リヴェリアの説教もそこそこに、遂に今日は
今日の俺の予定は、ベルのシルバーバック戦を見守ることだったのだが、唐突に予定が入り込んできた。
最初に、朝食を食べていたらティオナに皆と一緒に巡ろうと誘われ、勢いのあまり首を縦に振ってしまった。
次にロキに絡まれて、知り合いの女神に会いに行く護衛としてアイズと共に抜擢された。
そして今は、その知り合いの女神こと美神フレイヤの元にいる訳だが…。
「やっぱり、その子イイわねぇ…ロキ、くれない?」
「アホ抜かせ、レイはやらんわ」
「ふふっ…残念。レイ、来たくなったらいつでも歓迎するわよ?」
周囲の客が魅了されていることによって、店内には2人の話し声しか聴こえない。
「今の所、
「そーやそーや!……今の所?なあレイ!今の所って言わんかった!?言い切って〜な!」
「…ロキ・ファミリア、辞めるの、レイ?」
「……分かった分かった、辞めねぇよ」
騒がしいロキの声と、アイズの無言の訴えに音を上げ、レイは両手を上げて降参のポーズをとる。
フレイヤはそれを微笑みながら見ているのみだった。
ふと窓の外に視線を向けると、人混みの中を走る白い髪の少年が目に入った。
「……」
フレイヤを見ると、彼女も視線を窓の外に向けており、用事が出来たと撤収して行ってしまった。
ロキは呆れたように溜め息を吐き、俺とアイズに解散の許可を与えた。
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「レイ、ちょっと休憩しよー!」
俺、アイズ、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ達は祭り巡りも程々に、適当な昼食を買って椅子に座っていた。
「悪いわね、レイ。ティオナのワガママで付き合ってもらって」
「別に。一応用はあるけど、まだ時間はある」
「えっと…レイさん、人混みで走れませんし、ご予定があるなら早めの方が良いと思います」
「大丈夫だよレフィーヤ!いざとなったら屋根とか壁とか走ればイイし!」
「……なるほど」
「馬鹿ティオネ、平時でそんなのやってたら苦情来るわよ…レイも考えない!アイズもそんな手が…みたいな顔しない!」
「あはは…それにしても、何だか視線が…」
ロキ・ファミリアにはファンも敵も多い。
それは都市最強派閥と言う称号の元、しょうがないことである。
それに、幹部がこれだけ集まっていれば嫌でも注目が集まる。
「…“響け”
『チッ、ロキ・ファミリアの英雄様のハーレムかよ』
『百合の花に邪魔してんじゃねえよ…』
『いいご身分だなぁ…』
音塊によって集められた音から、嫉妬の声ばかりが聴こえてくる。
確かに、ハーレムに見えなくはないだろうが…。
溜め息を吐いていると、妙な音を拾ったことに気がつく。
地の中を這うような…それでいて近付いてくるような音だ。
「キャァァァァァッッ!!」
突如聞こえた悲鳴に、周りが騒然となる。
悲鳴の先には、地面から生えた、蛇のような何かが揺れ動いて暴れていた。
そいつはしばらく暴れた後、何かに気がついたようにこちらに直進してきた。
「ちょっと…何よあの蛇みたいなやつ!?」
「モ、モンスター!?でも、あんなの…見たことない…」
…確か、名前は
「あ」
咄嗟に、さっきまで音を拾わせていた音塊に目を向ける。
…もしかして、コイツに反応して動き始めた?
音塊からは「モンスターの脱走だ!」と声が聞こえてくる。
騒動が始まってしまったようだ。ベルのシルバーバック戦も近いな。
ベルの現状を知っておきたいので、なるべくこういった観れるイベントは見逃したくない。
さっさと片付けるかと剣に手を伸ばす。
剣を抜こうとしたその時、背後からもう1匹の
「…そっちは任せた!」
俺は音塊を身体の周りに漂わせ、背後の方へ駆け出す。
「りょーかい!えいっ…やー!」
最初に現れた方もこちらを追おうとしてくるが、ティオナが綱引きのように引っ張って妨害する。
その隙に俺は片方を連れて、アイズ達が見えなくなるぐらいまで離れていった。
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…十分に離れたかな。
一緒に討伐すれば、レフィーヤの成長の機会を奪うかもしれないし、討伐した後一緒に居られたらベルの戦闘の見学に差し支える。そう考えて、俺はアイズ達と距離を取った。
「“響け、留まれ音響”」
攻撃を避けながら空中に複数の音塊を留まらせる。
やがてそこら中に浮かんだ魔力に反応して挙動がおかしくなった
「“
複数の音塊が破壊の振動波へと変わった。