第15話 鳳城咲夜の思惑
松鷹賢誠。
いつの間にか私の中に居座るようになった男。
アイツとの出会いは、二人しか居ない親友のうちの一人愛染姫華、あたし的な呼びはヒメからのお願いに応えたから。
あのヒメが一途に思い続ける男だから、どんなイイ男なのかと思えば、まあなんてことの無い平凡な男で……。
いや、寧ろ別の男に彼女を寝取られた情けない男だ。
正直、なんでヒメがそんな男に惚れているのか理解に苦しんだ。
だってルックスどころか性格共に申し分ないヒメが、その気になれば男なんて選り取り見取りだから、もっとレベル高い男だって簡単にゲット出来る。
ただ、あたし達なんかと居るせいで、同じように見られてしまい、下心だけのしょうもない男しか寄ってこないから、良い出会いが無かっただけ。
それに私も、そんな下心しか無いようなつまならい男にヒメが転んでしまうのは許せなかった。
だからヤリモクで近づこうとするつまらない男は、先にあたしが分からせて追い払ったりもしてた。
それなのにヒメが望んだのは、ずっと好きだったという冴えない幼馴染の男。
ぶっちゃけヒメの一途さは私の理解出来るもんじゃなかった。
でもあの時。今まで見たことも無い真剣なお願いにあたしは頷くしか無かった。
それが好きな相手に、セックスを教え込んで欲しいなんておバカなお願いでもだ。
もちろん最初は意味が分からなくて真意を尋ねた。
「好きな男が他の女とヤッてるの見て嫌じゃないのか」とか。
返ってきた答えは「好きな人同士なら大丈夫」という、あたしでも理解に苦しむ言葉だった。
だからかもしれない、理解出来ないからこそヒメの気持ちを、相手の男を確かめてみようと思ったのは……それがヒメの頼みを引き受けたもう一つの決め手になった。
そしてヒメの頼みを実行するため、実際に松鷹賢誠と顔合わせをした。
印象は良くも悪くも普通だった。
アッチの方に関しても、ナニは平均的なサイズ。一応彼女がいたらしいので最低限のテクニックはあった。持久力もそれなり。
突出するところは無かったけど言うほど問題点も無かった。
ただ思ったのは、『こんなセックスずっと続けてたらきっと飽きてしまう』だった。
それはリナも同意見だったらしい。
ただ忍耐力は見るべきところがあると褒めていた。
でも、そんな良くも悪くもフツーだったはずの松鷹賢誠が、ヒメを抱いた時だけ豹変した。
そうよりにもよってヒメの時にだ。
あたし達の時と同じようにしてればよかったのに、何故か私達のときには見せなかった荒々しく乱暴なセックスを始めた。
それは初めての相手にするには最低なやり方。
一瞬頭が沸騰して、アイツの頭をぶん殴って止めようとさえ思った。
でもヒメの表情を見て一瞬で冷めた。
痛いくせに、苦しいくせに、ヒメは笑っていたから。作り笑いではなく本物の笑顔で。
正直、その気持ちを理解することが出来なかった。
苦しい思いまでしてどうしてと思った。
でも同時に、本気で嬉しそうなヒメを見て。
『初めてが好きな人ならこうなるのかな?』
と、あたしじゃ知り得なかった気持ちに少しだけ心がざわついた。
ただ、その後は酷いもので。
途中でキスと愛撫に切り替え、ヒメの負担を減らしたことは評価するが、だったら最初っからしろよと、別の怒りが湧いた。
そして最後まで二人を見守った後、一人で勝手にヘコんでるマツケンに声をかけた。
その後リナが問い詰めて犯行理由を説明していたが、やっぱり良く理解出来ず。
『好きな人同士なら大丈夫』
と言っていた姫華の気持ちは分からなくて。
ただ姫華の願いが叶ったことは素直に喜ばしいと思えた。
でも、もう半分には好意を抱けなかった。
ヒメの思いに免じてその場は許したけど、頭の何処かでコイツはヒメに相応しくないと思ってしまった。
ヒメに約束した手前協力は続けるけど、あたしは二人に内緒である計画を立てた。
それは簡単に成功すると思っていた。
今までの男達のように、あたしに溺れてすぐに言いなりになると侮っていた。
言いなりになった後はヒメと別れさせるつもりだった。
それがミイラ取りがミイラになるなんて思ってもいなかった……。
そう私は今マツケンに良いようにイカされている。
夏休みの初めとは違い攻守が完全に入れ替わってしまっていた。
勿論私がマツケンをイカせる事もある。
でも倍返し宜しく、その後は何度もイカされ失神する。
無様なアヘ顔まで晒して。
でも、それだけなら問題無かった。
私も快楽だけを貪れば良いだけの話だから。
スイッチを切り替えればいつでも戻る事なんて出来た。
でもマツケンはそれだけで終わらなかった。
アイツはあたしとリナ以外からもちゃんと学んでいた。
そう姫華から。テクニックではない心を落とす術を、本気で愛しているという気持ちを伝える方法をすでに理解していた。
だからアイツは姫華が居るくせに、本気であたしに愛を囁く、あたしの事を好きだと言う。
普段ならそんな上辺だけの言葉になんて惑わされたりしない。
そう、上辺だけの言葉なんて。
乾いた言葉なんて直ぐに分かるから。
空っぽの愛してるなんてノイズと同じだったから。
あたしには響かない。
そのはずだったのに……。
何故かアイツの言葉はあたしに染み込んでくる。
そしていつの間にか私の中に居座るようになった。
多分、あたしはこれ以上抱かれ続ければ完堕ちしてしまうだろう。
誰にも明け渡したことの無い心までも曝け出して無様を晒してしまう。
そうなってしまったらあたしは……また弱い頃のあたしに戻ってしまう。
それが分かっているのに、あたしはもうアイツを拒絶する事が出来なくなっていた。
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読んで頂きありがとうございます。
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