伊藤詩織監督Black Box Diaries 捜査員Aと2015年6月23日に会ったのは本当か?
1. 伊藤詩織さんはジャーナリストの原則「情報源の秘匿」と○○を守っていない?
伊藤詩織監督の映画Black Box Diaries には多数の問題があるが、その中でも捜査員Aとの映像内容が「取材源の秘匿」を守っていないのではないかとの指摘がある。
相本啓太さんによると「新聞社に入ると、まずは取材源の秘匿は絶対だと教えられますね。信用に関わりますし、情報提供者の人生に関わりますから。守るのは当たり前だと思います。」(太字筆者)
新聞社に入ると、まずは取材源の秘匿は絶対だと教えられますね。信用に関わりますし、情報提供者の人生に関わりますから。守るのは当たり前だと思います。
— 相本啓太 AIMOTO KEITA (@AIMOTO8989) October 22, 2024
伊藤詩織さん監督映画に「人権上の問題」 元代理人の弁護士ら、修正求め会見 「取材源の秘匿守られず」 https://t.co/XIdONFFlxR
また、arc times尾形さんも「取材源の秘匿」を守っていない事を問題視している。(2月20日arc times ライブ配信等)
そして、伊藤詩織さんは2月20日記者会見を体調不良を理由に直前キャンセルした。佃、西廣弁護士の記者会見中に配られた、伊藤詩織さんの声明文には「情報源の秘匿」について一切触れられていない。
さらに、声明文の内容そのものにも怒りを抱く人がいる。
ドキュメンタリー映画監督のヤンさんは怒りを露わにしている。
(ヤンさんは昨年7月伊藤さんと会い、弁護士とのトラブルを聞いていた)
#伊藤詩織
— ヤンヨンヒ 양영희 Yang Yonghi (@yangyonghi) February 20, 2025
記者会見ドタキャン後のこの声明文を読み(もう驚きはしないが) 尚更あきれてる。 https://t.co/WzwUNy1ZSw
なぜ、伊藤詩織さんがジャーナリストの基本を逸脱したのか、現段階(3月2日)でははっきりしない。
さらに、ジャーナリストの福島香織さんは以下のポストをしている。
ジャーナリストは、誰でもなれるけれど絶対守らねばならないことが二つあって、事実をねつ造しない。ニュースソースの秘匿、保護。これを破ったら、訂正、謝罪どころか、出版さしとめ、下手すれば今後のジャーナリズム活動ができなくなり、損害賠償問題もありうる。うっかりミスでなく、確信犯なら悪質…
— 福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! (@kaori0516kaori) February 22, 2025
つまり、ジャーナリストが絶対に守らねばならないこととは
①事実をねつ造しない②ニュースソースの秘匿、保護
相本さんなどが問題としているのは、情報源の秘匿、②である。
しかし、今回この記事を執筆したのは、世間一般にはほとんど認識されていない①事実をねつ造しないという点についてである。
2. 2015年6月23日伊藤詩織さんと捜査員Aが会った場所はどこか?
2015年6月23日がどのように描かれているのか、arc times 2月20日ライブ配信で詳しく報じている。(arc timesライブ配信では23分頃から)
①2015年6月23日伊藤詩織さんが捜査一課に行く。
②夜の10時05分捜査員Aから電話が来る。ここから問題の映像が始まる。
映画はどこで撮影されたのか
伊藤さんの当時の自宅と思われる窓が映し出される中、捜査員Aと電話で話す。
捜査一課がAの事をどのように話していたか、捜査員Aが伊藤さんに質問していた。
(なぜ、6月23日に伊藤詩織さんへ電話をしたのか?捜査一課に行ったのを知っていたのか?電話した日がたまたまその日だったのだろうか?)
