「ふっ!」
芋虫共の大群を蹴散らし、飛び散った腐食液に巻き込まれないように直ぐに距離を取る。
俺たちロキ・ファミリアの戦況は若干の劣勢。
巨大な女性型の芋虫…女王とも言えなくもないが、その禍々しい容貌は、明確に芋虫共の仲間だと分かる。
こいつの攻撃範囲のせいで、芋虫共の腐食液で負傷した連中を庇いながらの撤退は難しいものとなっている。
腐食液は飛ばしてくるし、光る鱗粉のようなものは強い爆発を生む。
下手に攻撃をしようものなら、腐食液で武器はボロボロ…倒して腐食液の津波が起きうることを考えたら無闇に倒せない。
「… 速やかにキャンプを破棄、最低限の物資を持ってこの場から離脱する。リヴェリア達にも伝えろ」
「おい、フィン!?逃げんのかよ!」
「あのモンスターを放っとくの!?」
フィンの判断に、ベートーとティオナが噛みついた。
この
「でもあのモンスターを必要最低限の被害で始末するにはこれしかない。僕も大いに不本意だ·············。月並みの言葉で悪いけどね」
しかし、そうであるからこそ、今後に起きうる被害と今の状況を冷静に秤にかけ、非情であり最善な判断を下す。
「アイズ、あのモンスターを討て」
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その後、多少の反対意見が集まったものの、アイズが単独で倒すことが決まった。彼女の持つ細剣、デスぺレートは決して折れず、曲がらず、砕けぬ
「フィン、俺も残る」
「…レイ、君には撤退メンバーが遭遇するモンスターの対処の為に殿をお願いしたいんだけどね」
「ベートで事足りるだろ。アイズを心配するわけでも、信用してないわけでも無いが、万が一を考えて対処出来る俺が残る」
「んー…君に先導してもらった方が団員達も精神的に安心できるが……分かった、許可しよう」
アイズは、そんな会話を黙って聴いていた。
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レイ・クラネル。
一つ上の年齢で、私よりも少し前からロキ・ファミリアに居た少年だった。
Lv2に上がったのは私が先だったが、その後すぐにLv2に追いつかれた。
何時もどこかボーッとしていて、偶に一緒にダンジョンに潜ることもあった。しかし、年齢が近いにも関わらず、会話は少なかった。
目指している地点が全く違かったというのもあるかもしれない。
私は全ての怪物を…彼は、ある1人を探すために強くなろうとしていた。
そんな彼は大きな抗争を経て大きく変わった。
ダンジョンに潜り続け、強くなり続けることを優先し始めた。
その姿はどこか私に似ていて…それでいて、共にダンジョンに潜った
「
…とにかく今は、目の前の敵。
アイズは風を纏い、空中へ翔ける。
4本の腕のうち、2本をデスぺレートで逸らし3本目に乗り、本体と思われる
女性型の場所に向かう。
しかし、乗っていた腕を振り回し、私を吹き飛ばそうとする。
脚に風を集中させて一気に加速し、女性型の首に斬撃を喰らわせる。
「…ッ!硬い」
かなりの威力を込めた一撃も、刃が通らない。
他の芋虫の怪物とは比べものにならないようだ。
まだ攻撃していなかったもう一本の腕を叩きつけてくる。
咄嗟に剣で防御するが、重い一撃で地面まで叩き落とさせた。
「ぐうっ…」
直ぐに起き上がろうとしたのも束の間、光の粒子が4本の腕から降り注いだ。
マズイ、と思い風を身体の周りを包む様に壁にする。
次の瞬間、光の粒子の爆発がアイズを襲った。
「…おおよそ、同じかな」
今日ここに残ったのはズレの確認。
あそこにいるアイズが、俺の影響でどの程度強さにズレがあるかの試金石として、この戦闘を選んだ。ステイタスには見えない影響も有る。ここまで来れば、この遠征中にベルもオラリオに来るだろうし、原作開始時点でズレがなければ、原作の流れに一気に乗るだろう。
なぜなら…
「
養母さんを贄とした彼女らは死んだ。出来る限りの事はやったつもりだが、時期が不明瞭だったから事前の対策も難しく、ジャガーノートにリュー以外は殺された。
強い…修正力が働いたとも言える。彼女らが生きていれば、闇派閥の残党はここまで暗躍できて居ないだろうし、リューの復讐が無ければウチも闇派閥へのマークは緩んでいなかった。
そして、これらが無ければ本編も、外伝も始まらない。
…おっと爆煙が風で吹き飛んだ。アイズは…多少の負傷したが、無事だな。
「アイズ!やれるか!」
アイズはこちらを一瞥すると、直ぐに女性型に向き直し「…やれる!」と答えた。
アイズは風を剣に集め始めると、次々迫る女性型の攻撃を回避していく。
やがて再び空を翔けて、天井に足をつく。
「リル…
天井を蹴った加速と、極限まで風を束ねた剣での突きが…
ラファーガ」
女性型の堅固な身体を穿いた。