Jリーグ改革案①~リーグ運営の変更~
2023年に、Jリーグは30周年を迎えた。
だが、そんな年でありながら、インターネットで話題になりやすいのは、サポーターの不祥事や、専用スタジアム建設によるJリーグと自治体の衝突といった悪いニュースが多く見える。
この30周年という節目を期に、Jリーグそのものの在り方を変えてもいいのではないかと思っている。
※私自身は、プロスポーツ観戦をしたことが無く、ニュースや他のサイト等で興味本位で見たり、リーグ構造を調べたりする程度である。
そんな素人の意見の為、あまり鵜呑みにはせず読んでいただければと思う。
今回は、リーグの運用方法に対比、Jリーグが運用方法を変更することは問題ないのか、自分なりに考えた。
「オープンリーグ」から「クローズドリーグ」への移行
まずは、プロスポーツにおけるリーグの運営方法について特徴を洗い出そうと思う。
オープンリーグの特徴
Jリーグや欧州のサッカーリーグが採用しているオープンリーグ(欧州型)には、主に以下の特徴がある。
参入障壁が比較的低い
選手を自由に獲得しやすい
チーム主導の運営
戦力均衡策として昇降格制度を採用している
メリットとして、参入障壁が低く、ライセンス等の条件をクリアすればそのリーグへ参加できるという点だ。
その分チーム数はどうしても多くなりがちで、新規に参入したチームをどのリーグに振り分けるかが重要となるが、ここで昇降格制度が戦力均衡策となる。
強ければ上のリーグへ昇格し、弱ければ降格する為、チーム全体が昇格や残留を目標に戦うこととなる。
上記を勘案すると、必然的に競争市場となり、それぞれのチームが独自色を強めることとなる。
一方で、経済的に余裕のあるチームが強くなりやすいのはデメリットだ。選手の獲得は自由であるが故に、お金さえ積めば相手チームの有力選手を引き抜けてしまうからだ。
また、昇降格制度はスポンサーにとっては悩みの種となる。中長期的に契約を結びたい場合、降格の危険性があれば採算が合わないとして、契約に慎重になってしまう。
参入障壁の低さも、ともすればデメリットになりうる。あまりにチームが多すぎると、顧客の奪い合いが起きてしまい、経営に支障が出やすい。
このオープンリーグは、参入のハードルの低さや、利益をあまり重要視していない点から考えると、スポーツをビジネスではなく「文化」として見ているといえるだろう。
クローズドリーグの特徴
次に、NPBや多くのアメリカンスポーツが採用しているクローズドリーグ(米国型)には、以下の特徴がある。
参入障壁が高い
選手獲得に関する専用の制度が存在する
リーグ主導の運営
サラリーキャップ(選手年棒上限)やラグジュアリータックス(贅沢税)といった戦力均衡策が存在する
※ただし、NPBはリーグ主導ではなく、クラブ主導の運営方法に近いと言える。
メリットは、昇降格が無いため、スポンサーは安心して契約しやすいと言う点だ。戦力均衡を重視しているため、どこが勝つか分からないという不確実性が、勝負を面白くさせるという考えのもと成り立っている。
また、チーム数が少ないというのは、それだけハードルを高くすることにより希少性が生まれる。プロとアマチュアの境目が分かりやすくなるのだ。
しかし、参入障壁が高いため、新規チームはリーグ側等がエクスパンションといった策を取らない限りは増えない。同じ顔ぶれで毎年対戦していく為、マンネリ化は免れない。
戦力均衡に重きを置くが故に、昇降格の代わりに数々の制度が作られ、その度に煩雑化していくのもデメリットと言える。
参入障壁を高くしてチームを絞り、利益重視で動くこのクローズドリーグは、スポーツを「ビジネス」として見ていると考えていいだろう。
日本のプロリーグのガバナンスはどうか
オープンリーグとクローズドリーグの違いによるメリットとデメリットを列挙したが、日本のNPB、JリーグおよびBリーグは、やや歪な構造と取れる。
JリーグとBリーグは、オープンリーグでありながらリーグ主導で運営されていると言える。
チームのオーナーよりも、リーグのチェアマンの方が権力が強い為である。
反対にNPBは、クローズドリーグでありながらチーム主導で運営されていると言える。
実権を握っているのが、各チームのオーナーである為である。
※また、戦力均衡策がドラフト制度とFA制度のみといった違いもあるが、今回はそれは列挙しない。
クローズドリーグへ移行するとどうなるか
Jリーグがオープンリーグからクローズドリーグへ移行すると、今までのやり方が180度とまではいかずともガラリと変わるだろう。
スポンサーを悩ませた昇降格制度は廃止され、
チーム数は削減あるいは厳選されることになり、
戦力均衡のための制度が新たに導入されて、
興行として売り出す以上どう利益を上げるか考える必要が今まで以上に出てくる……。
等、あげればキリがない。
しかし、Jリーグというのは、上記でも取り上げたが、リーグ主導の運営方法である。この点を考えると、クローズドリーグへ移行しても(諸々の問題はあるが)比較的スムーズに行えるだろうということだ。
実際、同じような特徴を持つBリーグが、2026年に昇降格制度を廃止し、実質上のクローズドリーグへ移行する。
また、Bリーグのように、経営力によってリーグの所属を決めたり、条件を満たしたチームをリーグへ(エクスパンションという形で)参入させたりすることも不可能では無いように思われる。
※なお、同様のことはNPBでも言えるが、現時点で興行として成功している以上、わざわざオープンリーグへ変える必要はない。
ただし、念頭に入れておくべきなのは、欧州スーパーリーグ(ESL)の話だ。
厳選された一部のビッグチーム(レアル・マドリードやバルセロナ等)のみが参加出来るリーグと言ったものだが、UEFA(欧州サッカー連盟)やファンの方々、果ては政府からの猛反対にあい、結局創設されることは無かったということだ
(もっとも、水面下で動いていたプロジェクトということで、根回しはあまりしていなかっただろうし、していたとしてもUEFAやファンから「ヨーロッパが築き上げてきた文化を壊すのか」と結局は反対されていただろう……)。
勿論、昇降格があってのJリーグだという人もいる。
欧州もそれで成り立っているのだからそれに倣うべきだ、降格があるからこそ盛り上がる、といった意見もあるが、あくまでそれは「ファン」としての意見であり、「ビジネス」としての側面を無視していると言わざるを得ない。
いずれにせよ、リーグの方式を完全に変えたりビッグチームのみが参加出来るリーグを作るということは、文化や歴史を知った上で、多くの人々から理解を得る必要がある。
そういった意味では、日本のサッカーというのは、文化として根付いてはいてもヨーロッパ程ではない。
日本独自のシステムを構築するのも、まだ不可能ではないように思う。
次回は、クローズドリーグ前提の話となるが、チーム数の厳選とそれに漏れてしまった場合はどうなるかを考えていこうと思う。
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コメント
1ACLEの出場枠は昇降格制度の有無で変わってくるのですが、その点はどう考えていますか?
まさか、プロ野球のように世界を見ないで俺らツエーを目指すとか言わないですよね?
ACLEを勝ち抜いた先にあるCWCの莫大な賞金とか知ってますか?