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佐々木朗希 ドジャースと契約合意 “契約金は約10億円”
プロ野球・ロッテからポスティングシステムを使って大リーグへの移籍を目指していた佐々木朗希投手がドジャースと契約することで合意したと自身のSNSで発表しました。アメリカの複数のメディアは契約金は650万ドル、日本円でおよそ10億1600万円と伝えていて、佐々木投手は大谷翔平選手や山本由伸投手とチームメートになります。
記事後半では、今回、異例の経緯をたどった移籍についての解説やポスティング制度で過去に移籍した日本選手などについて詳しくお伝えしています。
【NHKプラスで配信中】
佐々木朗希“ドジャースとマイナー契約”自身のSNSで
高校卒業後にプロ野球のロッテに入団した23歳の佐々木投手は、3年目の2022年には史上最年少で完全試合を達成したほか、おととしはプロ野球の日本選手最速に並ぶ165キロをマークし、昨シーズンは自身初のふた桁となる、10勝を挙げました。
昨シーズン終了後にロッテがポスティングシステムを使った大リーグ挑戦を容認したため、全30球団のうち20球団による激しい争奪戦となっていました。
25歳未満の佐々木投手の契約は大リーグの労使協定で契約金や年俸の額が制限されるマイナー契約に限られていて「国際ボーナスプール」と呼ばれる毎年決まった資金の中で契約金をまかなうことになっていました。
この資金を使った契約は今月15日に解禁され、佐々木投手は17日、ドジャースとの契約に合意したと自身のSNSで発表しました。
アメリカの複数のメディアは契約金は650万ドル、日本円でおよそ10億1600万円と伝えていて、この25%に当たるおよそ2億5400万円が譲渡金としてロッテに支払われます。
佐々木投手は「とても難しい決断でしたが、野球人生を終えて後で振り返ったときに、正しい決断だったと思えるよう頑張ります」などと投稿しています。
昨シーズンワールドシリーズを制覇したドジャースには、“投打の二刀流”の復活を目指す大谷選手に加え、2年目のシーズンに臨む山本投手が所属しています。
おととしのWBC=ワールド・ベースボール・クラシックでもともに戦った日本を代表する3人の選手がチームメートとなり、球団初のワールドシリーズ連覇を目指すことになります。
SNS投稿全文
佐々木朗希投手がドジャースとの契約合意を発表したインスタグラムの投稿の全文です。
「ロサンゼルスドジャースとマイナー契約を結ばせていただくことになりました。
とても難しい決断でしたが、野球人生を終えて後で振り返ったときに、正しい決断だったと思えるよう頑張ります。
入団会見では、ここまで支えて頂いた全ての皆様に感謝しながら、ドジャースのユニフォームに袖を通したいと思います。」
◆佐々木朗希(ささき・ろうき)投手 経歴
佐々木朗希投手は岩手県陸前高田市出身の23歳。1メートル92センチの長身で左足を高々とあげる投球フォームから最速165キロのストレートと落差の大きいフォークボールを持ち味とする右投げのピッチャーで「世界で最も才能のあるピッチャーの1人」と評価されています。
大船渡高校の3年生だった2019年に163キロのストレートを投げて注目され、その年の夏の地方大会決勝で登板の機会がなく敗れて甲子園出場を逃した際には、それまでの疲労が考慮され佐々木投手の将来を見据えた中で登板が回避されたことをめぐって大きな論争が巻き起こりました。
ドラフト会議では4球団から1位で指名されてロッテに入団し、プロ1年目の2020年には1軍での登板はありませんでしたが、当時、投手コーチだった吉井理人監督の指導のもと1軍の練習に参加しながら調整を行いました。
そして、2年目に1軍登板を果たして3勝をマークすると、3年目に史上16人目の完全試合を達成しました。
