法曹臣民でございます。

日頃、皆様に適度な娯楽を提供すべく気楽にコメントをしておりますゆえ、難解な法理論を振りかざすつもりはございません。しかし、一部で誤解が生じかねない様子が見受けられますので、簡単に補足を。

まず財産開示手続は、強制執行を行ったものの十分な弁済が得られなかったか、あるいは行っても十分な弁済を得る見込みがない場合に初めて認められる手続です(民事執行法197条)。申立人は「調査し尽くしましたが、これ以上の財産が見つかる見込みはございません・・・」と調査報告書を添え、裁判所にその要件充足性を明確に示さねばなりません。このように強制執行や可能な調査を尽くした末の手続であること、この段に至って債務者が自ら有益な財産を自白することも考え難いこと等を考慮すると、この手続が、最終的かつ補完的なものであり、「法的手段の最終章」であることは容易にご理解いただけるでしょう。

また、逮捕に発展するなどというのは、悪質かつ希少な例外でしかありません。

なお、「債権者破産」はまったく別問題ですので、もしご関心がおありでしたらアワリーチャージ(時間制報酬)として1時間毎4万円+税を、灰豚殿経由でお支払いいただければ喜んでご説明いたします。

さて、「5000円ピロピロ」の件でも少し補足を。匿名掲示板を覗いていたところ、わずか5000円の債務について強制執行の脅威を感じ、債務者側が弁済を急ぐあまり債権者本人宅に早朝から代理人が押しかけて弁済提供を試みたのだという奇妙な主張を複数拝見しました。しかし、良識ある法曹の見解からすれば、このような主張は「ポーーーーン!」(効果音)以外の感想が出てまいりません。

現実的な話をいたしますと、東京地裁で債権執行を行う場合、手数料や切手代だけで約8000円、さらに我々弁護士も慈善家ではありませんから、報酬を最低10万円ほど頂戴せざるを得ないわけです。そのため、5000円という小銭を回収するためだけに、赤字必至で大急ぎで裁判所へ申立に駆け込むなどという行動は、実務上まずあり得ないと断言して差し支えありません。

仮に依頼人(支払う側)から5000円ごときで何か法的手段を執られるのではないかとの懸念を示されたなら、まともな弁護士であれば微笑みを浮かべつつも若干目力を強くし、「ただいま振込先の確認中ですので、焦らずにお待ちください」と落ち着かせるのが通常の対応です。

さらに、事前に債務者代理人から債権者代理人に対し、支払意思と振込先の確認を求める連絡が行われていたとすると、少なくともその回答を待つのが道理でございます。どうしても月曜の朝イチで片付けたいというのであれば、午前9時ごろ営業を開始した代理人事務所へ足を運び、そこで穏やかに弁済すればよいのです。弁済の受領は無論、訴訟代理権の範囲内です。

それにもかかわらず、債権者本人やその代理人の許可も得ずに、なぜ突然弁護士が債権者本人宅への早朝突撃という驚異的な行動を取ったのか。早朝7時半という非常識な時間にアポイントメントも取らず、突然、債権者本人宅を訪問した上で、現金を広げて写真撮影を行うという一連の行動は、社会常識の観点からも、法曹としても、はっきり申し上げて合理性を一切見いだせない珍行動であり、到底賛同の余地が見当たりません。

このような誤った理解に基づく不適切な主張がまかり通らぬよう、正しい法的知識を広めることは法曹の一責務と自認しております。

以上、皆様の冷静なご判断の一助となれば幸甚に存じます。

ありがとう法曹臣民!

偶然かもしれませんが一部言い回しで何か正体が

分かりそうな気がしてきたんですが・・・

24分

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