はじまりのクロニクル


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作:まロい
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006



お久しぶりです(小声)



こっそりと、書けたので投降してみる。

次回はまた書けたら投降します……。

次回は金髪の魔法少女が、魔砲少女と和解するまでには投降したい(願望)





 

「アストレア。団長たちには言ってないが、私は別行動を取らせて貰うのでよろしく頼むよ」

 

「待って。どうしてそうなったのよ」

 

ボロボロの教会で『静寂』と邂逅し、草の獣さんに励まされたあの日から数日が経った。

 

闇派閥(イヴィルス)との争いは都市側が有利ではあるがそれでも一進一退で、俺自身も闇派閥(イヴィルス)の構成員と戦ったり、市民の避難誘導をしたり、炊き出しを手伝ったり、色々と仕込みをしたりと休息すらまともに取れない状態が続いている。

 

それでも、都市側の各ファミリアの主神や眷属が必死に動き、住民達もそんな冒険者たちに協力を惜しまない状態が続いているので……恐らくは原作時空の『死の七日間』よりは人的被害も精神的な苦痛も減らすことが出来ていると思う。

 

被害が減らせているだけで、ない訳ではないことが口惜しいけど。

 

そして、つい先程行われた会議でここ数日ですっかり草の獣さんの常連となった都市側の最高司令官をやらされているフィンさんから、ダンジョンの深層から登って来ている神威によって呼び出された思われる都市を破壊出来るモンスターの存在を報告された。

 

何でも、絶対悪(笑)の宣言前に何柱かの神が送還されたのはこのモンスターを呼び出すために、ダンジョン内で神威を出すことを誤魔化すためだったのではないか?とか何とか。

 

恐らくは、このモンスターこそが闇派閥(イヴィルス)の切り札であり、闇派閥(イヴィルス)は地上とダンジョンで同時に攻勢をかけることで、都市を破壊しつくす気だろう。

 

これに対抗すべく、フィンさんは都市とダンジョンで冒険者を分け闇派閥(イヴィルス)の企みを同時に潰す作戦を提案、会議に参加した各ファミリアの代表や主神からの賛成により実行されることとなった。

 

貴重な戦力を2つに分けてしまうことにはなるが、地上とダンジョンのどちらも蔑ろには出来ないので、仕方ないね。

 

なお、真面目な話をしているフィンさんの背中によじ登って、手に持つ書類を後ろから覗き見している草の獣さんに誰も突っ込まないのは……話の内容が内容だからか、もう皆見慣れたからなのか、どちらなのだろう。

 

ことあるごとにフィンさんに突っかかっていたアレンさんという猫人(キャットピープル)のフレイヤ・ファミリアの副団長さんすら突っ込まないんだから、草の獣さんは凄いなぁ。

 

さて、絶対悪(笑)の宣言から明日で七日目、原作で『死の七日間』と呼ばれていたなら、闇派閥(イヴィルス)が勝利しようが都市側が勝利しようが、この乱痴気騒ぎも明日で終わるはずだ。

 

だからこそ、動かなければならない。

 

「聞いて欲しい、アストレア。『()()』として私が成さねば……いや、違うな。()が、成し遂げたいことがあるんだ」

 

『悪役』として、『佐山』の姓を持つ者として、『終わりのクロニクル』を駆け抜け、辿り着いたこの世界で『代役』ではなく、俺が『悪役』を()()()()ために。

 

「だから、何も聞かずに送り出してはくれないだろうか?『悪役』の姓を持つ私の主神である正義と天秤の女神よ」

 

そんな俺の言葉に大きく溜め息をつくアストレアさん。

 

自分勝手なことを言っている自覚はあるけど、こればっかりは譲れないんだ。

 

「…………イノリ、帰って来る気はあるのよね?」

 

「もちろんだとも。貴女に神の恩恵(ファルナ)を刻まれる際に言ったはずだ、未熟な『悪役』である私は、正義を知り、理解し、共感し、自身の目指す『悪役』を定めたいと。私は、まだまだ未熟者だよ」

 

まロい生活を送るという野望が果たされていないんだから、そりゃ意地でも生き残りますって。

 

「帰って来たら、貴方の話を聞かせて欲しいわ。『悪役』ではなく、私の眷属であるイノリ・サヤマの話を」

 

ちょっと死亡フラグみたいなことを言うのやめて頂けますかね?これからやること考えたら、死亡フラグを建てられるのは、割と洒落になってないのですが。

 

「善処はする。では、いってくるよアストレア。団長たちにもよろしく言っておいて欲しい」

 

「えぇ、いってらっしゃいイノリ」

 

笑顔で送り出してくれたアストレアさんから離れ、頭の中にこれからやる事リストを浮かべる。

 

結構どころではないくらい忙しくなると思うが、仕方がない。

 

此処でどれだけ時間をかけられるかで、俺のやりたいことが出来るかどうかが変わってくるはずだから。

 

「さて、では……まずは何人か会うべき人と会うとしますかね」

 