そして、電話の場面から切り替わり、深夜、伊藤さんは捜査員Aと会うため、待ち合わせ場所に歩いて向かう場面が映し出されている。
歩きながらの撮影で、映像のブレもあることから、おそらく伊藤詩織さんが自ら?スマートフォン等で撮影したようにみえる。
そして、伊藤さんは捜査員Aと挨拶し、車のドア?の開閉音が聞こえる(隠し撮りにみえる)。
その時、飲み屋さんの看板が一瞬映る。この看板等で場所が特定された。
(映画画像なし)
目黒区青葉台3−18−9
そして、車内に入ったと思われるようなどこを撮っているかわからない映像(隠し撮り)に続いて、この映像が映し出される。
実際のBBDでは、車のフロントガラスに光が反射しているような場面が映し出される。まるで、車内で撮っているかのように(尾形さんは「隠し撮り」と表現)。
画像を見ると看板が映し出されているのがわかる。それで私は場所を特定することができた。
先ほど伊藤詩織さんと捜査員が挨拶した場所とはなぜか「違う」場所。
なぜ違う場所なのだろうか?
グーグルマップ 目黒区青葉台3−5−46
まとめると、伊藤詩織さんが自宅に居る時、捜査員Aから電話が来て、深夜に待ち合わせ場所へ行った。行った場所では隠し撮りをしているようだが、なぜか、2カ所で撮影されている。それはどういう意味なのだろうか?」
3. 「逮捕状について話す」伊藤詩織さんと捜査員Aの映像(隠し撮り)は2015年6月23日に撮影したものなのか?
(1)映らないはずのものが映っている??
まず、伊藤詩織さんと捜査員Aが挨拶して車のドアの音がする場面の映像について考察していく(目黒区3-18-9)。
筆者は、グーグルマップで映像と過去の写真と比較してみた。
現地のグーグルマップ過去画像をいくつか見てもらいたい。
これらの画像を見て、時間経過により変化しているものにお気づきだろうか?
注目すべきは飲み屋の手前、ビルの入り口と思われる所に見えている樹木。
画像を見る限り、2015年、2016年には樹木らしきものはない。2013,14年の画像にもない。
なお、2015年の画像に樹木があるように見えるのは、手前道路植栽の草木が伸びたもの。
樹木が見えるのは2017年10月からである。(グーグルマップ過去画像で確認済み)
別角度の画像
そして、衝撃の事実が発覚する。
BBDで映っていたのは「樹木が植えられていた」映像だった。
2015年に撮影されたものであれば、樹木は映るはずがない。樹木はないのだから。
2015年6月23日に撮影(隠し撮り)したならば、なぜ映るはずのないものが映っているのだろうか?
この証拠及び、映像での樹木の成長から考えると、BBDの捜査員Aと伊藤さんが外で挨拶する映像は、2017年10月以降に撮影されたものと考えざるを得ない。
(2)映っているはずのものが映っていない??
続いて、2カ所目、車内で隠し撮りされているような映像の考察をしていく(目黒区青葉台3-5-46)。
arc timesライブで出ている映像画像ではわかりにくいが、映像ではより鮮明なものとなっている。
そして、ここでも、筆者はグーグルマップで過去画像と比較した。
グーグルマップでは2013年から2019年6月までずっと自動販売機が写っている。自動販売機が写っていないのは2019年10月からである。
ところが、伊藤さんと捜査員Aが話していた映像には、自動販売機が映っていない。
2015年6月23日に撮影(隠し撮り)したならば、なぜ映っているはずの自動販売機が映っていないのだろうか?
