臨床心理士や精神科医を含め治療者と患者の性的接触はどういう事情であれ非倫理的であるのは間違いありません。しかし、単にこれらを特異的な出来事であり、断罪することだけでは不足のように思えます。
ギャバードは患者との性的接触を境界侵犯と位置づけ、そうした行為をする治療者を、
・精神病性障害
・搾取的サイコパスと性倒錯
・恋わずらい
・マゾヒスティックな服従
の4つに類型化しました。そして、いずれも最初はちょっとした侵犯だったものが、「坂を転げる」ように大きな過ちへと膨れ上がってしまいます。
性的接触を含めた境界侵犯する治療者はいずれも自己愛の問題を抱えています。通常の治療者であっても、多かれ少なかれ自己愛の問題はあります。ですので、自分だけはそうした過ちはしないと過信するのではなく、条件と状況が整えば「坂を転げ」てしまうこともありうると自覚的である方が治療者らしいといえるでしょう。