色々な人に会わなきゃいけないから、がんばっていきましょ。

 

 

 

⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎

 

 

 

「こうして会うのは初めてになるかな。では、初めまして『暴食』に敗北し再起を刻んだであろう()都市最強の『猛者(おうじゃ)』君。忙しいときにすまないとは思うが君に聞きたいことがあってね。なに、簡単な事だとも……君は、たった一度『暴食』に勝利すれば、それで君は満足出来るのかね?」

 

 

 

「聞いて欲しい、待って欲しいアミッドちゃん。これには深い理由が……どんな理由であれ命の危機がある前提の無茶をしていい理由にはならないって?それはそうかも知れないが。はい、ごめんなさい」

 

 

 

「神ヘファイストス。頼んでいた物は出来て……いるとは。割と無茶な注文だと思ったのだが、流石は鍛冶司る独眼の神ということか。すまない、感謝するよ」

 

 

 

「アーディ・ヴァルマ氏だったかな。もう巡回に出ているとは、元気そうでなによりだ。あの時の礼がしたい?ありがたい話だが……いや、決してそちらを嫌っているとかで………はぁ、わかった。では、このバカ騒ぎが終わったら美味しい食事を出す店でも紹介して欲しい。最近、まともな食にありつけてないのでね」

 

 

 

「何故戦うのか、かね?さて……何故だろうね。いやはや、誤魔化してなどいないさ。私としては、君のような幼い少女を殺し合いに参加させている事の方が疑問だが、君はどう考えるかね『剣姫』?」

 

 

 

「それじゃ、草の獣さん。こちらはよろしく頼むよ」

 

 

 

⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎ ⬜︎ ⬛︎

 

 

 

そこはバベルと呼ばれる都市の中心に建てられた巨大な塔、その頂上。

 

遥か昔、地に空いた大穴に魅せられ心を狂わされた男が造った塔であり、別の世界では神に近づく為に造られたが神の怒りを買い打ち崩された伝説を残す塔と同じ名前であり、また別の世界では終焉から逃れる為に建造された箱舟のなれの果ての名前でもある。

 

そんな塔の頂上からは、陽が落ち闇に染まっていく都市の様子がよく見えた。

 

都市に喧騒はなく、闇を嫌うかのように篝火が焚かれ、ピリピリとした殺気のような空気が此処まで伝わってくる。

 

冒険者も、民衆も、神も、ひょっとすると闇派閥(イヴィルス)さえも理解しているのかも知れない。

 

この夜で、絶対悪を名乗った神と最強と最恐の眷属達との戦い全てに決着がつくことを。

 

「さて…………開戦の号砲というのは、派手な方がいいだろうね。都市を渡り、都市に響き、都市の全ての人が知る。此処がおわりで、此処がはじまり。受け取りたまえよ闇派閥(イヴィルス)。拒否は許さんよ絶対悪(エレボス)

 

 

 

「聞くといい『暴食』。聞きたまえよ『静寂』。これは、君達には是非とも聞いて欲しい詠唱(いのり)だからね」

 

 

 

「オラリオに存在する総ての人に神と、天からこの光景を眺めている仕事熱心な神に告げよう。これは、私の……俺の大切な人たちが時に協力し、時に争い、共に歩み、共に刻み、そうして出来上がった世界の切れ端だ」

 

 

 

「刮目し、傾聴するといい。佐山の姓は『悪役』を任ずる」

 

 

 

「あぁ、そうだ。佐山の姓は『悪役』を任ずる、だ」

 

 

 

「何時かの何処かで、新庄先輩との甘々生活の合間にでも察しろよ兄貴。あんたの愚弟は、偉大で尊大で自己愛と自己評価が天元突破した天動型佐山宇宙の住人である兄貴とは異なる、俺自身の『悪役』をはじめるから」

 

 

 

「『それは終わりを綴った年代記、十二にして十一の世界と概念(かみ)と人と竜の記録。世界を滅ぼし、世界を救った五つの頂き、八つの竜王。過去を追い、過去を知り、過去に答えた悪役の姓。全ての竜と交渉の真意、正負の問答、(さいわ)いを望む者、救いの箱船、解放されし概念核(かみがみ)。はじまりは彼方(あちら)、おわりは此方(こちら)、原初にして終焉の塔で、世界を繋いだ生誕の祝詞(いのり)を響かせよう』」

 

 

 

「『テスタメント・メモリア』!!」

 

 

 

・―――――――――世界は概念を持つ

 

 

 

「それじゃ、やろっか」

 

 

 

・―――――――――言葉は心に響く

 

 

 

「諸君」

 

 

 

「諸君」

 

 

 

「…………諸君。いい夜だ、そうは思わないかね?」

 

 

 

 

 





自分がこの世界の異物であると認識したのは、母が亡くなった時だった。

自分がこの世界の異物であると確信したのは、自分がいないと理解した時だった。

だから、愚かにも自分は必要のない存在だと。

そう、思った。


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