【やり取り全文・前編】トランプ氏 ゼレンスキー氏 なぜ口論に
アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が28日、日本時間の1日未明に会談し、激しい口論となり、予定していた鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名が見送られました。首脳会談でかえって対立が深まる異例の事態となり、ウクライナでの停戦に向けた交渉への影響は避けられないものと見られます。
今回の会談(報道陣に公開されていた冒頭の50分ほど)のやり取りについて、トランプ大統領とゼレンスキー大統領、それぞれの発言の全文を前編・中編・後編で詳しくお伝えします。
※この記事は前編です。
やり取り全文 【中編】はこちら
やり取り全文 【後編】はこちら
【会談冒頭の発言は】
トランプ大統領
「ウクライナのゼレンスキー大統領を迎え入れることができ光栄だ。われわれはとても近い関係で、ともに頑張ってきた。実際に私たちは長いあいだ互いを知っており、長いあいだ互いに話し合ってきた。交渉では小さな衝突はあったが、うまくやってきた。これは両国にとってそれ以上に世界にとってよいことだ。
われわれは非常に公平な取り引きをする。掘って掘って掘ってレアアースを手に入れることを楽しみにしている。一方で、そのことはアメリカが(ウクライナの)内部に入り込み大きく関与することを意味する。ともに協力できることに非常に感謝するとともに、これからも継続していく。
ロシアとは非常によい話し合いを行ってきた。プーチン大統領と話し、この件(ウクライナ侵攻)について終わらせようとしている。これは、あなたも彼も望んでいることだ。われわれは合意に向けて交渉しなければならないが、ある程度の交渉は始まっていて何かが起こる可能性はあると思う。現時点での大きな問題は殺された兵士の数で、双方とも何千人もの兵士を失っている。
われわれはこの状況を終わらせたい。そして、再建のような別の用途で資金が使われることを望んでいる。われわれは懸命に取り組もうと非常によい話し合いを多くしてきた。しかし私たちが登場するまでバイデン政権はロシアと話をしてこなかった。誰とも話をせず、ただ放置していた。
私のこの発言を何千回と聞いてきたと思うが、私が大統領だったらこの戦争は決して起こらなかっただろう。皆さんが経験してきたことを経験することなく、あなたたちのために交渉していただろう。
兵士たちは信じられないほど勇敢で、私は大いに称賛する。われわれは彼らに装備を与えたが誰かがその装備を使わなければならない。彼らは、信じられないほど勇敢だった。われわれは彼らを大いに称賛する。この侵攻はすぐに終わるはずだったが、3年たった今もまだ、戦争は続いている。だから私は、将軍たち、兵士たちそして皆さんを大いに評価する。非常に厳しい戦いだった。すばらしい兵士たちだ。こうした観点からあなたは(ゼレンスキー大統領は)彼らをとても誇りに思うべきだ」
ゼレンスキー大統領
「誇りに思います」
トランプ大統領
「でももう終わりにしたい。もう十分だ。もう終わりにしたい。だから聞いて頂いて光栄だ。来てくれてありがとう。まもなくイーストルームで会議を開き、合意書に署名する。昼食後に。私たちは、これからランチをとる。また、ほかのことについても話し合う。
ここに来てくれた皆さんに感謝する。胸が躍る瞬間だが、本当に胸が躍る瞬間は彼らが銃撃を止め、合意に至ったときだ。そして、われわれはその合意にかなり近づいていると思う。ゼレンスキー氏に来ていただけて光栄だ。話したいことがあればどうぞ」
ゼレンスキー大統領
「大統領、ありがとう。招待していただき、ありがとう。この文書がウクライナの真の安全保障への第1歩となることを心から願い期待している。われわれの国民や子どもたちのために。
アメリカが支援を止めないことにも期待している。われわれにとって支援の継続は非常に重要だ。インフラや安全保障など詳細についても話し合いたい。なぜならば私はヨーロッパが何をする準備が出来ているかについて理解しているし、もちろんアメリカが何をする準備が出来ているかについても話し合いたい。
そしてプーチン大統領を止めるためにあなたが強い姿勢であることを期待している。あなたは「戦争はもうたくさんだ」と言った。この戦争がプーチンにとって始まりの段階であるということが非常に重要だと思う。なぜならば彼は殺人者でありテロリストだからだ。しかし、私は力を合わせれば彼を止めることができると願っている。われわれにとって、私たちの国、価値観、自由と民主主義を守ることが非常に重要で、もちろん、私たちの領土について殺人者に対し妥協することはできない。しかし、それはもっとあとでの話だ。
もちろんドローンの製造についても電話で話をした。戦争により、われわれは世界でもトップレベルの非常に優れた無人機を製造している。また防空体制も非常に必要で、世界トップの防空能力を持つアメリカはロシアの攻撃から本当にわれわれを助けてくれた。どのようにしてライセンスを交換できるかについても話したい。われわれは、すべての無人機のライセンスをアメリカを含む皆さんと共有する用意がある。防空システムの迅速な製造のためには許可が必要だ。戦争が終わってからもウクライナは穏やかで安全な国でなければならない。そのために防空システムが必要だ。
そしてもちろん不測の事態についても話し合いたい。フランスとイギリスとはすでに話をしたと思うが、ヨーロッパは準備ができている。ただ、アメリカ抜きの場合は、われわれが必要とするほど強くなる準備はできていないだろう。
そして最後のポイントは、子どもや人々の交換だ。ロシアは2万人のウクライナの子どもたちを誘拐し名前を変え、家族や親戚を変えた。彼らはロシアにいる。われわれは彼らを連れ戻したい。それは大きな大きな夢であり、課題であり、目標だ。
ところで、トランプ大統領、われわれはロシアの刑務所から4000人以上の戦士を釈放したが、刑務所にはさらに数千人がいる。私はあなたにいくつかの画像を共有したいが、今できるか。
1分、1分、1分だ。彼らがどのような状況にありロシアの態度がどのようなものであるか、理解してもらえると思う。
捕虜になる前と後(の写真)だ。何千人ものこのような女性や男性の捕虜が、食事も与えられず、殴られ、多くの悪いことをされている。戦争中でさえも、ルールがある。誰もが知っている。戦争中でもルールはある。彼らはルールを守らない。子どもたちの写真は悲惨でお見せしたくなかったが、皆さんに共有する。悲惨な光景だ」
トランプ大統領
「とてもつらいことだ」
ゼレンスキー大統領
「皆さんにぜひお見せしたかった。
ちなみにこれは聖職者。彼らは聖職者を誘拐した。ロシアの教会ではないからだ。彼らは聖職者を誘拐し、収容所に移した。昨年末、われわれは(ロシアの)3人の聖職者を連れてきた。私たちは彼らと交換することができた」
トランプ大統領
「そうだな、大変なことだ」
ゼレンスキー大統領
「だから皆さんにお見せしたかった。本当にありがとう」
トランプ大統領
「われわれはそれを終わらせたい、ということだよな?」
ゼレンスキー大統領
「もちろん、もちろん」
トランプ大統領
「そうなると思う。そうなると思う」
ゼレンスキー大統領
「もちろん、そうしなければならない」
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