また、映像では、乗車しているかのような映像になっているが、グーグルマップで確認したところ、そのようなスペースはない。
2015年6月23日に伊藤詩織さんと捜査員Aとの撮影(隠し撮り)(乗車後のように見える映像)は2019年6月以降に撮影されたものである可能性が高い。
【注記】
捜査員Aの「逮捕状が出ていた」と話す行為は守秘義務違反となり、地方公務員法34条違反の可能性がある。この為、捜査員Aが何らかの調査や処分等を受ける事があり得る。そして、今回の映像は調査等での決定的証拠となるものと考えられる(この映像が人物の特定性の証拠とならない場合でも、証言内容の事実性、正確性の決定的証拠となる)。
また、2015年6月23日時点で、Aは既に捜査の担当を外れていたが、まだ送検前の捜査が続いている時期だった。一方実際に会ったのが、2017年10月以降ないし、2019年6月以降である場合、検察審査会により不起訴相当と議決したのが2017年9月21日である事からすると、2017年10月以降に話すことは、2015年6月当時に話すより、違法性にかなりの差があると考えられる。捜査中に話すのと、再捜査の可能性がなくなってから話すのとでは、捜査への影響が全く異なるからである。その点も考慮し、この記事を執筆した。
4. 2015年6月23日伊藤詩織さんは映像に映し出される家に住んでいたのか?
2015年6月23日に伊藤詩織さんと捜査員Aが会ったとされる2か所の撮影場所と、
参考までに2017年9月に伊藤詩織さんと捜査員Aがカフェで会った場所(捜査員Aの容貌が隠し撮りされた場所)を示す。
カフェの内装などモザイク処理がされていなかったので、ザワーカーズコーヒー(なお2025年現在は閉店)と判明した。
ザワーカーズコーヒー
赤丸 2015年6月23日、伊藤さんが捜査員Aと挨拶している場所
青丸 2015年6月23日場面が変わり車内で話す場面の場所
赤丸から青丸までは、約800m
紫丸 2017年9月 伊藤さんと捜査員Aが会ったカフェ(ザワーカーズコーヒー)
3カ所とも近隣である。
特に伊藤さんとAが挨拶し、車に乗り込んだ場所は、2年後の2017年9月に会ったカフェのすぐ隣であることに驚く。
また、当時の伊藤氏の自宅はBBDや過去のBBCドキュメンタリーから自宅が概ねわかり、上記の場所の近隣に住んでいたことが判明している。
2015年6月23日午後10時5分に電話がくるシーンで使われている映像は窓際に料理のおたまがぶら下がっている。窓の大きさ、料理用品、映画で映し出されている自宅映像から、この映像は2017年当時も住んでいた家であると推測される。
ところがここでも、驚くべき事実がある。
伊藤詩織さんは2015年6月23日時点で撮影場所の近隣には住んでいない。
当時伊藤詩織さんは原宿駅の近くに住んでおり、裁判資料によると、引っ越したのは2015年7月16日前後のようだ。
また、原宿駅から撮影場所までは徒歩約40分ほど。待ち合わせるには遠すぎる。
なお、著書black boxによると、山口さんとの事があった後、友人k宅に住んでいたとの記載がある。しかし、受診した整形外科(世田谷区上北沢)が友人k宅の近隣との記載もある事から、友人kの家も待ち合わせ場所の近隣ではない。
2015年6月23日に伊藤詩織さんと捜査員Aが会ったとされる場所は、当時の自宅(あるいは友人k宅)から遠すぎる事から、その日に撮影されたものではないという疑惑の証拠となりうるのではないだろうか。
結局、2015年6月23日の映像は何が事実でどこからがフィクションなのだろうか?
ドキュメンタリーの「信用」はどうやって担保されるのだろうか?
5. 伊藤詩織さんの声明文
伊藤詩織さんの声明文の中に気になる記載があったので一部を引用する。
監視カメラの映像使用について
ホテルの防犯カメラは、私の受けた性犯罪を、唯一、視覚的に証明してくれたものです。この映像があったからこそ、警察も動いてくれました。
映画への使用について、ホテルからの承諾は得られませんでした。そのため映画では、外装、内装、タクシーの形などを変えて使用しております。
しかし加害者の山口氏と私の動きは一切変えることはできませんでした。それは事実を捻じ曲げる行為だからです。
これに対してはさまざまな批判があって当然だと思います。それでも私は、公益性を重視し、この映画で使用することを決めました。
そこに確かに、性加害の経緯が映った映像がある。それをみずに、性被害を否定する誹謗中傷が、社会に飛び交っている。手元にある映像をどうしたらいいのか、何年も悩みました。でも、ブラックボックスにされた性加害の実態を伝えるためには、この映像がどうしても必要だったのです。
この声明文からは、ホテル映像を覚悟を決めて使ったことがわかる。
性加害の実態を伝えるため、性加害の経緯が映った映像を使いたい。山口さんと伊藤詩織さんの動きを加工することはできない。事実を捻じ曲げることになるからと。
しかし、この記事を最初から読んだ読者は、この声明文を素直に読むことができるのだろうか?
