人生3周目とか聞いてないけど、頑張って生き抜こう


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作:ディストピア
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嬉しい再会


 

 

 

執務室で仕事をしているとノックが響き、許可を出すと団員が入ってくる

 

 

「団長、新規入団希望者達が来ました」

 

 

「そうですか、面談をしてあげてください」

 

 

「それが、入団希望者の一部が団長の言っていた言葉を口にしたので」

 

団員のその言葉に驚き、視線を向ける

 

 

「俺達は『ガイア連合ヤマナシ支部から来た』…………と、団長にも直接会いたいと言っています、希望者は兄弟らしいですが」

 

 

「そうですか、その者達は私とヘカテーで面談しましょう、他に入団希望者が居るならばそちらは貴方方で面談を行い、思想等に問題がなければ実技試験を受けさせて下さい」

 

 

「分かりました、こちらが希望者の申請書類です、その兄弟は10分後に第四応接室に通しておきます」

 

差し出された書類を受け取り、部屋から出ていく団員を見送り、書類を見る

 

 

 

「成る程、恩恵無しでも器用な事をしますね」

 

この世界の共通語で書かれた書類の中に、霊視で見る事で初めて視える字で、日本語で書かれた一文が在った

 

 

「『破魔ネキに会いに来た』ですか、間違いなく本物ですね」

 

『ガイア連合山梨支部から来た』と言える者を探している事は幹部クラスの団員には知られているので、それを言えば優遇されると勘違いした幹部が身内や知り合いに言わせる事が時々有ったけど、今回は本物の様だ

 

 

 

喜びを感じ、笑みを浮かべてヘカテーと合流し、第四応接室へと移動する

 

 

 

 

「「失礼します」」

 

 

時間になって、ノックをちゃんとしてから入ってきた2人が、緊張した面持ちで声を上げて入ってきた

 

 

 

「お2人はそこの椅子に座って下さい」

 

 

「「はい」」

 

私の言葉を聞き、即座に返事をして椅子に座る2人

 

 

小さな兄の方は緊張というよりもこちらを見極めようとしていて、大きな弟の方は若干涙を浮かべている

 

 

「エドワード・エルリックさんと、アルフォンス・エルリックさんですね、私はヘカテー・ファミリア団長の鏑木紫です」

 

私のその言葉を聞いて頭を下げてくる2人だが、少しショックを受けた感じだ

 

 

「エドワードさんとアルフォンスさん、少し長いので今はエドニキとアルニキと呼ばせてもらいますね」

 

しかし、続けて言った私のこの言葉を聞いて笑顔を浮かべる2人、ヘカテーは笑いを堪えるのに必死だ

 

 

「一つ聞かせて欲しい、貴女は……………………破魔ネキなんだな」

 

エドニキが真剣な表情で私を見ながら尋ねてくる

 

 

「日本の山梨県に存在する星祭神社と星霊神社が本部の『ガイア連合山梨支部』に所属していて、破魔ネキと呼ばれていた前世は在りますね、エドニキとアルニキ、本当にお久し振りです」

 

 

そう微笑みながら言うと、2人は本当に嬉しそうな笑みを浮かべて、少しの涙を流す

 

 

「本当に破魔ネキなんだね、良かった、ボク達だけじゃなかった」

 

そう胸を撫で下ろすアルニキ

 

 

「この世界に転生したの俺達だけじゃなかったんだな、また会えて嬉しいぜ破魔ネキ」

 

「私も会えて嬉しいです」

 

エドニキはニカッと笑いながら、立ち上がり、手を伸ばして握手を求めてきたので、その手をしっかり握り握手を交わす

 

 

 

「ボク達が調べた範囲じゃ、ガイア連合オラリオ支部が孤児院経営していたり、魔道具作製者(アイテムメイカー)を抱えて発明したり、交易してたり、商売したり、ダンジョン探索していたりと本当に手広くやっていて、普通に女神ヘカテーと女神ガイアの同盟の可能性もあったけど、団長の名前が『カブラギ・紫』だっていうから、賭けてみたんだ、破魔ネキだって可能性に」

 

本当に嬉しそうに笑いながら、そう伝えてくるアルニキ

 

 

「って、女神ヘカテーを完全放置で盛り上がっちまったけど…………大丈夫なのか?」

 