当時20歳での完全試合は史上最年少で、この試合ではプロ野球記録となる13者連続の三振を奪ったほか、プロ野球記録に並ぶ1試合19奪三振と記録ずくめとなりました。この年は9勝4敗、防御率2.02、奪三振数は173個と飛躍のシーズンでした。
続く4年目はWBC=ワールド・ベースボール・クラシックに出場し日本代表の優勝に貢献したほか、大谷翔平選手が日本ハム時代にマークしたプロ野球の日本選手最速に並ぶ165キロをマークしました。
5年目の昨シーズン開幕前に将来的な大リーグ挑戦を表明し、先発陣の中心としてシーズンを通しての活躍を誓いました。5月から6月にかけて右腕のコンディション不良などで2回にわたって登録を抹消されながらも勝ち星を重ね、昨シーズンは18試合に先発登板し、10勝5敗と、自身初のふた桁勝利をマークしました。
プロ野球での通算成績は64試合で29勝15敗、防御率は2.10ですが、5年間で規定投球回には一度も届きませんでした。
ただ、佐々木投手が登板する試合には、大リーグのスカウトのほか、編成部門の幹部が足を運ぶなど動向が注目されていて、ロッテは去年11月、ポスティングシステムを使った大リーグ挑戦を容認しました。
佐々木投手がポスティングを申請すると、大リーグの30球団のうち20球団が興味を示すなど激しい獲得競争となり、将来性豊かな23歳の移籍先はアメリカでも関心を集めていました。
- 注目
【記者の目】重視したのは「球団の育成システム」
佐々木朗希投手が新しい戦いの舞台を決める際に重視したのは、“世界一の投手”になるという目標を実現するための「球団の育成システム」でした。
佐々木投手の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏は、先月行われたオンラインでの会見で「彼は巨額の契約を結びに来たわけではない」とした上で、「球団が彼の成長のためにどんな手助けをしてくれるかを知りたがっている」と述べ、佐々木投手が大リーグの各球団の育成に関わるコーチングスタッフや設備などに大きな関心を寄せていることを明かしていました。
ドジャースはいずれもMVPの受賞経験がある大谷翔平選手、ベッツ選手、フリーマン選手の「MVPトリオ」をはじめとするスター選手の存在が目立つ一方で、伝統的な育成能力に支えられているという側面もあります。
これまで、新人王を受賞した選手の数が18人と大リーグの全30球団の中で最も多く、近年もブルペン陣を中心にマイナー契約から実力をつけて大リーグの舞台に上がってきた選手が多く在籍しています。
傘下のマイナーリーグのチームスタッフとも連携し、選手ひとりひとりの将来像を明確にした上での育成計画や、資金力を生かした先進的な設備などにも定評があり、こうした点が佐々木投手の決断に大きく影響したと見られます。
また、来シーズンから“投打の二刀流”での復帰を目指す大谷翔平選手と、大リーグ2年目のシーズンに臨む山本由伸投手という頼れる2人の先輩の存在も大きかったことは違いありません。
一方で、課題となっていたのは、いかにケガなどをせずに投げ続けられるかという点です。プロ野球のロッテは佐々木投手が入団した際に育成の「5か年計画」を立て、1年目は体力強化を中心に実戦のマウンドを踏ませないなど慎重な育成方針を取ってきました。
基本的に中6日で登板することがほとんどだったプロ野球でも3年目以降はけがに悩まされ、シーズン中にコンディション不良で2軍での調整を余儀なくされるケースが相次ぐなど、シーズンを通して安定して投げ続けることはできず実際に1軍で登板した4年間で規定投球回に達したことは1度もありませんでした。
大リーグはプロ野球よりさらに厳しく、通常は5人の先発ローテーションで中4日や5日での登板が当たり前のようになっています。
ドジャースは佐々木投手の獲得や大谷選手の二刀流復活を念頭に、来シーズン、先発ピッチャーの負担を軽減するため、5人ではなく6人の先発ローテーションを組む方針を示しています。
こうしたドジャースの示した環境面が佐々木投手の希望に合致したことが、移籍先決定の大きな決め手になったとみられ、今後、佐々木投手はいかにけがをせずに、その類いまれなる能力を発揮できるかが問われることになります。
