第14話 夏祭り

 地区で一番大きな夏祭り。

 花火も上がるしかなり人が増える。


 相変わらず人混みは好きになれないが、三人といればそれを忘れるくらいには楽しいので、以前ほど苦ではない。


 しかも三人共に浴衣を見事に着こなしているので眺めるだけでも眼福だ。


 ちなみに姫華は白地に艶やかなピンクの桜模様。可愛らしさと美しさが両立した佇まいで贔屓目無しでも最高だ。

 咲夜は濃紺に猫と花の絵柄が特徴的だ。着付け時の猫アピールが凄かった。あとどうしても胸に目がいってしまうのは男の性だろう。

 そして薄紫に白牡丹が咲き乱れるリナ。西洋風の顔立ちは和装に似合わないと思いきや、やはり美人は何を着ても似合う。こう言うと元も子もないが事実なのでしようがない。


 で、当然そんな美少女三人が並んで歩けば視線を集めるに決まっている。

 だから俺は彼女らに近付こうとする不埒者どもに睨みを利かせる役目も兼ねている。


「今年はマツケンいてたすかるわ〜」


「去年はナンパウザかったもんね」


「まあ、それでも関係なく来る人は居るけどね」


 リナがそう言った視線の先。

 ニヤニヤした表情で近づいてくるいかにもチャラそうな男三人組。

 まあ今の俺も人のことは言えないけど。


 見慣れない顔なので学園の知り合いではない。


「ねえねえ、そこの彼女ら、俺達と一緒に回らない?」


 案の定、ただのナンパ。

 無視して素通りしようとしたら、男の一人がリナの手を掴もうとする。


「いでぇ」


 その男の手を先に掴み力を込める。


 格闘技は再開したばかりなので三人相手だとちょっと骨が折れそうだ。でもリナに気安く触ろうとするのには我慢できなかった。

 そんな喧嘩腰の僕を制するかのように咲夜が声を上げる。


「あのー、ナンパなら他を当たってくれますか。ウチらカレシ居るんで」


 注目を集めて下手な事が出来ないよう、咲夜は少し大きめな声で叫びながら、俺の左手に抱きつく。

 腕を掴まれそうになったリナも、俺の右側一歩後に隠れると、怯えた様子で袖を掴む。

 出遅れた姫華は申し訳なさそうに俺の背に隠れて、帯紐の端をちょこんと掴んだ。


「はぁ、ありえねーだろう」


 そのチャラ男Aの言葉に、丹田に力を入れ気迫を込めて言い返す。


「黙れ(殺すぞ)」

 

 最近再開した鍛錬の賜物で、かなりドスの効いた声と殺気を乗せれたんじゃないかと思う。


「うぁ……ちっ、しらけた。行こうぜお前ら」


 俺の気迫と睨みが効いたのか、目を背けてチャラ男三人衆はスゴスゴと退散していく。



「ふっふ、中学の時のケンちゃんみたいでカッコよかったよ」


 姫華が嬉しそうに言う。

 その言葉に咲夜がすぐさま反応する。


「ウソ、マツケン。中学の時ヤンキーだったん?」


「マジでヤンキーって実在したんだー」


 リナは珍獣を見るような目を俺に向ける。


「ちゃうちゃう。素行の悪い奴らを追い払ってた方だから、いわゆる正義の味方的な?」


 夏休み前の俺からしたら信じられないが、中学で琴海と付き合うまでは、結構ガラの悪い連中とか相手にも啖呵切っていた気がする。


「うんうん。何度か助けてくれたもんね」


「まじかよ。マツケンって、あれか、あれだったん、なんつったけ」


「もしかして俺つえーって言いたい?」


「そうそれ」


 咲夜が期待に満ちた目で俺を見てくる。

 でも残念ながらアイツらレベルならどうにかなるが、本職の人プロとか、本格的に格闘技とかヤッてる相手だと歯が立たないだろう。


「フツーよりマシな程度だよ。だから俺が逃げろと言ったら、まず自分の身を優先にして絶対に逃げろよ」


 ヤバい相手からは逃げる。

 それが一番安全な方法。

 さっきの奴らは体格とか身のこなしから素人だと分かったから追い払えただけだ。


「ふっふ。じゃあそうするね。でも安心したかも、ちゃんとケン君は状況判断できる人みたいだし」


 俺の意図を察してくれたリナがそう言うと、一歩前に出て右手を取る。


「あーズルいよ、サクにリナも、私が掴むとこ無いじゃない」


 姫華が後ろから飛び出すと、通せんぼするように立ちはだかり指摘する。


「良いじゃない。出かける前まで、散々可愛がってもらってたんでしょう。姫華も咲夜も」


 そう言ってリナが艶のある表情で見上げてくる。

 リナとは夏祭りに行く直前に合流したので、その前までのお楽しみには参加していない。

 だから姫華は普通に折れた。

 

「分かったよー。この後の一番はリナで良いからさ」


「当然だし」


「え〜、あたしさっきのマツケン見て、ちょっと濡れちゃったんだけど〜。だから、マツケンにはその責任取ってほしいな〜」


 リナの言い分を無視するように、左手に力が込められると、咲夜が潤んだ瞳で俺を見る。

 そんな咲夜にリナが吠える。


「はぁ、咲夜なんか万年発情期でしょう。どうせ今も、浴衣のまま直ぐに突っ込んでもらおうとか考えてノーパンなんじゃないの?」


「ちがうし、今日はちゃんとTはいてますぅ」


「いやいや絶対嘘しょ。どうせノーパンのまま、さっき注いでもらったアレが垂れてくるのを感じて、モジモジと悶えて発情してるんでしょう。まったくこのドスケベ変態ビッチは」

 

 そんなリナの生々しい妄想に対して、咲夜が反応するより前に、姫華が恥ずかしげに手を上げる。 


「…………えっと、ゴメン。それ私かも」

 

「「マジかよ?!」」


 二人共声を合わせると驚愕の表情で姫華を見た。

 当然俺も直視してしまい、思わず想像してしまう……ってそうじゃない。


「……えっと三人共、ほらこんなところでする話じゃないから」


 俺が指摘した通り周囲は人混みだ。

 幸いだったのは、さっきの騒動で周囲から距離を置かれていた事だろう。


「えっと、そうだよね。もうすぐ花火も始まるし、行こ、みんな」


 誤魔化すように顔を真っ赤にした姫華が、先導する形で予約していた有料の観覧場所へと向かう。

 ただ後ろから見てたら、内股でモジモジしながら歩く姿にグッとくるものがあった。

 しかも咲夜も同じように内股気味になったの気付いて、少しムッとしたリナに軽く二の腕をつねられた。


 そんなハプニングもありながら観覧場所に着いたタイミングで、ちょうど花火が上がりだした。

 響き渡る轟音と幻想的な光のおかげで、俺たちはさっきまでの下世話な事は忘れて、打ち上がる炎の芸術を堪能した。


 その後は四人で屋台巡りを楽しみつつ、夏祭りを満喫して、姫華の家へと帰った。


 当然その日は浴衣姿で乱れる三人と、日が昇るまで激しい激闘を繰り広げた。




――――――――――――――――――――


読んで頂きありがとうございます。


続きを書くモチベーションにも繋がりますので

エロいなっと思っていただけたら


☆☆☆評価を頂けると泣いて喜びます。


もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。

 




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