Jリーグ改革案④~Jリーグの税金に関する問題~
2023年に、Jリーグは30周年を迎えた。
だが、そんな年でありながら、インターネットで話題になりやすいのは、サポーターの不祥事や、専用スタジアム建設によるJリーグと自治体の衝突といった悪いニュースが多く見える。
この30周年という節目を期に、Jリーグそのものの在り方を変えてもいいのではないかと思っている。
※私自身は、プロスポーツ観戦をしたことが無く、ニュースや他のサイト等で興味本位で見たり、リーグ構造を調べたりする程度である。
そんな素人の意見の為、あまり鵜呑みにはせず読んでいただければと思う。
今回は、Jリーグを取り巻く税金の問題と、税金に頼らずにJリーグやチームの存続は可能かを自分なりに考えた。
Jリーグを取り巻く税金の問題
あまり表に出すべきでは無いが、Jリーグの蔑称として、「税リーグ」なるものが存在する。
この言葉はインターネット発祥だが、日本経済新聞でこの言葉が出てきたことにより、自治体側も少なからず思うところはあるようだ。
それほどまでに、Jリーグへの税金の投入額は自治体にとっても無視できないレベルということを表していると言えるだろう。
新スタジアム建設の問題
スタジアムの建設費の負担には、税金を使うか、自前で資金を用意するか、あるいは一部補助を受けるかといったパターンが存在する。
勿論、スタジアムに税金を投入するのも、公共性があるから、地方の活性化の為といった見返りを期待してのことでもある。
ただし、それはあくまで稼働率が高く、結果的に収益性が高いのであれば問題がないというだけである。
その逆であれば、税金を無駄に使って終わるだけだ
(いわゆる「箱物行政」)。
残念ながら、Jリーグのサッカー専用スタジアムというのは、稼働率が低く、収益性も低い。
公共性に関しても、ほぼプロの試合のためだけに使われ、芝の養生があるから一般市民は使えないとなれば、それも疑わしくなってくる。
そんな状況であっても、新しいスタジアムを求める声がチームから上がってくることがある。
2023年5月に湘南ベルマーレの新専用スタジアム構想が上がってきたが、その中には「スタジアム建設費140億円の内70億円は、市が拠出」することを求めているという。
そもそも、新専用スタジアムの構想が上がってきたのは、現在使用しているスタジアムが、老朽化や、屋根のカバー率がスタジアム規定を満たしていない、といった理由からである。
改修でも多額の建設費がかかるならばいっそ新設しよう、といったところなのだろう。
ベルマーレ側の態度もあるが、公園敷地内に建設することは出来ないと伝えておきながら、それを無視して押し通そうとしたこともある為、市としてはこのような要求をされてはたまったものではないだろう。
これ以外にもスタジアム建設費を巡ったトラブル(秋田等)が相次いでいるが、いずれもスタジアム規定に引っ掛かったが為に起きた問題である。
改修でどうにかなるならば、そちらの方が良いのかもしれないが、いずれにしても税金をアテにするだろう。
※この場合は、スタジアムの要件を緩和しようとしないJFAが悪いで済むのかもしれないが……。
スタジアム使用料の問題
例え本拠地であろうとも、スタジアムを間借りしているのであれば、使用料は支払わなければならない。
この使用料こそ、スタジアム側の収入となる。
支払うとやりくりが難しくなるからといった理由で、使用料の減免を行うようであれば、当然その分の収入は減る。
例として、2023年度の清水エスパルスがそうだが、戦力維持を口実に減免を要請していた。
今回のケースは一時的な減免とも言えるが、V・ファーレン長崎のように毎年減免を行っているチームも存在する。
Jリーグではこのようなことが罷り通っている。
NPBでは、そういった使用料等の減免の話は聞かない。
むしろ、自前で球場を保有しているチームがある程だ。
それほどまでに、税金に頼らずに稼げるような仕組みが整っている。
このままJリーグが税金への依存を続けるのならば、自治体からも良い目では見られず、一部の住民から税金泥棒と揶揄されても仕方がないだろう。
今後は、税金をアテにすることなく、自ら稼げるような仕組みを作る必要がある。
税金依存体質からの脱却は可能か
前提として、スポーツは「文化」だが、プロスポーツは民間企業の行う「興行」であることを念頭に入れなければならない。
当然、利益を上げる必要があるし、できる限り赤字経営は避けなければならない。
間違っても、赤字が出るからといって施設の使用料減免を行ったり、赤字なのに新しい施設を求めたりといったようなことはあってはならない。
しかし、それがJリーグでは常態化してしまっている。
このままではいずれBリーグに追い抜かれてしまうだろう。
Jリーグは本当に税金依存体質から脱却できるのだろうか?
