「そんなお前に、再びこの言葉を贈ろう」
「脆き者よ、汝の名は『正義』なり」
「そして、愚かなる者もまた、『正義』」
教会に入ったら先日ドヤ顔で演説してた自称絶対悪の神様がリューさんに胡散臭い顔しながら詰め寄ってた件。
その後ろにいるくっそ美人な人はアルフィアかな?灰色の髪に黒いドレスだし。
ザルドは、いないのか。こやつら基本的に一緒に行動してると思ったんだけど……まぁいいか。
うわ、よく見たらリューさん顔真っ青やん。眼も虚だし……レ◯プ目ってこういう状態をいうのかな?
「邪魔をするよ神エレボス……と、そちらは『静寂』のアルフィア殿かな?」
とりあえず、兄貴モードをインストールして俺もエントリーするとしましょ。
エレボスは俺の姿を確認すると大きく溜め息をつきおった、失礼な神だなおい。
「俺は、君には用はないんだけどね」
俺もお前にはようはないよ。草の獣さんが此処に来たいって言っただけだし。
「つれないな神エレボス。まぁ、男に好かれても嬉しくはないが……アストレアの眷属達に正義について尋ねていたとは昨夜聞かされたが、私にはないのかね?」
「
これは手厳しい。
しっかし、流石は神だわ。よく気づいたな。
たしかに、俺がオラリオで語ったことの多くは兄貴が言いそうなことを言ってるだけだからな。
まぁ、兄貴なら俺が思いつくよりも過激で刺激的なことをテンション高く言いそうだけど。
「ふむ、それの何が問題になるのかね?」
うん、でも己の言葉でなくても別にいいじゃんとしか俺は思わないんだよね。
開き直りだって?まぁ、こういうところが兄貴とは違って未熟者なんだろうけどさ。
「本心で言わない、本音で話さない、本気で語らない。なるほど、相対を切望する君達からしたら不快なのかもしれないが……問おう、神エレボス。今日この時までに君が聞き私が吐いた言葉に
うわぁ、なんともまぁ嫌そうな顔してらっしゃる。
「その顔は私は嘘は語っていないと見なすが。さて、確かに神エレボスが先程言った通り私が話して語っているモノの多くは借り物だ、が……もう一度言うが、それが何の問題になるのかね?」
カツカツと靴音が教会内に響くのを聞きながら、エレボスに近づく。
「それとも、この情報は聞いていなかったのかな?私は『
「正義、そして悪。そちらはそこにいる私の先達の語る正義に随分と執着しているみたいだが、はっきりと言わせてもらえば私からすれば正義も悪も等しく無価値でしかない」
「正義でなければ人を救ってはならないのか?」
「悪でなければ人を貶めてはならないのか?」
「そもそも、正義と相対するものは常に別の正義でしかない。そして、その相対に敗れたものが悪と呼ばれるようになるだけであろう」
「故に、『
「正義では救えぬものを引き摺り上げるために」
「悪では貶められぬものを引き摺り下ろすために」
「まあ、私はまだ未熟ではあるが……それでも、だ」
「未熟であろうと『
「己の言葉で話さぬ者に聞くことなどないと言ったか神エレボス」
「ならば、私は貴様にこう言おう『貴様が言えたことか』とな」
「私と真に相対したいのであれば、その胡散臭い自称絶対悪の三下演技を辞めてからにしたまえ」
「絶望的なまでに似合っていないぞ、暗黒神」
おいおい、そんな殺意しかない眼でこっちを見るなよ。
いや、兄貴だけならまロさが不足して使い物にならなくなってたかも。
もし兄貴と先輩が一緒に来てたら?………考えたくもねぇや。
『びょうき?』
「………………なんだ、コレは」
『なおす?』
「………………どういう意味だ」
『だっこする?』
「………………………なんなんだ」
あの、草の獣さん。
ちょっといま自分結構いい空気吸ってる途中なんで、ラスボス系病弱美女に抱っこをせがむのは後にしてもらってもいいですかね?
というか、いつの間に俺の頭からアルフィアの前まで移動したんですかね!?