異例の経緯たどった移籍劇
佐々木朗希投手の大リーグ移籍は、これまでに例を見ない経過をたどりました。
25歳未満の佐々木投手は大リーグの労使協定によって契約金や年俸が大きく制限されるため、大リーグの球団は資金力に関係なく獲得に名乗りを上げることができました。このため「世界で最も才能のあるピッチャーの1人」と将来性を高く評価される佐々木投手の去就をめぐっては、ロッテがポスティングによる移籍を認める前から大リーグで高い関心を集めていました。
その獲得競争が過熱する中で、移籍先の有力な候補として名前が挙がっていたドジャースとの間に本来禁止されている事前交渉、いわゆる「タンパリング」があり、事実上、入団が決まっているのではないかという疑惑がアメリカメディアで報じられ、大リーグ機構が調査に乗り出す騒ぎとなりました。
大リーグ機構の調査では結果的に「タンパリングはなかった」と結論づけられたものの、大リーグ機構のマンフレッドコミッショナーは佐々木投手の契約は契約金に使われる各球団の「国際ボーナスプール」がリセットされる「1月以降になる」と発言し、すべての球団に契約の可能性があることを強調しました。
当時、「国際ボーナスプール」の資金を多く残していたドジャースが、契約に有利になるのではないかという見方を否定する狙いがあったとみられる、コミッショナーによる異例の発言でした。
日本ではロッテがポスティングによる大リーグ移籍を容認すると、佐々木投手の高い将来性は認めながらもプロ野球で1度も規定投球回に達していないなどの実績面から賛否両論がありました。
それでも各球団との交渉が解禁されると、全30球団のうち20球団から佐々木投手との面談を求める資料が代理人のもとに届きました。資料は中心選手からのメッセージが入った映像や、佐々木投手の経歴などについて1冊の本にまとめた球団もあったということで、代理人のウルフ氏は「“朗希映画祭”のようだった。マイナー契約の立場だが、彼は望む場所どこにでも行くことができる。こんな交渉は初めてだ」と舌を巻いていました。
佐々木投手が実際に面談したのは8球団程度と伝えられていて、その面談に向けて、佐々木投手からいくつかの要望があったといいます。公平性を期すため、最初の面談はすべてロサンゼルスの代理人事務所で2時間以内で実施し、選手は同席しないことでした。
また、各球団に対して佐々木投手が特に強い関心を寄せているという「投手の育成システム」に関する“宿題”が与えられ、面談の場で説明をする時間があったということです。そして、移籍先候補の球団との2回目の面談では、選手が同席したチームもあったとアメリカメディアは伝えていて、実際にパドレスやブルージェイズの球団施設を訪れたとも報じるなど移籍先をめぐる報道も加熱していました。
「世界一の投手」を目指す23歳の若者の移籍劇は、その高い将来性への期待感を背景に最後まで異例の経過をたどる結果となりました。
大谷翔平選手らもSNSで反応
佐々木朗希投手がドジャースとの契約に合意したとSNSで発表したことを受けて、チームメートとなる大谷翔平選手は、佐々木投手がSNSで発表する際に使ったドジャースの帽子が写った写真や、大リーグ機構の公式アカウントが佐々木投手のドジャースとの契約合意を伝えた写真を引用する形で自身のインスタグラムに投稿しました。
また、2020年にシーズンMVP=最優秀選手を受賞したチームの主力のフリーマン選手も佐々木投手が投稿した写真を引用しているほか、これまでにサイ・ヤング賞を2回受賞し、新シーズンからドジャースでプレーするスネル投手は同じ写真とともに「Let’s go!!!!」というメッセージを記すなどチームメートとなる選手たちからは次々と歓迎のメッセージが寄せられています。
球団共同オーナー 元NBA選手のマジック・ジョンソンさんも歓迎
