『ヴォォォォォォォッ!』
本来猛々しく冒険者達を威圧するその鳴き声が、恐れおののく慟哭にも聞こえる。
大漁に居た半数が討伐された時、ミノタウロス共は半狂乱に逃げ出し始めた。
「ええっ!?」
「お、おいっ!?てめえ等、
あまりの出来事に、ロキ・ファミリアの面々も驚愕し、急いで追討に移った。
偶然に偶然が重なり、破竹の勢いで階層を駆け上がったミノタウロス共は、ついに6階層まで到達していた。
『ヴヴォォォォォォッ!!』
「ほぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ぷっ…」
いかんいかん、懐かしい声を聞いて笑いそうになった。
よく訓練してた時に、あんな声出してたなぁ…。
共に登ってきたアイズとベートは神妙な顔持ちで声の方向まで駆け出した。
アイズがミノタウロスを両断し、倒れ込んでいたベルが血のシャワーを浴びて真っ赤に染まる。
「…大丈夫ですか?」
アイズが反応のないベルに何度か話しかけ、手を伸ばしたその時。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ベルが全速力で逃げ出した。
あの速度でミノタウロスから逃げりゃ良かったのに。
アイズは呆けた表情で立ちつくし、ベートは「…ッ!…クッ…クッ、ク…」と腹を抱えて必死に笑いをこらえていた。
「…はぁ」
つい出た溜め息を聞いてか、ベートに笑われていることへの羞恥か、アイズはベルに負けないぐらい顔を赤くした。
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「ほいっ、ステイタス更新完了やでー!」
『レイ・クラネル』
『Lv7』
力:A869→A898
耐久:B796→A819
器用:S902→S920
敏捷:A896→S915
魔力∶S993→S999
「…大体トータル100上昇、流石に上がらなくなってきたな…」
「何言うとんや、ウチで1番Lv高いっちゅーのに、こんだけ伸びてんのはレイぐらいやで?」
「ランクアップするなら全部Sまでは上げたいし…何より遠征でもランクアップの偉業に足りる敵が居なかった。あの巨大女芋虫も被害を考えなければ瞬殺出来る程度だったし、戦っても大した
「前回のランクアップが1年半前…本来ならもっと時間かかるもんなんや、高望みするもんやないで!」
「分かってる…」
「ほらほら、次はアイズたんなんや!ウチとアイズたんのラブラブタイムを邪魔せんといて!はよ行きぃや!」
「宴会までそんな時間ないんだ、手短にしろ」
「うっ…分かっとるわ!」
…スキルの影響で、俺の成長率は途轍もない。しかし、流石にLvも上がった影響で成長も遅くなってきた。それに、原作のベルに比べて、早熟の効果が低い気がする。
恐らく、効果上昇の条件の違いが影響を受けてるんだろうが…。
「あ〜、にしても豊穣の女主人か…またシルに絡まれる」
あの女、原作ではベル一筋な感じがあったけど、まだ会っていないのかやたら絡んでくる…中身を知ってる身としてはいつファミリアに引きずり込もうとしてくるかヒヤヒヤしてる。
フレイヤ自身もちょくちょく絡んでくるし…養母さんの願いの為には女神第一のあのファミリアに入る気にはなれん。
……たまに、養母さんの願いのための行動が合っているか不安になる。
俺だけが知っている、悪神とザルドとの会話の一幕。
ベルが戦わない世界を望んでいたこと…だが、アイツは主人公。ベルが英雄にならなければ、きっと黒龍は討てない。仮に戦うこととなったときにはと望んだ、英雄が立ちはだかり、より強い冒険者になる事と、英雄になんてならないこと。
…ベルはきっと、俺が何もしなくても英雄になる。養母さんの願い通りにはならない…なら、せめて最後まで隣に居る。そして、繋がっていく次の世代が、戦わなくていい世界を…!