立大前期日程の合格発表が6日、各地で始まった。東京学芸大(東京都小金井市)では、学内の掲示板に張り出された合格者の受験番号を前に笑顔で記念撮影をする受験生の姿があった。近年は合格発表をオンラインに切り替える大学も増えており、かつて「春の風物詩」だった定番の光景を見られなくなる日も近いかもしれない。
富山市から父親と一緒に東京学芸大を訪れた富山県立高3年の女子生徒(18)は「一生に一度のことだと思って見に来ました。スポーツについて興味があり、指導面でも学びたい」と喜んだ。
東京学芸大は教育者養成を目的とした国立大だが、近年、教員不足は全国的な課題となっている。特別支援教育専攻で教員を目指す都立高3年の女子生徒(18)は「教員が少ないのは知っているけれど、きちんと一人一人に合ったサポートができる先生になりたい。全力を尽くしたので、受かっても落ちても一生の思い出なので見に来ました。番号があって良かったです」と話した。
掲示板での発表が減ったのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響だ。東京大は2020年に掲示板での発表を取りやめ、その後も再開していない。東大によると、職員の業務量の負担軽減や合格を祝う胴上げなどで起こる事故のリスクを考慮したという。
東京都内ではほかに、東京外国語大や一橋大でも新型コロナの影響で掲示を中止し、オンラインでの発表が続いている。
一方で、東京学芸大やお茶の水女子大などでは、オンラインと併用して掲示板での発表を続けている。ただ、東京学芸大では掲示板を見るために大学を訪れる受験生が減少傾向にあるといい、今後、取りやめを検討する可能性もあるという。
前期日程の合格発表は10日まで。2次試験が8日に始まる公立の中期日程と12日からの後期日程は、20~24日に合格発表がある。【井川加菜美】