今更ながら、問題が有ったと思い至って焦るエドニキ

 

 

そんなエドニキに笑い掛けるヘカテー

 

 

「安心するが良い、前世の……並行世界での事ならば聞いている、いや、紫の記憶を見せてもらっている、だから把握しておるよ、そなた達の事情をな」

 

ヘカテーの言葉を聞いて、安心するエドニキとアルニキ

 

 

「会った時に決めたんです、この世界に渡ってきた黒札の受け皿になれるように、分かりやすいように『ガイア連合オラリオ支部』と名乗ろうって、他の神々に違和感を持たれないように女神ガイアと同盟を結び共犯関係になったりね」

 

 

「そうだったのか…………って共犯関係?」

 

「破魔ネキ…………共犯関係っていったいなに?」

 

共犯関係と言う、不穏な言葉を疑問に思う2人

 

 

「ゼウスとヘラを、ロキとフレイヤを最強の座から蹴り落として嗤ってやる、デカい顔をさせない…………ってのが、そもそもの同盟の始まりです、私達の都合で歴史の流れを捻じ曲げる共犯関係です」

 

 

私はその疑問にしっかり答える

 

 

「「そういう関係か、納得」」

 

エドニキも椅子に座り直して、アルニキと一緒に頷いている

 

 

「それにしても、よくこの時期のオラリオに来ようと思いましたね」

 

 

「?……何か問題が有るのか?」

 

「えっと、ボク達は今の時系列を把握して無くて…………」

 

私の言葉に首を傾げるエドニキと、理由を察していても『今』が何時の時代かを把握していないと、正直に伝えてくるアルニキ

 

 

 

「5年前にゼウスとヘラがオラリオから追い出された、そういえば分かりますか?」

 

 

私のその言葉に、『あっ』と声を揃える2人

 

 

「原作開始の10年前、そろそろ本格的に暗黒期に突入する時期か」

 

「確かに巻き込まれたくないなら避ける時期だね」

 

2人で顔を見合わせて冷や汗を流すエドニキとアルニキ

 

 

「たぶん今世でも俺達は生産系の能力だと思うから積極的には戦いに参加しないと思うが、前線に出なくてもテロに巻き込まれる可能性は絶対にあるな」

 

 

「ボク達が絶対悪の2人と戦う事は無くても、闇派閥(イヴィルス)の活動に巻き込まれる危険性はある」

 

これから数年先迄のオラリオに居る危険性を正確に把握し慌てる2人

 

 

「まぁ、先に言っておきますが」

 

2人揃って首を傾げるも、話を聞く姿勢に移る

 

 

 

「【暴食】のザルドはベヒモスの毒から解放されてます、【静寂】のアルフィアは妹共々病から解放されてます」

 

私の言葉を聞き、2人は絶望的な表情を浮かべる

 

 

「それぞれベヒモスの毒と末期状態の病で弱体化していたってのに、それでもオラリオの上位陣を叩きのめせる連中が、弱体化から解放されてんのかよ」

 

「破魔ネキはLv12だって話だけど、それ以外が壊滅するかもしれない」

 

慌てふためく2人の様子に、ヘカテーが耐えきれずクックックッと笑いを零す

 

 

「安心せよ2人とも、治療したのは紫だ」

 

ヘカテーの言葉を聞き一瞬固まり、グリンと首を動かして見詰めてくる

 

 

 

「ゼウスとヘラファミリアの面々は、今は開拓村で開拓しながら鍛え直しつつものんびり過ごしてますよ、メーテリアが生きてますからアルフィアはベル君の叔母さんルートで可愛がってますよ、まぁ父親譲りの赤目は気に入らないようですが」

 

クスクスと笑いを零しながらも私は現状を説明する

 

 

 

「アルフィア生存IFのお義母さんルートならぬ、叔母さんルートに入ってるのか、それなら絶対悪として活動しない…………か?」

 

 

「いや兄さん、開拓村を開拓してるのがゼウスとヘラのファミリアだって事にもツッコんでよ!?」

 

エドニキはアルフィアの事にのみ意識を向けていたが、アルニキはそれ以外も聞いて把握したので混乱している

 

 