ドジャースの共同オーナーの1人で、NBA=アメリカプロバスケットボールのレイカーズの元スター選手、マジック・ジョンソンさんもSNSで佐々木投手の入団を歓迎しました。自身が現役時代につけたレイカーズの背番号32のサイン入りのユニフォームを持った佐々木投手と2人で写った写真とともに「ロサンゼルス、そしてワールドチャンピオンのドジャースへようこそ!ドジャースファンにとってすばらしい日だ」と投稿しています。
ロッテ 吉井監督「頑張りなはれ!」
ロッテに入団した1年目から投手コーチとして指導した吉井理人監督がコメントを発表しました。
この中では吉井監督は「ドジャース入団おめでとうございます。アスリートファーストでやってくれるとてもいいチームだと思います。色々な面で大きく成長することが出来ると思います」と祝福しました。そのうえで「私も経験がありますが異国の地での生活はすごく大変な事が多いと思いますが、色々な発見があったり、新しい価値感をみつけたりと成長できると思います。あとは朗希しだい。頑張りなはれ!期待しています」とエールを送りました。
ロッテ 松川虎生「僕も朗希さんに自慢できる成績を」
2022年の完全試合でバッテリーを組んでいた、ロッテの松川虎生選手は「朗希さんおめでとうございます。入団1年目からかわいがってもらって、大記録の達成にも携わらせてもらい、本当にありがとうございました」と球団を通じてメッセージを発表しました。そのうえで「記念日にプレゼントして頂いたスーツや革靴をこれからも大事に使わせていただきます。僕もことし、朗希さんに自慢できるような成績を残せるように頑張ります」とコメントしています。
大船渡高校時代のコーチ「世界一に貢献できたら銅像を」
佐々木朗希投手を大船渡高校時代に指導したコーチが喜びを語りました。岩手県大船渡市でガソリンスタンドを経営する新沼丞さんは大船渡高校の野球部の出身で、佐々木投手の在学時にはコーチを務めていました。
新沼さんは、佐々木投手がドジャースと契約合意したことについて「本人の長年の夢でもあると思うので、無事にチームが決まってホッとしている。高校3年生のときにドジャースのスカウトが来ていたこともあったので、運命を感じる部分もあるし、世界一のチームに参加できるうれしさもある。大谷翔平選手と山本由伸投手もいて、日本人ピッチャーは3人になるが、1番の評価をもらえるようなピッチャーになってほしい」と喜びを語りました。
また、佐々木投手がおととしのシーズン後に新沼さんを訪ねた際、大リーグのボールを使って練習する姿も見たということで「大船渡高校からドラフト1位でロッテに入団して完全試合を達成し、ドジャースへの入団が決まったので、世界一に貢献できるような選手になったら、大船渡高校に佐々木投手の銅像を作りたい」と話していました。
出身地 岩手 陸前高田で喜びの声
発表を受けて、出身地、岩手県の陸前高田市役所には18日さっそく「メジャー挑戦!世界に羽ばたけ佐々木朗希!」と書かれた幕が掲示されました。
市の職員で、佐々木投手公認の後援会の事務局長を務める村上知幸さんは「どのチームになるのか日本中が注目していた中で、うれしさよりもようやく決まってくれたという思いが強い。後援会としても、佐々木投手に『応援しているぞ』という思いを届けられるよう、よりいっそう目に見える形で声援を送っていきたい」と話しました。
そのうえで、「東日本大震災を経験していることもあり、佐々木投手は私たちにとって希望の星で、応援しているだけで幸せな気持ちになる。しっかりとトレーニングを積んで、世界一のピッチャーになる姿を陸前高田市民はじめ世界中のファンに見せてほしい」とエールを送っていました。
市内で中華料理店を営む長田正広さんは震災の津波で亡くなった佐々木投手の父親の友人で、幼いころから家族ぐるみのつきあいがあるということです。
佐々木投手は、今もオフシーズンになると店を訪れているということで、長田さんは「いずれ大リーグに行けると思っていたし、チャンスがあるなら早く行ってチャレンジしたほうがいいと思っていた。どんなピッチングをして相手を抑えるか、楽しみな気持ちでいっぱいだ」と話していました。
