場所は変わって18階層。
リヴィラは不気味な殺人事件のせいで不穏な空気が流れていた。
「死因は頭部の破壊············いや、どうやら最初に首の骨が折られているな」
「首を折って殺害した後に頭を潰したということか?」
「恐らくはね」
殺されたハシャーナはオラリオ屈指の大規模派閥であるガネーシャ・ファミリア。複数の第二級冒険者を抱える派閥内でもLv4で上位の実力者だった…そいつが抵抗の形跡も無く殺されていると言う事実が、皆に不安を募らせる。
原型が残っていないほどの無惨な死体を見て、経験豊富なリヴェリアも眉を寄せる。
正体不明の犯人は、今もこの近くに居るかもしれないとなると、気が抜けないのだろう。周囲に視線を配り、警戒は決して怠っていない。
「何か目的があったのか…それとも」
死体から顔を上げたフィンは、室内の隅に放られていたバックパックに目を向け、残された荷物を軽く確認する。物色された跡のあるバックパックは派手に荒らされていた。
「そのローブの女は、特定の荷物を狙ってハシャーナに近付いたのかもしれないね」
「おー、わかりやすくていいなぁ。それでまんまと色仕掛けに乗って、ハシャーナの野郎は殺されちまったってわけだ」
「…この荷物の状態から見て…焦っていた、と言うよりは苛立っていた…かな?」
「何か、ティオネが荷物見つからない時みたいだねー」
「私だってこんなことしないわよ!?」
殺人犯と行動を一緒くたにされ、流石にティオネがキレる。
「ンー…レイ、どう思う?」
「…多分、コレだな」
荷物を軽く漁っていたレイが、血塗れた1枚の羊皮紙を指で挟んで取り出す。
「…内密に30層で採取…しかも単独…」
「うっわ〜、怪しいねぇ…」
「探索に出てたとして、取得品と思わしき物は魔石が数点だけ。依頼を受けたハシャーナは、犯人に狙われる様な『なにか』を採取して、狙われた。ただ、もう受け渡しは完了してた」
「…ボールス、ハシャーナの普段の装備に覚えは?」
「んん〜っ、いや、リヴィラじゃあんまり見かけたことがねえような…」
「確か、
「つまり、ハシャーナは素性を隠してた訳だ…フィン!」
「ああ、ボールス。街を封鎖してくれ」
レイの呼び声にフィンが頷き、ボールスに要請をした。
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『フィン、早く調べて!?』『お願い!』『体の隅々まで!!』
流石に【
ティオネが激怒して殴り掛かりに行くのを必死に止めるティオナを尻目に、
『レイ様ー!!』『私の体を見てー!』『イケメンサイコー!』
「あああっ!!ダメー!!」
オラリオ最強の
先程まで止めている立場だったティオナも乱闘に突入し、広場の混乱は酷くなった。
「…お」
そんな混沌とした状況で、レフィーヤとアイズが1人の
俺はファン達の包囲を突破し、あるタイミングが計れる様に、付かず離れずの距離でアイズ達の跡を追って行った。