「原作だとどうかは知りませんが、この世界だと村の開拓を主にしているのはゼウスとヘラファミリアの生き残りですよ………あと警護、そしてベル君は両ファミリアの子供として可愛がられています、父親はボコられましたがそれでも元気にゼウスと覗きしてるみたいですし、マキシム等のメンバーの一部は【竜の谷】で門番をしていますが」

 

 

 

「「ベル君後継者ルート!?」」

 

 

ダンまちの本来の【主人公】ベルの現状を聞き、驚愕する2人

 

 

「まぁ完全に心折れてるLv9が悪神の誘いを受ける可能性はありますが、黒竜から悲鳴を上げて逃走後、現在も行方不明ですから」

 

心折れているとはいえ、Lvだけならばより強いのが来る可能性も有ると言われて頭を抱える2人

 

 

「そういえば、破魔ネキの方針はどうなんだ?やっぱり原作に率先して介入して悲劇を減らすのか?」

 

エドニキからそう尋ねられて、顔を顰めて視線をそらす

 

 

「もしかして何も考えていないのか?」

 

 

「考えていないと言いますか、そもそも原作の記憶がほぼ無いんですよ」

 

「前世だと結構知ってそうな感じだったけど?」

 

「確かに、オタクって程じゃないが、それなりに詳しかった筈だがな」

 

2人からの疑問に両手を上げる

 

 

「そもそも私の今の年齢って知ってますか?」

 

「破魔ネキの年齢だ?」

 

「そういえば、ボク達が調べた限りじゃヘカテー・ファミリアの先代団長とかの話って一切無かった気が……………」

 

 

アルニキが疑問を口にし、2人揃って固まり、ゆっくりと視線を向けてくる

 

 

「そういえば、ヘカテー・ファミリアの、ガイア連合オラリオ支部の結成の理由がそもそもボク達黒札の受け皿になる事、破魔ネキはその時からの初期メンバー………………」

 

「結成理由自体が破魔ネキの提案って事は………………だ、初代団長?」

 

顔を引き攣らせながらも、2人が答えに行き着いたので頷く

 

 

「今世だけでも既に300年生きてる老人ですよ…………私は」

 

「加えて言うならば、此奴は前世は850年程生きているぞ」

 

私とヘカテーの言葉を聞き、顎が外れるのではないかと心配になる程に、2人は口を開けて絶句している

 

 

 

「前世で死んだ理由にしても、異界内の人間と言う名の家畜と、ごく僅かな、地球で死にたいって人を残して、地球人類が宇宙開拓をして、火星やコロニー等への移住を完了させて、外宇宙への有人探査船すらも出発した後ですからね、地球からの最後の移民船を見送ってから意識的に永久の眠りに付きましたからね」

 

宇宙開拓、火星やコロニーへの移住、外宇宙への有人探査船と言った、SFとしか思えない言葉を聞いて、2人は驚愕している

 

 

「合わせて1100年以上だ、記憶を掘り起こす手段が有るとは言えど、人が記憶し続けていられる期間ではないと理解してやると良い」

 

ヘカテーのその言葉を聞いて、2人は椅子に倒れる様にもたれ掛かる

 

 

「そんだけ長生きしてたら、そりゃ記憶なんて薄れるわ…………」

 

「寧ろ良く、ボク達の事を覚えていたよね…………」

 

ハハッと、乾いた笑いを零しながら、感心する様に、呆れる様に、2人は言葉を口にする

 

 

「ちなみに、私が磐長様と木花咲夜様の最後(・・)の信者です」

 

 

「つまり破魔ネキは、他の黒札が死に絶えた後も人類を見守り続けていたって事かよ」

 

「それも人間としてはただ一人で…………だよね」

 

 

「そんで、300年も前に生まれ変わって、今度はこの世界に生まれ落ちるかもしれない黒札の受け皿作りかよ…………」

 

「人類の守護者の次はショタおじ枠で活動って…………」

 

2人は震えた声で言葉を口にしながら頭を抱えている

 

 

「ちなみに、黒札はお二人で2人目と3人目ですね」

 

 

「300年で俺達で2人目と3人目かよ、我慢強過ぎだろ、流石ショタおじの魅了体験にすら気力で耐え抜いたオリハルコンメンタル」

 

「凄いよね………………それで、その1人目って誰なんですか?」

 

呆れつつも感心するという器用な事をしながら、アルニキが尋ねてくる

 

 