号外も
出身地の岩手県では新聞の号外が配られました。盛岡市中心部の商店街では、18日午後2時ごろから、地元の新聞社が「朗希ドジャースへ」などと大きな見出しが書かれた新聞の号外を配り、買い物客などが次々と受け取っていました。
新聞社によりますと、号外は2万5500部発行し、盛岡市のほか、佐々木投手の出身地の陸前高田市や小学校から高校まで過ごした大船渡市などでも配布したということです。
号外を受け取った盛岡市の70代の女性は「すごくうれしい。同じチームに岩手県出身の大谷翔平選手がいることは心強いと思う。ぜひ活躍してもらいたい」と話していました。
北上市の60代の男性は「佐々木投手が高校3年生のときの夏の高校野球岩手大会決勝を観戦した。試合で投げなくてもチームを鼓舞する姿が印象に残っているので、活躍を期待している」と話していました。
◆ドジャースとは
ドジャースは、ロサンゼルスに本拠地を置くナショナルリーグ西部地区のチームで、1884年に創設され140年以上の歴史がある大リーグ屈指の人気球団です。1947年にはアフリカ系アメリカ人で初めての大リーガー、ジャッキー・ロビンソンがデビューするなど、大リーグの長い歴史の中でも大きな役割を果たしてきました。
日本選手も野茂英雄さんや黒田博樹さんなどこれまで多くの選手が所属し、昨シーズンからは大谷翔平選手と山本由伸投手がプレーし、日本のファンにとってもなじみの深い球団です。
現在のチームはいずれもシーズンMVP=最優秀選手の受賞経験のある、大谷選手とベッツ選手、フリーマン選手の「MVPトリオ」が打線の中心で昨シーズンは4年ぶり8回目のワールドシリーズ制覇を果たしました。
一方で、開幕投手を務めたグラスナウ投手や、サイ・ヤング賞を3回受賞しているカーショー投手など先発投手陣にけが人が相次ぎました。ポストシーズンでは先発ローテーションが不足する苦しい戦いを余儀なくされたため、このオフはサイ・ヤング賞を2回受賞している左腕のスネル投手と契約するなど補強に力を入れてきました。
さらに今シーズンは大谷選手が2年ぶりのピッチャーとしての復帰を目指していることもあり、ドジャースの首脳陣は先発投手陣の負担を軽減するため大リーグで通例となっている5人ではなく6人の先発ローテーションとする方針を示しています。
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【解説】ポスティングとマイナー契約
「ポスティングシステム」は、海外も含めて自由に移籍先を探せるFA=フリーエージェントの権利を持たない選手が大リーグに移籍できるようにするため、大リーグとプロ野球の間で取り決められた制度です。
この制度では、プロ野球の球団が選手の大リーグ移籍を認めた上で、NPB=日本野球機構に申請し、大リーグ機構が、NPBから通知を受けると全30球団にポスティングの申請があったことを伝えます。その後、45日間の期限内に獲得を希望する大リーグのすべての球団が選手と直接交渉することができ、交渉が成立して、契約に至った場合はプロ野球の球団に譲渡金が支払われます。
一方で、大リーグ機構と大リーグの選手会が結んでいる労使協定では
▽アメリカ、カナダそれにプエルトリコを除く、国や地域の25歳未満の選手
▽プロのリーグでの所属が6年未満の選手
が大リーグの球団と契約する際には、使える金額のベースとして500万ドル前後の上限が設けられ、マイナー契約しか結べないと定められています。
これまで25歳以下でポスティングシステムを使ってプロ野球から大リーグに移籍したのは、2017年に当時、23歳でエンジェルスと契約した大谷翔平選手ただ1人で、当時は今と制度が異なり、日本の球団側に譲渡金を設定する権利があったため、日本ハムには上限となる22億円余りが支払われました。大谷選手も当初はマイナー契約を結びましたが、シーズン開幕前に大リーグ契約に切り替わりました。
