東大、一般選抜以外の入試枠を拡充へ 学長「入試を多様化したい」

インタビューに答える東大の藤井輝夫学長=東京都文京区で2025年3月6日午後0時25分、渡部直樹撮影

 東京大の藤井輝夫学長が6日、毎日新聞の単独インタビューに応じ、筆記試験のみの一般選抜(一般入試)ではない形式の入試枠の拡充を検討していることを明らかにした。面接などで多角的に志願者を評価する仕組みが想定され、2028年度入試(27年度実施)以降の導入に向け学内で議論している。狙いについて、藤井学長は東大で学生の多様化が進んでいないことを挙げ「入試を多様化したい」と述べた。

 大学入試は一般的に、筆記試験の点数で合否を決める「一般選抜」、高校の推薦を受け調査書や面接で審査する「学校推薦型選抜」、小論文や面接を利用する「総合型選抜(旧AO入試)」がある。大学は裁量で選抜方式を決めることができる。入試の方式を大幅に変更する場合、実施の2年前までに公表する必要がある。

 東大では従来、一般選抜のみが行われてきた。16年度入試から100人程度を募集人員とする学校推薦型選抜を導入し、25年度入試では87人が合格した。帰国子女や留学生らを対象に英語で授業を行うプログラムを除き、総合型選抜は導入されていない。他の国立大では東北大が23年、将来的に入試を総合型選抜に全面移行する方針を表明している。

 藤井学長は学校推薦型選抜について「枠を増やすかどうかを含めて検討する。まずは志願者数を増やさなければならない」と言及。総合型選抜を導入する可能性については明言を避けたが、多様な入試について「検討を開始している」と述べた。

 検討の背景には、学生の多様性確保への危機感がある。24年11月時点の学部在籍者1万3998人のうち女子は2982人で2割強にとどまる。首都圏や関西の都市圏の出身者が多く、出身地にも偏りがある。

 また、東大の23年度学生生活実態調査によると、私立の中高一貫校出身、世帯年収950万円以上の学生がいずれも4割超を占めた。

 藤井総長は「学生が均質化していくことによって、新しい発想が出てこなくなる。多様な意見に触れ合って、意見を交わすことのできる環境を作っておく必要がある」と強調。一方、入試における女子枠や地方出身者枠については「あまり考えていない」とし、導入に否定的な考えを示した。【斎藤文太郎】

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