「2年前に加入した生粋の料理人のジャンニキですね、フレイヤ・ファミリア団長のミアさんと、時々料理対決している家の料理長です」

 

ジャンニキが居ると聞いて、2人がよだれを垂らし始めて慌てて口を拭う

 

 

「わりぃ、今世の料理ってはっきり言って雑でな、美味いって言える料理を食ってないんだよ」

 

「前世で美味し過ぎる料理を食べているせいで、要求が高くなり過ぎてるって自覚は有るんだけどね」

 

よだれを拭って、笑いながらも、要求が高望み過ぎる自分達に呆れている

 

 

「牧畜とかも同盟相手と協力して色々試した結果、高い品質の食材を得られてますが、流石にグルメ食材は無いですからね、生卵を食べられる様にするのにすら数十年掛けましたから」

 

「マジッ、生卵食えんのか、卵かけご飯が食える!!」

 

「前世の感覚で食べてお腹壊して死にかけたからね…………ボク達」

 

 

生卵が食える事に涙を流して感動する2人

 

 

そこまでか…………とは思いつつ、気持ちは分かる

 

 

「【植物改変】や【植物豊穣】のスキルが無いのが痛いですね、地道に品種改良するしか無いですから」

 

 

「それでも、前世で普通に食えてた物が食えない辛さに比べたら、例えグルメ食材が無くても、日本レベルの食生活が一部でも出来るなら楽園だ!!」

 

「おまけにジャンニキの料理がまた食べられるなんて…………感動だ」

 

 

もはや号泣レベルで感涙している2人にヘカテーは呆れつつも納得する

 

 

「極東人の、日本人の(さが)というものか、紫も牧畜や農業をしている者達に色々と指導した結果、それまで存在していなかった【牧畜】や【農業】の生産系スキルを発現させる事に成功しているからな」

 

 

「マジか、破魔ネキスゲェ!?」

 

「破魔ネキ…………そこまで真剣に力を入れていたんだね」

 

「美味しい料理を食べたいって気持ちは同じですから、ただでさえ前世の最後の晩餐がグルメ食材をふんだんに使って全力で調理した料理でしたからね」

 

私の言葉を聞いて、あ~〜……と声を漏らす2人

 

 

「まぁ…………記憶が戻った後に最初に食べたのが、調味料も無く、ただ焼いただけの肉と魚でも涙を流すほどに美味しく感じるほどに飢えてましたが」

 

 

「そこまで飢えていたのか」

 

「どんな状況だったの!?」

 

 

「どんなって、モンスターに生まれ育った村を滅ぼされながらも唯一生き残り、なんとか生きていたけど飢えと渇きで死にかけた8歳児ですね、死の淵に立って記憶が繋がり、その時に魂に刻まれた神性が活性化し、それで恩恵を擬似的に宿した状態になって魔法行使が可能になり、生き延びましたね」

 

 

 

「思った以上にハードモードだ!?」

 

「モンスターの脅威は理解出来るけど、ボク達はわりと好き放題出来る程度には恵まれてたからね」

 

地上が比較的安定した後の、それなりに裕福な町で生まれ育った自分達との違いに驚く2人

 

 

「魔法行使で飛行も可能になったのでそれでオラリオに来ましたね、星祭神社が在った場所に【星祭神社に破魔ネキ参上、オラリオに向かう】って岩に日本語で刻んだりしましたが」

 

「紫がオラリオ入りする少し前に、私が紫と接触したのだ、下界を覗いた際に、空を飛ぶ私の加護を持つ少女に興味を持ってな、それで下界に降りたのが始まりだよ」

 

 

成る程と感心する2人

 

 

「ネジ1本作るのにすらフルスクラッチする必要が有る環境ですが、鍛冶系ファミリアとも有効的な交流が有るので融通が効きますし、歓迎しますよ」

 

 

「まぁネジの製造が機械化されてないのは当然だな、だが、部品全部をフルスクラッチするのはガイア連合発足時に経験済みだぜ」

 

 

「ガイア連合最古参の製造部の誇りも有るから頑張るよ」

 

 

そうしてヘカテー・ファミリアに新たな仲間が増えた

 

 

 

その後2人がジャンニキの料理を食べて感動し、ジャンニキの手が空いた時に2人が話をしたのは言うまでも無いだろう

 

 

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