しかし、現在の制度で佐々木朗希投手が結ぶマイナー契約では契約金の額に応じて譲渡金が設定されるため、ロッテに入る譲渡金も大幅に制限されます。
大リーグの試合に出るにはメジャー契約を結ぶ必要があり、各球団はメジャー契約を結べる選手に40人という上限がありますが、けが人リスト入りや、契約解除などで40人の枠に空きができれば、佐々木投手がメジャー契約に切り替えることも可能となり、大リーグの試合に出場できることになります。
23歳の若さは異例の挑戦 過去のポスティング移籍例は
これまでポスティングシステムを使ってプロ野球から大リーグに移籍した日本選手は25人に上りますが日本で着実に実績を積み上げて20代後半で挑戦する選手がほとんどで、23歳の若さで移籍を目指す佐々木朗希投手は異例の挑戦となります。
日本選手で最初にポスティングシステムを利用したのは当時27歳のイチローさんで、7年連続となる首位打者のタイトルを獲得した2000年のオフにオリックスからマリナーズに移籍しました。
2006年には当時26歳の松坂大輔さんが西武での8年間で108勝をマークしてレッドソックスへ、2011年のオフには日本ハムのダルビッシュ有投手が当時25歳ながら6年連続の2桁勝利をあげレンジャーズへ、2013年のオフには24勝0敗の圧倒的な成績をあげて楽天を初のリーグ優勝と日本一に導いた田中将大投手が25歳でヤンキースへ移籍しました。
2017年のオフに日本ハムから大谷翔平選手がエンジェルスに移籍したのは23歳のときで、このシステムを利用して大リーグに移籍した日本選手の中では最年少でした。大谷選手は将来的な大リーグ挑戦を視野に入れた中で日本ハムに入団したという経緯がありました。
そして、おととしは当時25歳のオリックスの山本由伸投手が3年連続で沢村賞とMVP=最優秀選手を受賞するなどオリックスのリーグ3連覇に大きく貢献してドジャースへ移籍しました。
これまでにポスティングシステムを使って移籍した日本選手25人のうち二刀流の大谷選手を含めて17人がピッチャーで、移籍した際の平均年齢は28歳とプロ野球で実績を積み上げた主力投手が海外FA権を取得する前に、球団が容認して大リーグに渡るケースが多くなっています。
佐々木投手は現在23歳で、25歳未満でポスティングシステムを使って大リーグに移籍した日本選手としては大谷選手に続いて2例目になります。佐々木投手はプロ3年目に史上最年少で完全試合を達成し、その将来性が高く評価されている一方、プロでの5年間で一度も規定投球回に到達していません。
過去にこのシステムを使って移籍した選手に比べて日本で確固たる実績を残したとは言えず、ファンや球界関係者からもさまざまな意見が出る中で海を渡ることになり、まさに異例とも言える挑戦となります。
《過去の日本選手のポスティング移籍》
※日付は自由契約公示日※
▽2000/12/20 オリックス:イチロー
▽2002/2/14 ヤクルト:石井一久
▽2003/12/17 中日:大塚晶則
▽2005/2/24 オリックス:中村紀洋
▽2006/1/20 西武:森慎二
▽2006/12/20 西武:松坂大輔
▽2006/12/22 ヤクルト:岩村明憲
▽2007/1/9 阪神:井川慶
▽2010/12/24 ロッテ:西岡剛
▽2012/1/19 日本ハム:ダルビッシュ有
▽2012/1/23 ヤクルト:青木宣親
▽2014/2/5 楽天:田中将大
▽2016/1/22 広島:前田健太
▽2017/12/26 日本ハム:大谷翔平
▽2018/1/22 西武:牧田和久
▽2019/1/8 西武:菊池雄星
▽2020/1/6 巨人:山口俊
▽2020/1/21 DeNA:筒香嘉智
▽2021/1/12 日本ハム:有原航平
▽2022/3/30 広島:鈴木誠也
▽2022/12/26 オリックス:吉田正尚
▽2023/1/27 阪神:藤浪晋太郎
▽2024/1/10 オリックス:山本由伸
▽2024/1/30 DeNA:今永昇太
▽2024/2/14 日本ハム:上沢直之