「命ある限り会いたい」85歳、国立病院と裁判 妻との自由面会求め

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編集委員・岡崎明子
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 関西地方に住む男性(85)が独立行政法人国立病院機構を相手取り、コロナ禍前と同じ面会体制と160万円の損害賠償を求める裁判を起こし争っている。

 「私と妻に残されている時間は、本当にわずかなんです」

 新型コロナが感染症法上の5類に移行した後も、妻(81)が入院する病院は厳しい面会制限を続けている。この方針は、患者や家族にとって重要な面会の権利を奪い違法だと訴える。

 訴状などによると、男性の妻は国が指定する難病を発症し、2016年から関西地方の国立病院機構の病院に入院している。だんだん体を動かせなくなる病気で、今はもう手や足の指、まぶたや唇も動かせず、意思疎通は難しい。

 入院してすぐのころ、男性は家事の合間をぬって病院に通い、毎日5~6時間は一緒に過ごした。

 食事の介助をしたり、車いすを押して花を見たり、小鳥のさえずりを聞いたり。夏には一緒にアイスクリームも食べた。このころは午前10時から午後8時までの面会が認められていた。

 そんな毎日は、新型コロナの発生で一変した。

3年間の面会禁止、5類移行後に待っていたのは

 病院は20年2月に面会を全…

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この記事を書いた人
岡崎明子
編集委員|イチ推しストーリー編集長
専門・関心分野
医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方
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    福原麻希
    (医療ジャーナリスト・介護福祉士)
    2025年3月4日16時16分 投稿
    【視点】

    昨年から、病院や施設の面会制限に関するSNS投稿を見ていたが、この記事で裁判になっていることを知った。個人が裁判費用を払って行動しなければ、しかも、行動しても解決につながらない問題なのかと考えさせられた。     医療取材を長年続けてきたか

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2025年3月4日16時22分 投稿
    【視点】

    「会えてよかった」とか「来てくれてうれしい」とか。入院していたときのことを振り返って、私の母が今でもよく口にするのは(家族だけでなく)友人、知人が毎日面会に来てくれたことへの感謝だ。そのことに引き寄せると、面会制限による患者とその家族が治

    …続きを読む