2015年6月23日の映像は捜査員Aが「逮捕状があったのは間違いなくて」と話す決定的シーンである。彼女の主張「逮捕状が上の方から揉み消された」最大の証拠のはずである。
とすると、伊藤さんの言葉を借りれば「一切変えることができませんでした」と監督として判断しなければならないシーンだったのではないだろうか。
捜査員Aと会った場面が2017年以降でなければ撮れない映像である事は、事実を捻じ曲げる事にはならないのだろうか?
西廣陽子弁護士のコメント
2月20日の記者会見時に配布された西廣弁護士「コメント」の一部を引用する
映画の終盤に、彼女と弁護団との方針が対立する場面があります。映画では、弁護団は彼女の意向に従わず、彼女が孤立していくような流れに観客が感じる場面です。
この場面において、私は、彼女と自分との会話が無断で録音録画されていることを、映画を見て初めて知りました。そして、弁護団が彼女の意向に従わず、彼女が孤立したと見せるそのストーリーにショックを受けました。
なぜなら、実際の訴訟では、ドアマン(ベルボーイ)の証言を書面化して、一旦結審した訴訟手続の再開を求める手続きをとり、彼女の意向を尊重したからです。
「映画では弁護団が彼女の意向に従わず、彼女が孤立したと見せるストーリー」→実際の訴訟では、彼女の意向を尊重した。
これも事実を捻じ曲げる事にはならないのだろうか?
6. 信用のドミノ倒し
1つ、2つと信用がなくなると、次々と気になってきてしまう。
捜査員Aだけでも様々な疑問点がある。
BBDで度々登場する捜査員Aの音声、聞きようによっては別の人の声にも聞こえてくるがいかがだろうか?
私は最初に予告編を見た時、捜査員が複数いるのかと思ったほど。
カフェは別人ではないかとと推測している人もいる。
別人疑惑が生じると、当然捜査員Aが本物かどうかすら怪しくなってくる。
確認した方はいるのだろうか?
これらの問題は尾形さんなど多数の方々が捜査員Aを公益通報者かどうか、保護しなければならないのかどうかなどの議論の前提を崩しかねないものである。
そして、信用のドミノ倒しは大きなドミノにたどり着く
中村格氏への直撃取材へと話しが進み、そして衝撃的な車で逃げる中村氏の映像へ
実は・・・・その映像までもが・・・・
さらに
ひとつ、次の、さらにまた次の
信用のドミノ倒しが続いていく。
そして帰納的に真実が導かれていくことになるだろう。
コメント
9エリックさんは2020年から参加なので、そうかもしれません。
この映画は2018/6BBCのjapan's secret shameが元になっています。
もう1人のプロデューサーハンナさんは初期から関わっていますが、彼女もジャーナリストなんですよね。
河村さんが良くなかったんじゃないかなというのが根拠のない直感です。調べたら
Japan's Secret Shame (2018) Assistant Producer ですね。日本語はできない感じな気がしますからボンヤリとした把握かもしれませんね。
河村さんは直接関わっていない可能性もあると思っていたのですが、bbcのアシスタントプロデューサーなんですね。貴重な情報ありがとうございます。
確かに日本語ができないと、把握は難しいと思います。
どうでしょうか。河村さん、新聞記者とかやってますからね。