第13話 変わり始める
夏休みの特別プランが開始されて二週間を過ぎた。
最近心身ともに充実してきている事を実感する。
身体的には再開した格闘技の鍛錬のお陰ってのもある。あと精神面では咲夜さんやリナさん、何より姫華のお陰で自信を取り戻しつつある事も大きい。
何より姫華達と過ごす時間が素直に楽しいからというのもある。
当初の目的どおり一日中籠もって、ぐずどろになるまで求め合い続けることもあれば、四人で映画を見に行ったり、買い物したり、貸し切りのナイトプールなんかも堪能したりで、普通に夏休みを満喫できている。
あと嬉しい誤算は咲夜さん以外は意外と読書が好きな事だった。
昔は僕と同じで本に興味なかった姫華も、ラノベやら恋愛系小説などは読んでいるらしく、実際話を振ってみると違和感無く話が通じた。
リナさんはある意味僕より凄く、特にミステリ小説に関しては僕以上の読書量で驚かされた。
まあ、咲夜さんは小説とかは読まないけど、マンガは普通に読むらしいので小説からコミカライズされた作品なんかの話は通じた。
それから三人の趣味なんかも話していると為になったりして、特に美容関係の話は、今や女子だけでなく男子も気を使うべきだと説かれ、最低限のスキンケアなどの方法を教わり実践するようになった。
ファッションなんかも知らないことばかりで、知らない事を覚えるのは純粋に楽しかった。
変わっていく自分が少しだけ好きになれた。
つまりそれは……。
『ああ、そういうことか……』
今さらだけど、変わっていった琴海の気持ちが少しだけ理解できた気がした。
けれど僕の中で琴海の事はすでに過去の事と整理がつき始めていた。
別れてひと月もしない内にだ。
きっとそれが僕の本質なのだろう。
裏切られたとはいえ、あんなに好きだった彼女の事を、ひと月程度でアーカイブどころかデリートしようとしている薄情者。
でも、もうそれが変えようの無い事実で。
現に今僕の心を占めるのは姫華であって、琴海に対する気持ちは失われてしまっていて。
だから今は……もう僕として、琴海に合わせる必要も無い。
本当に合わせるべき相手はもう姫華なのだ。
だから伝える必要があった。
何度も肌を合わせ、絶頂の度に何度も「好き」と伝えてくれる姫華に、嘘偽りない本音を。
野生の本能に近い、男と女が混じり合う事でしか生まれないプリミティブな激情は、繋がることで伝え合う事が出来るけど。
その熱情に浮かされた言葉は移ろいやすい。
だからこそ理性を超えた激情を、理性で制しすことの出来る人間として。過熱しすぎた感情を温もりに変えて、上辺だけじゃない気持ちそのものを言葉に乗せて伝えれば良い。
それこそ一番効果的なタイミングで。
人間の心と体は表裏一体だから。
体と体が繋がれば心と心も近くなる。
だからこそ今がその時だと、その心が囁く。
俺の下で喘ぎ、体を震わせ、深く繋がっている状態の姫華へ。
改めて、琴海と決別した証として、しっかりと伝える。心からの飾りのない言葉として。
「俺も愛しているよ」と……。
◇ Side 姫華
私達四人の夏休みの体験学習も二週を過ぎた頃。
ケンセイが例の怪しい格闘技を再開した。
切っ掛けは四人で街に出た際、チンピラに絡まれた事が原因。
その時自力で何とか出来なくて、結局警察の力を借りた事が納得いかなかったようだ。
私としては下手に恨みを買うより、国家権力に任せて正解だったと思うけど、ケンセイは少し考えが違ったようだ。
ケンセイはそこから体力増強も兼ねて、自己鍛錬の時間を設けるようになった。
本当なら通い直したかったらしいけど、いつの間にか道場は無くなっていた為、ノートにメモってあったと言う教えを元に鍛錬を重ねている。
勿論すぐに結果が出るわけじゃない。
けれど少しづつケンセイが昔に戻っているような気がして、その事が確実にあの女の影を追い出しているように思えて嬉しかった。
そして、そんなケンセイに抱かれると、さらに愛おしさが増し、胸の奥がキュンと高鳴り、好きが止まらなくなってしまった。
なんども「好き」を囁き、与えられる幸せに絶頂する。
何度も、何度も、好きと絶頂を繰り返す日々の中。
今日も「好き」を伝え、ケンセイの熱情を体の奥に感じて絶頂を迎える甘美なひと時。
それを、不意にケンセイの口から溢れ出た言葉がぶち壊した。
「俺も愛しているよ姫華」
その言葉を聞いた瞬間、私の心がリミットオーバーした。甘美なひと時から、比類ない至福の時間へと様変わりする私の心模様。
あの女の為に僕になったケンセイ。
それがやっと昔のように俺と言ってくれた事も大きかった。
きっと他の人からすればどうでも良いことだろうけど、私的にはこれでやっと白坂琴海からケンセイを……ケンちゃんを取り戻せたんだと実感できた。
だからだろう気持ちが昂った私の口から、ずっと伝えられなかった言葉が自然とこぼれ出た。
「ケンちゃん……私も大好き愛してる」
好き以上の愛してる。
これを最初に伝える時は混じり気の無いケンちゃんにと決めていた。
中学二年の時から燻っていた気持ちを発露し、ようやくスタート地点に立てた。
それが余りにも嬉しくて、感情が抑えきれずにギャン泣きしてしまい。
優しいケンちゃんは心配して、一度止めようとしてくれたけど。
でも私は絶対に離れたくなくて、この気持ちを一緒に感じて欲しくて。
泣きながらケンちゃんを求め続けたら。
今までになく奥の奥にケンちゃんの存在を感じられるようになって。
結局ギャン泣きしながら、クジラもビックリするほどの潮を吹き、陸に上げられた魚のようにピクピクと痙攣するなんて意味不明な事してしまい。
それを何度も繰り返していたら、なんか体中の体液を放出してヤリ尽くした感があって。
最高の幸福感と共に意識がフェードアウトしていき……目覚めた時には、その一部始終を見ていたサクにドン引きされた。
「きゃ、ケンちゃん恥ずかしいよ」
自分の痴態を誤魔化す意味で思わずケンちゃんに抱きつく。
「いや、いまさらだかんな」
サクにツッコまれ、ケンちゃんにも苦笑いされる。
「あーもう、なんか、お前ら見てたら恥ずかしいやら、なんやらで、なんかムラムラして、我慢できなくなってきた……リナが来るまで時間あるし、しばらくはあたしのターンだからね、文句ないよねヒメ」
「もちろん」
私とケンちゃんが愛し合ってる姿を見て、サクが興奮してくれたのは素直に嬉しい。
サクは経験豊富で実際凄いけどけど、最近ケンちゃんにイカされることも増えてきたから。このままケンちゃんがさらなる実力を付けてくればイイ感じで堕ちてくれるだろう。勿論リナも同じた。
後は心もとろっとろに溶かしてあげれば、きっと大丈夫、皆幸せになれるはずだから。
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