自殺した県警の男性警察官の遺族が、上司のパワハラや長時間労働が原因として、県に1億3000万円余りの損害賠償を求めた裁判が4日、結審しました。
意見陳述で男性の妻は「上司2人に重大な過失があった」と訴えました。
訴えを起こしているのは、2020年10月に自殺した当時41歳の男性警部補の妻ら遺族3人です。夫婦にとって、きょうは結婚記念日でした。
訴状によりますと、当時41歳の男性警部補は、佐世保署に配属されてからの半年間、上司の課長から繰り返し人格を否定するような叱責を受けたほか、署長と課長の指示で、過労死ラインの2~3倍に当たる月200時間以上の時間外労働を強いられていたとしています。
男性の自殺は、公務員の労災に当たる「公務災害」に認定されていて、
裁判では事実関係について争われていません。
原告側は、署長と課長には重大な過失があり、損害賠償を負担させる「求償」を被告の県側に求めましたが、県側が受け入れず、和解は成立しませんでした。
きょうの裁判では、男性警部補の妻が意見陳述し、
「今でも、主人が亡くなった時のことがフラッシュバックして息が苦しくなる時がある。
主人のことを思わない日はない」
「定年退職したら2人でツーリングに行こうという小さな約束は叶わぬ夢となった」
「今後の警察の働き方に大きく影響する裁判将来性のある判断をお願いします」
「裁判長には、求償を可能にするため、署長と課長に重大な過失があったとはっきりと
判断していただきたい」と訴え、結審しました。
男性警部補の妻(53):
「きょう3月4日は19年前、主人と結婚した結婚記念日なので、本当だったら主人と一緒に家族になれたことを一緒に祝うことができた日なんですけどもうかなわない」
「加害者である課長や署長にしっかり責任を取っていただきたいのでぜひそれが今回の判決が求償につながるように判断していただきたい」
判決は6月10日(火)に言い渡されます。