結論から言えば、今のリーグのシステムのままでは不可能である。
オープンリーグの抱えるデメリットの他、Jリーグ特有の制約や理念等があるためである。
スタジアム要件の制約
前に紹介した天然芝・ハイブリッド芝のみの制約の他、収容人数や屋根、衛生施設の問題がネックとなっている。
(Jリーグスタジアム基準↓)
https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/028_20230131.pdf
特に屋根の問題は、新設あるいは大規模改修をする際の、建設費高騰の一因を担っていると言ってもいい。
新設及び大規模改修を行うスタジアムについては、原則として屋根はすべての観客席を覆うこと
すべての観客席を覆うこと(観客席の3分の1以上が覆われていること:Jリーグクラブライセンス交付規則 施設基準 B等級)
新設・大規模改修を行ったスタジアムが、上の規定を満たしていない場合は、具備しなければいけない条件である以上、J1・J2ライセンスは交付されない。
既存のスタジアムである場合、下の規定(B等級)を満たしていない場合、ライセンス自体は交付されるものの、制裁を受けることになる
(カバー率不足に対しての改善策の提出か、スタジアム名の公表)。
ただし、ブラウブリッツ秋田の例があるように、改善が見られないようであれば、Jリーグが直々に意向表明書を出すことがある
(こちらは同じB等級要件である、衛生施設も不足している)。
そして、こういったサッカー専用スタジアムは基本的に自治体の持ち物であるため、この基準の為だけに税金に頼った上で改修・建設することになる。
上述した通り、サッカー専用スタジアムの稼動性は低く、公共性というのも疑わしい。
当然市民から税金の無駄遣いなのではないか、と指摘されることになる。
勿論、専用スタジアムを自前で建設するのならば、あまり文句など言われないだろう。
しかし、その資金力があるチームがあるかと言われれば、首を傾げざるを得ない。
Jリーグの理念等
創設時、NPBとの差別化を図るために、
参入が容易なオープンリーグ
ホームタウン制の導入
チーム名には企業名を入れない
というように、企業色を廃し、「地域密着」を理念として掲げてきた。
しかし、実態はといえば、
チーム数の肥大化、およびそれによる地方自治体への負担増大
企業色を排したにも関わらず、主な収入源はスポンサー収入
となっており、デメリットが浮き彫りになってしまっているといえる。
チーム名に企業名を入れていないのは、海外のリーグでも往々にしてあるため、実際のところ不自然ではない。
ただ、企業色を排すると言っておきながら、リーグやスタジアムのネーミングライツは行っており、ユニフォームも広告が多く貼られている現状を考えると、矛盾しているといえる。
そう考えれば、整合性を保つためにチーム名に企業名解禁を行ってもよさそうなものなのだが、それは地域密着に反しているとして聞き入れることはないだろう。
しかし、企業名をチームに入れたからと言って、すぐさま地域への貢献が否定されるわけではない。
ホームタウン制度というのも、市町村単位の為、範囲はどうしても狭くなる。
活動はホームタウンに限定されるわけではないが、既に別のチームがその自治体をホームタウンとして設定している場合は、どうしても遠慮しがちになる。
地域の活動に参加し、チームを認知してもらうことは確かに重要だ。
その為に税金が投入されているとなれば、これがJリーグの掲げる地域密着ということなのだろう。
※既に記事は消されてしまっているが、2018年度のベガルタ仙台では、ホームタウン協議会の負担金に1,500万円を投入している。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181214_11024.html
Jリーグの方向転換は必要か
税金に依存している状態でありながら、単年度赤字・債務超過に陥ったチームも存在する。
それでも、合併を行ったチームは横浜フリューゲルスただ1チームのみである。
自力で稼げるチームもそこまで多くない為、ある意味税金に生かされているプロスポーツリーグと言える。
しかし、Jリーグ並びに所属しているチームは、決して第三セクターではなく、一民間企業であるということを今一度理解しておく必要がある
(ベガルタ仙台等、自治体が出資しているチームも存在する)。
税金に頼ることなく存続させる為には、今の理念から一部もしくは全部を方向転換し、ビジネスとしてプロスポーツを行う必要がある。
そうなれば、赤字・債務超過にならないようにする為に、あるいは新規顧客獲得の為に、経営戦略を考えていかなければならない。
「興行」としてNPBのように発展させるのではなく、今のまま「文化」で終わらせるようであれば、税金依存体質から脱却することは決してないだろう……。
次回は、Jリーグにおけるサポーターの問題と、それらを締め出すための対策について、考えていこうと思う。
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