「婦人科タブー」が女性の健康を蝕んでいる
セックスに関わらない女性の下の問題が、一般読者を対象とする新聞や雑誌で散見されるようになったのは最近のこと。それまでは、ほとんど表立って語られることはなかった。
なぜなら日本では長いこと、女性が排泄や、特にセックスに関係するようなことを、人前で話すべきではない、そんな話をするのは恥ずべきこと、下品なことと考えられてきたからだ。そのため私がそうだったように、多くの女性が、下に問題が起きても、よほどのことがない限り誰にも相談することなく、黙って一人で耐えてきたのである。
最近、ある大学の先生が教えてくれた。彼女がいま教えている女子大生も、みな「産婦人科に行くのはイヤ」と言うそうだ。「性病や妊娠を疑われてしまうから」と。産婦人科に行くだけで、「ふしだら」という烙印を押されてしまうと考えているのだ。女性が、自分の下の問題やセックスの問題としっかり向き合うことは、いまだにタブーになっているのである。
「初潮」は知られても、「終わり」は知られていない
ご存じと思うが、女性の骨盤内には子宮・膀胱・直腸がある。私たちは直立歩行しているので、それらが下がってこないよう支える必要がある。その役目を担っているのが骨盤底筋と呼ばれる筋肉群だ。この筋肉が弱ると、これらの臓器は下がってくる。これは男性も同じである。
男性と違うのは、女性の骨盤底筋には尿道と肛門以外に、体外に通じる穴がもうひとつあることだ。腟である。性交や出産などに使われるため、腟の筋肉は極めて柔軟に作られている。その柔軟な筋肉でできた腟に隣接して、膀胱・子宮・直腸がある。つまり、これらの臓器と腟は、極めて密接な関係にあるのだ。
中高年になり、セックスから遠ざかると、女性は腟のことを気にかけなくなる。お役御免と言わんばかりに、腟があることすら忘れてしまったりする。
けれども忘れないでほしい。くり返すが、腟は、排泄器官と密接な関係にある。腟の健康が損なわれると、排泄機能に影響が出る。尿もれや便秘がたびたび起きるようなら、腟の不調を疑う必要があるのだ。
女性ホルモンが、女性の体調だけでなく、卵巣や腟に、大きな影響を与えることはご存じだろう。女性ホルモンによって少女が女性的な体つきになり、初潮を迎えることは、おそらくみな知っていると思う。
だが、女性ホルモンが急激に減少する40代以降のことは? 女性ホルモンがほとんど底を打ってしまう50代以降のことは? 女性の体、特に腟にどんな変化が起きるか、女性ですらあまり知らないのではないだろうか。
ということで、ここからは、女性ホルモンが減少したことによって、私の体になにが起きたかをお話ししよう。私は20年近くも、女性ホルモンのせいで本当にひどい目にあってきたのだ。
