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衆議院に提出されたAI新法について、担当の方からお話しお聞きする機会がありました。新法について聞きたい点について多くのリクエストを頂きましたので、多かった質問と回答概要について以下にまとめました。私も、条文を見て感じていましたが、この法律はあくまで「AIを推進するための法律」であり、ここ数年で表出しているAIの様々な課題に対処する方向性のものではありません。そのことは先方も冒頭から明言していました。 この法律の下敷きになったとされる戦略会議等で議論されてきた具体的なリスク対策は一体どこにいってしまったのか?初期に検討されていた罰則付きのものとは方向性自体変わってしまったのではないか?など、リスク対策はそのまま今後に積み残されてしまったことを感じています。 間も無く、衆議院での議論が始まると思いますが、そちらを見る前に、以下と法案条文cao.go.jp/houan/217/indeを参考にして頂ければ幸いです。本件については引き続き取り上げていきます。 【前提】 この名称は法案の通り、「研究開発と活用」を目的としており、規制法の類ではない。 「AIのリスクは既存の法律の枠組みで対応できている」という認識。今国会で成立を目指す。 2023年のAI民間投資額は、先進国の中で12位の地位にある。投資拡大は必要。個人でのAI利用も立ち遅れている。遅れている理由は「AIに対する漠然とした不安」ではないかと考えており、それらを解消していく手だても必要。そのため、推進法をつくった。 ■具体的には新法によってどのようなことが行われるか? → ・戦略本部の設置とAI基本計画(研究開発・活用のために政府が講ずる施策とその方針) の策定。公共・民間分野におけるAI活用の促進。具体的にはデータセンターの共用等コストを下げられるような取り組み。人材の確保など。 ・国際的な指針(広島AIプロセス・AIの開発者は安全対策や情報の透明化を進めていく)などを事業者に勧め、自主的な対策を行ってもらう。 ・国として事業者を対象に情報収集(アンケート等)を行っていく。課題のみならず、良い面(ベストプラクティス等)も明らかにしていく。 ・AI技術は日々進歩しており、現在存在していない新たなリスクが発生した際には必要な措置を講ずる(見直し規定) ■AI戦略会議の中では「AI規制が必要:77%」という意識調査の結果も上がっているが、その不安に対して答える方向性の法律では無い? →日本の方々が指摘しているのは「中身の不透明さ(プロセスがブラックボックス化していること)」だと思っている。事業者の中の不透明さについては我々が情報収集(自主的な安全対策や利用動向などについてのアンケート等)をして、分析、必要なところを国民のみなさまに公開していくことによって不安を解消していきたい。 ■悪質な人権侵害など重大事案に対する調査は? →メディア等ではこれらの点ばかりフォーカスされて困惑しているが、この法律は「悪質事業者公表制度の導入」とかそうしたものがメインの類のものではない。国民の権利・利益の侵害が生じた事案に対して分析するためにも基本的には実態把握・情報収集を行っていきたい。数としては100や200のように沢山やることは難しい。 ■日本はこれまでも海外諸国と比較してAI規制が緩やかであったが、上述の通り投資額は先進国中12位の地位に甘んじている。規制がないことは開発推進に直結すると考えているか? →事業者に影響が全くないとは言えない。例えばデータの開示などは手の内を明かす意味もあり、あまりやりたくないだろう部分。 ■施行はいつから? →基本は公布即施行。戦略本部の設置と基本計画の策定は三か月以内施行。 ■新法によってクリエイターの権利保護という観点で変わるところはあるか? →明示的に新しい規則を定めているものではないので、基本的にはこれまでも問題の起こらなかった範囲の対応をとってもらうことが前提だと思っている。 ■新法が将来的に罰則付きになる可能性はあるか? →この法律は「開発・活用の促進」が目的であり、仮に将来的に規制が必要だとなっても別の枠組みになってくるのではないかと思う。 ■これまで様々な会議体(AI戦略会議AI制度研究会等)でAIの課題や戦略について議論されてきたがそれらは今後どうなるのか? →検討中。内閣のメンバーで構成するAI戦略本部にも意見を聞く有識者の会議体は必要かもしれない。再編するのか、新たに立ち上げるのか等は今後の検討事項。 ■政府としてクリエイターや権利団体などの懸念や、すでに起きている実害を確認しているか? →これまで様々な会議体でおこなったパブリックコメント等は会議体で共有されている。制度設計に活用はさせていただいている。(続
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