ソーラーパネル広告に岸田文雄氏 なりすましか 事務所は「本人に間違いない」

岸田文雄前首相の「なりすまし広告」。ソーラーパネル設置会社の宣伝に写真が無断使用されていた。
岸田文雄前首相の「なりすまし広告」。ソーラーパネル設置会社の宣伝に写真が無断使用されていた。

初期費用や維持管理費なしで住宅に太陽光パネルを設置し、電気代が安くなる「0円ソーラー」企業のインターネット広告に岸田文雄前首相の写真が使われていたことが2日、関係者への取材で分かった。岸田氏の事務所は「本人に間違いない」と認めたが、首相在任時代も含め広告企業とのつながりはなく、著名人の知名度を悪用した「なりすまし広告」の可能性が高い。

岸田氏の写真入り広告を出したのは、都内に本社がある株式会社「ECODA(エコダ)」。同社ホームページによると、家庭向けの太陽光パネルや蓄電池の設置、設置後サポートなどを専門とする事業を手掛け、「電気は買って使うから、買わずに溜めて使う時代へ」などとうたう。

問題のネット広告はニュースアプリ大手、スマートニュース(東京)に掲載されていたのを産経新聞が確認した。写真下には「蓄電池設置しないと480万損です」との記載があり、東京都の補助金対象となる一戸建て住宅向けに無料診断を実施するとの内容。問題の広告をクリックすると、「補助金活用で4年で回収可能」「設置後すぐに電気代半額」などの宣伝文句が飛び交う無料相談ページが表示された。

岸田氏の事務所担当者は「岸田本人の写真に間違いないが、背景に加工された形跡がある」と指摘。首相在任時代も含めた接点を経済産業省などに照会した結果、「面談はおろか、名刺さえ交わしていない。写真の使用を許可したこともない」としている。

広告主側にも取材を申し込んだが、社員とみられる女性が「ネット広告は外注。詳しいことは代表にしか分からない」と説明。2日現在、代表者からの連絡はない。ただ、問題の広告は、本紙が取材を始めた数日後、別の人物写真に切り替わり、その後スマートニュースにも掲載されなくなったことを確認した。

スマートニュースは「今回のような広告掲載を防ぐことができなかったことを真摯に受け止め、今後審査体制を強化する」としている。(白岩賢太)

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